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2022.01.27

思考は現実化する-イメージすることが成功への第一歩-

思考は現実化する-イメージすることが成功への第一歩-

あなたは、成功哲学書として有名なナポレオン・ヒルの著書『思考は現実化する』を読まれたことがあるかもしれません。そして、「引き寄せの法則」という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。

近年、これらについては、脳科学の視点で解釈されつつありますが、あなたは、この「思考は現実化する」と「引き寄せの法則」に対して、どのように感じていますか?

今回のブログでは、この2つについて、脳科学の視点の解釈を取り入れつつ、私見を述べてみたいと思います。そして、実際に「思考を現実化する」ため、「引き寄せる」ために必要なことを紐解いていきます。

「思考は現実化する」と「引き寄せの法則」の共通性は「思考」

ナポレオン・ヒルの書籍『思考は現実化する』は、1937年(邦訳版は1989年)に出版され、全世界での累計発行部数が8,000万部を超えるベストセラーです。当時、鉄鋼王と呼ばれるまでに成功していた75歳のデル・カーネギーが、成功要因を解き明かすために、25歳のナポレオン・ヒルに、世の中の成功者をインタビューして書籍にまとめることを依頼したことが発端です。

本書は、成功哲学書として世の中に広く認知されています。多くの方が、「まぁ。成功するためには、そのような考え方が必要なのね…」と半信半疑な意見を持っていても、「そんなこと、ありえない!」と嫌悪感を抱く方は少ないように思います。

一方で、「引き寄せの法則」は、どうでしょうか?

「引き寄せの法則」の元となるものは、書籍『ザ・シークレット』です。本書は、ロンダ・バーンにより、2006年に出版されました。ロンダ・バーンは、ポジティブな姿勢を保ち「思考そのもの」を変えることで、現実を変えることを目指す疑似科学的な積極思考を提唱しました。それを「引き寄せの法則」と呼びました。

「思考は現実化する」と同じようなことを扱っていますが、多くの方の受け取り方は、どちらかというとスピリチュアル(精神)的な考えが先行しているように思います。そのため、「そんなこと、ありえない!」と嫌悪感を抱く方が、一定数はいらっしゃるような気がします。

しかし、成功するためのポイントは「思考」にあるという点では、両者は共通したことを示していると言えます。

イメージしたことが現実になる?

若干、語彙が異なりますが、「思考」を「イメージ」という言葉に置き換えてみたいと思います。近年、スポーツ界では、イメージトレーニングが効果的な練習方法であることが言われています。

イメージトレーニングとは、実際に体を動かすことなく、動いている自分を思い描くことによって技術や戦術を向上させる手法を指しています。イメージを思い描くことで、実際に動くときに集中力を高めやすく、また、雑念を払うのに役立つと考えられています。

つまり、イメージトレーニングとは「イメージ」することの重要性を示したトレーニング方法です。そして、この「イメージ」が目標達成に重要だと唱えたのが、世界的な整形外科医として活躍したマクスウェル・マルツ博士です。この概念は「サイコ・サイバネティクス」と呼ばれており、数多くの人の顔や身体の整形手術をしているうちに、貴重な発見をしたことに端を発します。

サイコ・サイバネティクスとは

マクスウェル・マルツ博士が発見したことは、整形手術をすることで、その人の性格や人格までが急激に変わるケースが多いということでした。これは、顔を整形手術することで、損なわれていた自己イメージが修復され、人生そのものの良い方向に変わっていく、という結論に至りました。

この事実に注目したマルツ博士は、「サイバネティクス=自動成功メカニズム」が人間の脳と神経系でも作用しているに違いないと考えました。その考えをまとめた概念が「サイコ・サイバネティクス」です。この考えでは、人間の「潜在意識(サイコ)」が「自動成功メカニズム(サイバネティクス)」としての役割を果たします。

脳の基本機能

脳は「実際の経験」と「頭の中で鮮明に描いた想像上の経験」を区別するのが苦手です。このため、想像上の経験であっても、実際の経験であっても、脳は同じような領域を使って情報処理を行います。

