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2023.02.03

すぐに見直したい!こんな給与手当

すぐに見直したい!こんな給与手当

私がサポートしている人事制度の改定では、賃金体系の改定も行います。この給与体系で真っ先に確認するのが「手当」です。

そして、よく見かける「すぐに見直したい給与手当」が2つあります。

あなたの会社では、これらの給与手当を支払っていませんか?もし、支払っているのであれば、是非、見直しすることをお勧めします。

その1:意味がある?皆勤手当・精勤手当

「皆勤(かいきん)手当」は、欠勤ゼロの場合に支払う手当です。また、「精勤(せいきん)手当」は、欠勤ゼロでないが、数日欠勤した時にでも支払う手当です。

欠勤日数の取り扱いが少し異なりますが、この皆勤手当や精勤手当を支払っている会社は、社員に対して、以下のようなメッセージを発信していることになります。

「皆さん、会社には休まずに出勤して下さい。休まず出勤した方には、奨励金として皆勤手当をお支払いします。数日休んだ場合は、精勤手当てをお支払いします」

つまり、皆勤(精勤)手当の目的は、手当を出すことによって社員の出勤を促すことです。言い換えれば、皆勤(精勤)手当を支払っている会社は、“社員は欠勤する”ことを前提にしていることになります。

確かに、“社員は欠勤する”ことを前提としていた時代があります。そして、その時代には皆勤(精勤)手当が、会社の仕組みとして有効に機能していました。しかし、それは過去の話です。

現代の日本人は、“社員は毎日出勤する”ことが当たり前だと考えています。そのような時代には、皆勤(精勤)手当が、会社の仕組みとして意味のある機能とは言えません。

特に、近年では有休が義務づけられたこともあり、皆勤手当ての目的が全く機能していない時代である、と言えます。

あなたの会社は、“社員は欠勤する”ことを前提にしますか?
それとも、“社員は毎日出勤する”ことが当たり前ですか?

その2:いつまで支払う?調整手当

「調整手当」とは、過去に制度改定された会社でみられる給与手当です。具体的には、制度改定後の新給与体系で、給与が下がる社員に対して支払われる手当です。つまり、旧給与と新給与との差を調整することを目的としています。

この調整手当が支給されるのは、旧制度が年齢と共に給与が高くなる年功制の給与体系であった会社に多いです。

そして、この調整手当は、旧制度の影響で「能力は高くないけど、給与が高い社員」に対して支払われていることが多いです。つまり、会社としてはできるだけ支払いたくない手当になります。

でも、あなたの会社も、過去に制度改定したことがある場合、この調整手当を支払っていませんか?

そして、もし、この調整手当を支払っているのなら、あなたは「この調整手当は、いつまで払い続ける必要があるのか」と感じていませんか?

当然、調整手当を止めるのは、最終的に会社が決めることです。しかし、給与の減額を決断するのは、経営者として大変難しい問題です。その結果、意に反して、調整手当を払い続けているという会社は多いです。

あなたの会社では、その調整手当をいつまで支払い続けますか?
そして、その調整手当はどのように減額しますか?

給与手当はシンプルに!

過去、皆勤(精勤)手当が会社の仕組みとして機能していたように、時代に合った手当を支給することは必要です。

しかし、従来の手当を残して、新しい手当を増やしているようでは、各手当の目的が形骸化してしまいます。

つまり、時代の変化によって機能しなくなった手当は、制度改定時に廃止することが必要です。しかし、実際には、手当を見直していない会社は多く存在します。

また、調整手当のように、人事制度を改定する毎に、旧制度と新制度との整合性を担保しなければならない状況が発生し、余計な手当を増やしている会社が存在します(厳密には、専門家によって増やされているわけですが…)。

何事もシンプルにすることが大切です。当然、管理の手間を削減するためにも、余計な手当はなくしてシンプルにするべきです。

今ある給与手当は、どうするのか?

そこで、私がクライアントに提案している給与体系は、必要最低限の手当だけを残し、簡潔な賃金体系を提案しています。当然、先に挙げた、皆勤(精勤)手当や調整手当も、廃止することをお勧めしています。

では、どのようにして、皆勤(精勤)手当や調整手当を廃止するのか?

