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2023.02.25

主語を変えて視点を変える

主語を変えて視点を変える

私は、研修講師として企業研修に登壇することがあります。ある会社の新人研修では、以下のような内容で、新入社員の意識改革を促していました。

「入社する前と後では、サービスを受取る側のお客さまから、サービスを提供する社員という立場に変わります。そのため、『自分視点』ではなく『お客さま視点』で物事を考える必要があります」

説明を聞くと、「なるほど」と概念的に理解することはできます。

しかし、この研修内容で残念なのは、具体的なやり方まで明確に説明していなかったことです。

つまり、この説明を聞いて「なるほど」と思っても、「で、具体的にどうするのか?」となった瞬間に思考が停止してしまい、行動を促すことができません。

視点を変えるために「主語」を変える

このような場面で、視点を変えるために有効的な手段が「主語」を変えること。

例えば、多くの会社は、「どうやったら、モノを売れるか?」と考えてしまう傾向にありますが、これは「自分(会社)視点」です。

つまり、この考えの主語を明確にすると「我々は、どうやったら、モノを売れるか?」となり、主語は「我々」です。

 

では、「お客さま視点」に変えるために、主語を「お客さま」に変えます。すると、

  • 「お客さまは、どうやったら、モノを買うか?」
  • 「お客さまは、どうやったら、モノを買いたいと思うか?」

となります。

如何でしょうか?

ニュアンスがガラリと変わり、違う発想が生まれてきそうな予感がしませんか?

このように、主語を変えると「視点」が変わり、まさしく、今まで見えていた世界と違う世界の「視点」に変えることができます。もし、あなたも考えが行き詰まったら、「視点」を変えるために「主語」を変えてみて下さい。

主語を「会社」ではなく「社員」にしてみる

ビジネスで最も大事なことは「相手を知ること」です(ご参照「ビジネスを成功させるABC」)。そして、マーケティングにおける「相手」とは「お客さま」です。そして、会社における「相手」とは「社員」です。

さて、あなたは、以下のような経営者の言葉を耳にしたことはありませんか?

  • 「ウチの会社では、社員を大切しています」
  • 「わが社では、社員を“人材”ではなく、“人財”と思っています」

もしかしたら、あなたも同じ言葉を発しているかもしれません。でも、残念ながら、そう思っているのは経営者だけ、ということも珍しくありません。

そのような時、是非、主語を変えてみて下さい。

  • 「社員が、会社から大切にされていると感じているか?」
  • 「社員が、自分達は会社から“人財”だと扱われていると感じているか?」

そして、社員がそう感じているためには、

  • 経営者として何をしているか?
  • 経営者として何ができるか?

主語を変えて、視点を変えれば、見えてくるものがきっと変わってくるはずです。

視点を変える簡単な仕組みとは

ここまでお話したように、物事をブレイクスルーするためには視点を変える必要があります。

この視点を変えて、数々のテーマパークを蘇らせたのが、USJをV字回復させた森岡毅です。今でこそ、USJは東京ディズニーランドと並ぶ、日本を代表するテーマパークですが、その飛躍の立役者が森岡氏です。

森岡氏は、現在は独立され、株式会社刀の代表取締役を務める日本を代表するマーケターです。この森岡氏が再生を手掛けたテーマパークの一つに、兵庫県三木市にある『ネスタリゾート神戸』があります。

ネスタリゾート神戸は、1980年代に巨額な年金資金を投じて建設されながらも経営破綻した『グリーンピア三木』が大自然の冒険テーマパークとして再生した、森岡氏の成功事例です。

このネスタリゾート神戸の再生も、視点を変えたことから始まりました。

つまり、森岡氏に再生を依頼するまでは、皆がみな「山しかない」としか考えられていませんでした。

「こんな山しかないところで、何ができるんだ」と。

ところが、森岡氏は視点を変えて「山がある」と考えます。

そして、この「山」を活かすために、どのようなテーマパークが考えられるだろうか?と思考を開始するのです。この視点を変えたことが、ターニングポイントだったと言えます。

しかし、こう言ってしまえば視点を変えることは簡単ですが、やはり、それは難しいのも事実。

だからこそ、外部の声を大切にしてほしいと思います。自分一人ではない視点を導入するために、実際に自分以外の「外部の声を拾う」

あなたは、この「外部の声を拾う」という、視点を変える仕組みを取り入れていますか?

視点を変える仕組みのもう一つの効果

そして、経営での視点を変える仕組みとして、お勧めするのは「社員に聞く」ということ。

経営の神様と呼ばれた松下幸之助は「衆知を集めた全員経営」を大切にしており、口癖は「アンタはどう思うんや?」でした。

これは、松下幸之助の「論理が直観に追いつくまで待つ」という行動において、人の意見を聞くことで、多面的に論理展開していたのだと思います。

あなたは、経営について考えるとき、「社員に聞く」ことをしていますか?もし、これまであまり聞いたことがないなら、是非、「あなたはどう思いますか?」と聞いてみて下さい。

そして、この質問は、あなたの視点を変えるためだけの効果に留まりません。

この「社員に聞く」ことは、人材育成の効果もあります。

何故なら、人は質問されるとそれに答えようとします。つまり質問することは、その人の思考を促すことに繋がるのです。

つまり、あなたが社員に「あなたはどう思いますか?」と聞くことが、社員の思考習慣を促し、社員の成長を促すことになります。

会社の経営ために、社員のために、是非、社員に質問してみて下さい。

「あなたはどう思いますか?」

本当に結果を変えたいと思っていますか?

さて、このようにお伝えすると、以下のようなことを言って、「社員に聞く」ことをしない方がいます。

  • 「いや、ウチの社員に何を聞いても答えませんよ」
  • 「大した答えは得られませんよ」

行動を変えなければ、結果は変わりません。結果を変えたいなら、行動を変えなければいけません。

あなたは、結果を出したい、これまで違う結果に変えたいとお考えですか?

そのために、視点を変えるために、そして社員の成長を促すために、「あなたはどう思いますか?」と社員に聞く仕組みを取り入れますか?

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