例えば、事故や手術で腕や足を切断した人の中には、現実には無いはずの腕や足がまだ有るように感じて、激しく痛む「幻肢痛」という症状があります。この痛みを和らげる治療法として、「鏡治療」が考案されました。これは、健常な腕や手を鏡に映すことで、切断して無くなった手や腕がそこに実際あるように錯覚させ、視覚的な感覚を脳にフィードバックさせることで幻肢痛を和らげることに成功した治療法です。

このような脳の特性から、脳をだまして疑似体験や成功体験を生むことで、それによって得た自信や感触によってパフォーマンスが向上すると考えられています。

そして、その第一の脳の機能が目的志向性と呼ばれる特性です。つまり、「潜在意識」にいったん目標を与えておくと、自動的に目標を達成してくれるという特性になります。

人は無意識に行動する

このサイコ・サイバネティクスの概念は、自動的に目標を達成してくれるということですが、本当でしょうか?

私は、この“自動的に”、というところに問題がある気がします。

ここで、少し整理をしてみます。つまり、「イメージしたことが自動的に達成する」というところに理論の飛躍があり、無理があるように感じるのではないでしょうか。

そこで、「イメージしたように行動することで、目標が達成できる」と考えてみてはいかがでしょうか?

「結果を得るために、行動が伴う必要がある」ことは容易に理解できると思います。つまり、「“自動的に”達成する」のではなく、「“自動的に”行動することで達成される」というわけです。あくまでも、行動が伴うことが前提だということです。

ここで、重要となるのが、「イメージしたように“自動的に”行動にする」ということです。これを書き換えると「イメージしたように“無意識的に”行動する」ということになります。この行動特性は、心理学的にも説明されています。有名なものとして、以下のカラーバス効果が挙げられます。

心理学の視点:カラーバス効果

「カラーバス効果」とは、あることに意識することで、それに関する情報が無意識に自分の元に集まるようになる現象のことをいいます。

「カラー(color)」は「色」です。「バス(bath)」は「浴びる」という意味があります。つまり色の認知に由来しますが、色に限らず、言葉やイメージ、モノなど、意識するあらゆる事象に対して起きる現象です。

この「カラーバス効果」を説明する例が、次のようなものです。

例えば、あなたが車の買い換えを予定していたとき、欲しい車種があると、その車ばかりのテレビCMが気になったことがありませんか?

このように、人の脳は、眼の前にある光景は同じものだとしても、何を意識しているのかよって、見えるものが変わります。

脳科学の視点:RAS

この「カラーバス効果」は、脳科学的には、人の脳に備わる「RAS(Reticular Activating System)」と呼ばれる働きで説明されます。

「RAS(ラス)」とは、「網様体賦活系(もうようたいふかつけい)」です。この「RAS」は、入ってくる情報をふるい分けて、何に注意を向けさせるか、どれくらい関心を呼び起こすか、どの情報を遮断するのか、などを判断する機能です。

このように、人の脳は、重要度の低い情報はフィルターにかけられてカットしています。このため、実際に見ていても、ほとんど記憶には残っていない情報がたくさんあります。「実際には見えているはずなのに見えていない」という情報遮断効果のことを「心理的盲点=スコトーマ」と呼びます。

つまり、人の脳は、自分にとって必要か必要でないかを自動的に、言い換えれば無意識に判別しているのです。

人はイメージしたように行動する

「イメージしたように“無意識的に”行動する」例が、ドラマなどでよくある車にひかれそうになるシーンです。

ドラマで見かけるシーンを例に

あなたも、ドラマなどで、人が車にひかれそうになり身動きが取れない状態の時に、主人公がその人を横から飛びついて助ける。というシーンを見たことがあるかと思います。

私は、このシーンを見た時「主人公が横から飛びついて、その人を助けられたのであれば、自分から車を避ければよいのでは?」と常に考えていました。あなたも、そのように考えたことがあるのではないでしょうか。

実は、ここに「イメージしたように“無意識的に”行動する」ことが隠されているのです。

つまり「車に引かれる!」と強くイメージしたことで、イメージしたように体が動いているのです。言い換えれば、「車に引かれる」ために、その場の留まる行動を取ったと言えます。

確かに「人は恐怖に直面すると体が硬直して、身動きが取れない」という説明がされることもありますが、この「イメージしたように“無意識的に”行動する」という説明も可能ではないでしょうか。

人間以外もイメージして行動する

では、このイメージしたとおりに行動するのは、人間だけでしょうか。すなわち「イメージ」する能力は人間だけの特別な能力なのでしょうか?

