社会人になったら、仕事の基本とまで言われるほど、必ずと聞く言葉があります。
それが「ホウレンソウ」
これは、「報告・連絡・相談」をわかりやすく表現した言葉です。1982年に、山種証券の社長である山崎豊治氏が社内キャンペーンで始めたことがきっかけです。
そして、著書『ほうれんそうが会社を強くする』がベストセラーとなり、世の中に広まりました。
多くの方は、このホウレンソウを、以下の意味で使われています。
- 報告:部下が上司の指示に取組みつつ、途中経過を報告すること
- 連絡:自分の意見や憶測を含めない、事実のみを関係者へ状況報告すること
- 相談:自分だけで業務上の判断が困難な時、上司に意見を聞くこと
つまり、ホウレンソウとは、「部下が自発的に、上司へ情報を伝える行動指針」と捉えています。あなたも、同じように理解されていませんか?
その結果、
- 「社会人になったら、まずはホウレンソウを覚える」
- 「最近の若い人は、ホウレンソウができていない」
というような、発言や考えをされていませんか?
実は、これは多くの方が誤解していることです。
先の『ほうれんそうが会社を強くする』の著者である山崎氏は、あくまでも、容易に報告・連絡・相談が行える「風通しの良い職場環境」を作るために、ホウレンソウを勧めたのです。
決して、「社会人の基本」ではありません。
多くの方は「部下から上司への情報伝達の習慣化」を目的として、ホウレンソウを引き合いに出します。しかし、本来のホウレンソウは、そのような目的でありません。
あくまでも、ホウレンソウの目的は、風通しの良い職場環境を作ることです。
あなたの会社では、風通しの良い職場環境を作るために心がけていることは何でしょうか?是非、これを機に考えてみて下さい。
もし「これ!」と思いつかないようであれば、「ほうれんそう」を本来の意味で積極的に採用して頂くのも良いかもしれません。
なお、ホウレンソウの本来の意味については、「『報連相』の本来の意味を知っていますか?!」をご参照下さい。
「ほうれん草」が「雑草」に変わった?!
さて、時代が変わり、当初の目的でホウレンソウが使われなくなりました。
その結果、「『ほうれんそう』は、今の時代に合っていない!今の時代に合っているのは、『ほうれんそう』ではなく、『ざっそう』だ」と言われることがあります。
「ざっそう」とは、「雑談・相談」です。
これは、会議などで一方通行の「報告・連絡」をするのではなく、双方向のやり取りをする「雑談」を推奨するという考え方です。
使う言葉を変えていますが、その目的は、風通しの良い職場環境を作ることです。
確かに、時代とともに手段という「やり方」は、変わっていくものは多いです。しかし、その目的である「考え方」は、不変であることが多いです。
是非、あなたは、手段に惑わされず、本来の目的を見失うことなく、物事を進めて頂ければと思います。
ほうれんそう以外の葉っぱ系野菜
ホウレンソウ、ざっそうのように、語呂合わせで行動指針を表現しているものは、他にも沢山あり、興味深いので、以下に紹介します。
まず、最近の若い人に対する上司の心得が「おひたし」です。
- お(怒らない)
- ひ(否定しない)
- た(助ける)
- し(指示する)
その意味は、以下。
- 感情的に「怒らない」
- 部下を頭から「否定しない」
- 部下が困っている時は「サポートする(助ける)」
- 部下には明確な「指示をする」
そして、このような語呂合わせは、部下が上司に対して心掛けるものだけではなく、部下側の若い人に対する仕事へのアドバイス語呂もあります。
- まずは「こまつな」
- そして「きくな」
- 最もいけないのが「ちんげんさい」
さて、あなたは、このアドバイス語呂はわかるでしょうか?
- こまつな=困ったら、使える人に、投げる。
- きくな=気にせず休む、苦しい時は言う、なるべく無理をしない。
- ちんげんさい=沈黙する、限界まで言わない、最後まで我慢。
語呂合わせの行動指針が意味するところ
さて、如何でしたでしょうか?
これらは、人材育成コンサルタントや新人研修講師が、実際に新社会人に伝えている内容です。
「え!そんなことを教えているの?」
と思ったかもしれませんが、最近の新社会人や若手の傾向から、会社側も注意すべき点として、真摯に受けとめる必要があると感じます。
つまり、あなたの会社では「離職する理由がよく分からない」という若手はいませんか?
もしかしたら、それは、こまつな・きくなができず、ちんげんさいで、一人で苦しんでいたかもしれません。
もしかしたら、あなたの会社では離職者が出ていないかもしれません。でも、こまつな・きくなができず、ちんげんさいで、一人で悩んでいる若手がいるかもしれません。
そして、そのような方をなくすためには、風通しの良い職場環境が重要だということ。
是非、風通しの良い職場環境を作るために会社として何をするのか?今一度、これを機会に考えてみて下さい。