その「やり方」をお伝えする前に、もう一つ、見直したい給与手当についてお話させて頂きます。

実は見直したい、もう一つの給与手当

あなたの会社では、次のようなことはありませんか?

「入社してだいぶん経つので、部長に昇進させた社員がいる。だけど、思ったような成果が出てこない!部長職を外したいけど、一度、昇給させた手前、そう簡単に役職を外せない!どうしたらいい?」

「優秀な社員がいる。彼が「辞めます」と言わないためにも、まずは給与面では満足してもらっておきたい。そのために、彼を部長にしたいけど、既に部長のポストは埋まっている。今の部長を降格させるわけにもいかず――どうしたらいい?」

「やっぱり、会社は実力主義!実力に応じた昇格・降格は当然!若くても優秀な社員が役職に就くのも当然!でも、あの部長は「自分のポストが脅かされる」と思っているのか、部長の下に付いた社員はよく辞めて、人材が育っていない――どうしたらいい?」

人事コンサルタントとして経営者とお話しする中で、上記のようなお悩みをよく聞きます。この悩みの元になっている手当が「役職手当」です。

役職手当は、多くの企業が導入されており「支給するべき手当」と考えられる傾向にありますが、役職手当が人材の登用上の阻害要因になっている、という会社も実は多いです。

 

もちろん「現在、役職手当を導入しているけど、何も問題がない」という会社は、そのまま運用して頂いても結構です。しかし、あなたの会社で、先に挙げたようなお悩みを抱えているなら、役職手当を見直す必要があります。

見直す給与手当は、基本給に含める

では、皆勤(精勤)手当・調整手当、更には役職手当など、給与手当を廃止する場合、どのように見直せばよいのでしょうか?

今まで支給されていた手当が支給されなくなると給与が減り、社員が困窮することになります。このため、単純に手当を廃止するわけにはいきません。

では、見直したい給与手当を廃止するには、どうしたらいいのか?

それは、シンプルに新給与体系の「基本給に含める」ことです。つまり、従来の基本給に、廃止したい手当額を足すだけです。

「え!そんなのでいいの!?」という声が聞こえてきそうですが、それで大丈夫なのです。廃止したい手当は、皆勤(精勤)手当も、調整手当も、更には役職手当であっても、大原則は基本給に含めてしまうのです。

とは言え、人事制度でも重要な役割を担う給与は、そのような単純な方法で解決できるわけがなく、それは「考え方」が伴っておく必要があります。つまり、廃止する手当を「基本給に含める」というのは、あくまでも「やり方」に過ぎません。大切なのは「考え方」です。

つまり、どのような「考え方」で「基本給に含める」のか。この「考え方」がしっかりしていなければ、会社の仕組みとして給与制度が機能しなくなります。

「やり方」の前提にある「考え方」

繰り返しとなりますが、「廃止する手当を基本給に含める」という「やり方」は単純です。でも、その「やり方」が会社の仕組みとして機能するためには、「やり方」の前提にある「考え方」が極めて重要です。

しかし、専門家でも、その「考え方」が伴っていない場合が多くみられます。それは、皆勤手当を残している会社が多く存在することからもわかります。

また、調整手当とは「旧制度で高く支払っていた給与を、新制度の変更に伴って適正な給与に正すための調整」であるはずです。本来ならば、時間をかけて調整手当をゼロにしていく仕組みが必要です。

ところが、多くの経営者は「この調整手当はいつまで支払えばよいのか?」と、調整手当をゼロにしていく手順が分からずに悩んでいるわけです。ここに、調整手当を導入した専門家に「考え方」が伴っていないことが分かって頂けると思います。

「考え方」が伴っていない「やり方」では、制度改定が失敗することは必然と言えます。でも、残念ながら「考え方」は、このブログで書ききれる内容ではありません。

何故なら、その「考え方」が、私の「提供するサービスの価値」と言えるからです。ブログに書ききれるほど、薄っぺらい内容ではないからです。

もし、あなたが今回紹介した「やり方」にご興味があれば、是非、一度お問合せ下さい。「考え方」について、お伝えする機会を設けさせて頂きます。

 

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