BLOG

ブログ

2020.01.01

経営理念の作成ポイントと組織浸透させる方法

経営理念の作成ポイントと組織浸透させる方法

中小企業の経営者としてあなたは、業務全般にも気を配りながら、社員にも目を配り、忙しい日々を送っていると思います。そして、経営に関する悩みは絶えないと思います。

しかし、「経営」と一言で表しても、その中身を説明することは難しいと思います。本ブログでは、そのような、つかみどころのない「経営」を理解できる、経営者のお役に立てる情報を提供しています。

今回は、経営理念の立案ポイントと組織に浸透させる方法についてです。

経営理念の作成のポイント

まずは、経営理念を作る際のポイントは次の3つです。

  • 定期的な見直し
  • 他社を参考にしない
  • 利己と利他を関連付ける

以下、順番に説明します。

定期的に見直しをする

あなたは「経営理念は一度作ったら、変えてはいけない。変えるべきものではない」と考えてはいないでしょうか。

しかし、「経営理念こそ、経営の必要条件」で説明した通り、過去(不変)思考の企業理念と異なり、経営理念は未来(可変)思考です。あなた自身も、経営していくプロセスの中で「自己成長」されていくはずです。

そして、創業時によりもレベルの高い思考が身に付けば、経営の目的・目標も変化してくるはずです。

更に、何事も完璧はありません。定期的に見直すつもりで、自由な発想を持ち、まずは作ってみることをお勧めします。

特に、あなたは「経営理念を作りたいと思っているにも関わらず、実際にはなかなか作れない」と悩んではいませんか?

これは、先に書いたように「経営理念は一度作ったら、変えてはいけないもの。簡単には変えられないから、完璧なものを作りたい」という思考から抜け出せずにいることが原因です。

もし、あなたがそのような悩みを抱えているのなら、是非「経営理念は定期的に見直しをする必要がある」という考えに改めて下さい。

他社を参考にしない

経営理念を作成する際、自分で一から作るより、尊敬している経営者や成功している会社の経営理念を参考にしたいという考えは、自然な発想です。

しかし、他社の経営理念を参考にすることは、お勧めしません。なぜなら、他社の理念を参考にすると、あなた自身の意思や価値観が反映されないからです。

そのため、あなた自身が本気になることができません。あなたの判断や、会社の方向性が曖昧になります。すると、それを見ている社員にも迷いが生じ、社員一人ひとりの判断基準にも相違が生まれます。

その結果、社員の忠誠心も生まれず、統率感に欠けてしまい、最終的に経営に良い結果が得られません。

つまり、建前やきれいごとをなくし、あなたの「本音」で作り「嘘」をつかない。このことが経営理念を作成する際の大事な心構えです。

利己と利他性を関連付ける

近年、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)が叫ばれていますが、少し前までは、CSR(Corporate Social Responsibility)と呼ばれ、企業の社会的責任が問われる時代となっています。

すなわち、現代の企業には、以下の4つの社会的責任を果たしながら、企業活動をしていく必要があります。

  • 経済的責任:経済的な利便性を向上
  • 法的責任:法律やルールに従う義務
  • 倫理的責任:法律やルール外でも、正しく公平な活動を行い、倫理的である
  • フィランソロピー責任:チャリティやボランティアなど、良き企業である必要性

つまり、企業活動には、自社だけではなく、他者や社会に対しての貢献が求められています。この観点を整理する考え方が、目的・目標の4観点です。

この目的・目標の4観点とは、以下の2軸4象限で目的・目標を設定することです。

  • 自分と社会・他者
  • 有形(形あるもの)と無形(形がないもの)

個人のビジネスに関する目的・目標を例に挙げると、下図のようになります。

つまり、
「自分/有形」の目標、売上げ100万円/月が達成できれば、
「自分/無形」の目標、自分の仕事に誇りを感じることができる。

それは、
「他者・社会/有形」の目的、会社の売上を増やすこともでき、
「他者・社会/有形」の目的、家族を安心させることができる。

目標と目的は、表裏一体です。目標と目的が入れ替わっても問題ありません。

目標・目的の4観点によるモチベーションの維持

「経営理念を作る際に、考えておきたい要素とは」で、ミッションとセルフイメージが掛け合わさることで、モチベーションは不要であると説明しました。しかしながら、現実的には日々の活動を遂行していくうえで、モチベーションの存在は無視できないと思います。

そこで、このように4観点で目的・目標を設定することで、バランス良くモチベーションを保てるメリットがあります。

特に、「自分/有形」は直接努力の領域とも言われ、交感神経が優位となります。交感神経が優位な状態が続くと、いわゆる燃え尽き症候群になります。

そこで、副交感神経も高めて、バランスを取る必要があります。その副交感神経を優位にする領域が、「他者・社会/無形」の間接努力の領域です。

よく「人は他人のために頑張れる」と言われることがありますが、これは「他者・社会/無形」を高めると、「自分/有形」へのモチベーションが高まる傾向にあることを指しています。上で説明した直接努力と間接努力の関係です。

また、「自分/有形」の目標に向かう過程で、「自分/無形」が高まって心にゆとりができると、「他者・社会/有形」を実現したい気持ちが高まる。とも言われています。

ご自身の経営のミッション・ビジョンについて、この4観点を意識することにより、目的・目標の達成に対して、より具体的に得れるものとしてイメージすることで様々な観点から双方向に好影響が及ぼされます。

その結果、枯れないモチベーションを維持することが可能となります。

必ずしも、最終的な経営理念の中に、利己と利他の要素を入れる必要はありませんが、経営理念を作成する際に、その要素について考えて頂くことが極めて重要です。

経営理念を組織に浸透させる方法

ここまでで、経営理念の作成ポイントについて説明しました。では、この作成した経営理念を組織に浸透させるポイントについて以下に説明します。

経営理念を浸透させるためには次の3つのポイントがあります。

触れる回数を増やす

これは、繰り返し接すると好感度や印象が高まると言われている、単純接触効果(ザイオンス効果)を利用したものです。

よく会社の朝礼などで、社員全員で経営理念を唱和することがあるかと思いますが、その行動です。

社員と一緒に作成する

これは心理学で言う「一貫性の原理」を用いており、一度自分で決めたことは守ろうとする心理を活用しています。

もし、あなたが、自分一人では経営理念を作れない。言語化が苦手だと感じているのであれば、これまでに説明した経営理念の作成ポイントを抑えて、社員の皆さんと共に作って頂くのが良いかもしれません。

業績評価に反映させる

人は評価されていることを知ると、その行動に注意するようになります。

組織に経営理念を浸透させたいとお考えならば、人事考課の項目に、経営理念に基づいた行動の評価項目を採用することも検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回、経営理念の作成のポイントと組織浸透の方法について説明しました。

冒頭の繰り返しとなりますが、「経営理念は作りたいけど、なかなか作れない」と感じている方の中には、「一回で、自分が納得できる完璧なものを作りたい」と考えている方が多いです。

もし、あなたがそのような考えを持たれていたのであれば、「経営理念は、一回作ったら終わりではなく、ご自身の成長と共に常に作り直していくものである」と考えを改めて頂き、まずは自分の素直な気持ちを言葉にして頂ければと思います。

それが例え、「楽して働きたい!」「もっとお金儲けがしたい!」といった私的な考えだとしてもです。

時には「さすがにこれは経営理念として表に出すことはできないな」ということもあると思います。そのようなことは、当然、経営理念に掲げる必要はありませんが、今、この時の自分の素直な気持ち・感情に向き合うことが、人として、経営者として成長していく第一歩になるはずです。

BLOG LIST