「蛇に睨まれたカエル」という諺があります。この諺は、窮地におちいって身動きが取れない様子を言いますが、これも、カエルが蛇に食べられることを強くイメージしたことで、「蛇に食べられるために動かない」と考えることができます。

また、同じカエルを例にとると、カエルは舌を伸ばして、ハエなどの昆虫を捉えますが、自分の舌で昆虫を捉えるところをイメージできるからこそ、捕捉することができるタイミングで、自らの舌を伸ばすのではないでしょうか。

先ほどの「蛇に睨まれたカエル」は、窮地を覆すことができない状況下で、イメージしたとおりに行動した結果です。一方、窮地を脱することをイメージしたとおりの行動を起こす諺として、「窮鼠猫を噛む」があります。これは、通常の力関係を覆して行動することを示す諺ですが、これは「生きたい!」と強くイメージした結果、通常では力関係が及ばない相手に対して、立ち向かう行動を取らせた、と言えるのではないでしょうか。

人にも「火事場の馬鹿力」という言葉がありますが、通常では発揮しえない力を「なんとかするのだ!」という強いイメージが、通常では出すことがない肉体的な行動を発揮させるのかもしれません。

行動するから結果が出る

結果を出すためには、行動が必要なことは容易に理解できるかと思います。しかし、行動を起こすこと自体に様々なハードルがあり、実際にはなかなか行動に起こせないから困っているのだ、という人が多いのではないでしょうか。

この「行動できない」という原因を、今回の「サイコ・サイバネティクス」である「イメージしたように“無意識的に”行動する」という観点で説明します。

この「サイコ・サイバネティクス」では、イメージすることが重要な要素です。そして、このイメージは「○○したい」という願望から始まります。しかし、この願望を抱いても、「行動できない」原因は、どこかで「どうせ無理だ」という思考が頭をよぎり、その結果として、イメージする力を失わせているのです。

つまり、「○○したい」という自分の成功を信じる力が、「イメージ」する力を引き出し、その結果として「“無意識的に”行動する」力を引き出すのです。

まとめ

まずは「強く願う」。これが成功するための第一歩です。そして、経営者であれば「理想を考える」。このことから、経営の全てが始まるのはないでしょうか。

この「理想を考える」ことの大切さについては、松下幸之助氏の「ダム経営」の逸話があります。

ダム式経営とは、資金、人材、技術等、経営の重要な部分に予め余裕(ダム)をつくっておくことによって、その後の経営環境の大きな変化にも耐えられるようにすべきだと主張する経営の考え方

時は1965年頃、京都商工会にて、松下幸之助氏が「ダム経営」について講演した際、「どうしたらダムがつくれるのか、そこのところを教えて欲しい」という参加者からの質問に対して、松下幸之助氏は一瞬困った顔をして、次のように答えました。

「そうですなあ、そらやっぱし、“ダム式経営をやろう”と思わんといかんでしょうな」

この答えに、手っ取り早いやり方を教えてもらえると期待した会場からは、「何だ、そんなことか」とばかりに騒めきと失笑が広がりました。

しかし、同じ参加者でも、「ガツーンと身の震えるような感動と衝撃を受け、本当に目が開けたような気がした」と異なる反応を示した人がいました。それが、若かれし稲盛和夫氏でした。

そして、この時の松下幸之助氏の教えが、稲盛和夫氏のフィロソフィである「潜在意識にまで透徹する強い持続した願望をもつ」に繋がるのです。

あなたは、経営者として、

・どのような経営をしたいですか?
・どのような経営者を目指しますか?

それを描くことが、経営者としての始まりだと思います。是非、「ワクワクできる」未来を描くことから始めてみて下さい。

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