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2019.12.30

経営理念こそ、経営の必要条件

経営理念こそ、経営の必要条件

中小企業を経営されているあなたは、業務全般にも気を配りながら、社員にも目を配り、忙しい日々を送っていると思います。そして、経営に関する悩みは絶えないと思います。

本ブログでは、そのような時にこそ考えて頂きたい、経営の原理原則について説明しています。今回、お伝えするのは経営の必須条件である経営理念についてです。

経営理念の効果は、利益アップ!?

「経営に悩まれた時にこそ考えたい、経営者の役割」で、経営者の役割とは「理念・志を立て、その目的を達成するために、社員が自由に行動できる仕組みを構築すること」と定義しました。

この理念・志は、いわゆる「経営理念」と言えますが、この経営理念の必要性はどのように説明されるのでしょうか?言い換えれば、“経営理念がある会社”と“経営理念がない会社”では、会社にどのような差を生むのでしょうか?

結論は、著名な経営書である「ビジョナリーカンパニー」に書かれており、経営理念の明確な企業とそうでない企業での利益の差が、約6.7倍であったと報告されています。

この数字を見るだけでも、経営理念の必要性を感じて頂けるかと思います

松下幸之助氏の「衆知を集めた全員経営」を実現するために

経営理念が明確である企業とは、経営理念が組織に浸透していることを前提としています。当然のことながら、形だけの経営理念を作っただけでは、効果は生みません。

つまり、経営者は、経営理念を作り、それを組織に浸透させることが必要です。それにより、戦略の形成と実行に影響し、最終的に結果に結びつくのです。

また、経営理念により、組織の根幹にある忠誠心、やる気、一体感、人間関係の醸成を促すため、組織としての実行力が高まるのです。

更には、経営理念が全員の心をひとつに束ねる求心力となることで、社員のものの考え方や決断に大きなブレがなくなり、全員のベクトルが合ってくるのです。

つまり、経営理念を元に組織が動くことで、松下幸之助氏がいう「衆知を集めた全員経営」が実現でき、それが利益という結果なって表れてくるのです。

以上からも、経営理念の存在が重要だと感じて頂けるのではないでしょうか。

「経営理念はいらない!」という、その意味

しかし、経営者の方の中には「経営理念はいらない!」という持論を展開される方もいます。確かに、そのような経営者の会社は、経営理念がなくても十分に収益を上げておられるのだと思います。

では、何故、そのような会社は経営理念がなくても収益を十分に上げられているのでしょうか?

色々な理由があると思いますが、その一つとして、その経営者が発する言葉や行動が、そのまま経営理念として社員に浸透していることが挙げられるかと思います。

つまり、恐らくそのような経営者の方は、ご自身の考えを社員に向かって発信し続け、そして、社員の見本となる行動を経営者ご自身が取られているのだと考えられます。

言い換えれば、経営理念として言語化されていないだけで、経営者の理念・志が社員に分かるように言葉や行動で示されているのです。

社会的な存在意義を果たすための「経営理念」

では、そのような会社には、本当に経営理念は必要ないのでしょうか?私は、やはりそのような会社であっても、やはり経営理念を作って頂くことが必要だと考えます。

何故なら、会社の大きな存在意義は、社会貢献です。

永続的に発展するための経営理念

社会貢献とは、納税や雇用、地域活性化など、多岐に渡りますが、その社会貢献を果たすためには、永続的に発展し続けなくてはなりません。

自分の代だけの経営が良ければそれでいい、という経営者の方もおられるかと思います。それでもやはり、ご自身の子供の代、孫の代まで、ご自身が作った会社が永続的に発展することを望む経営者の方の方が多いと思います。

すなわち、今のご自身の代だけのことを考えれば、経営理念として言語化する必要はないかもしれません。しかし、本当に会社の永続的な発展のことを考えた場合、経営理念を作る必要があります。

「経営理念は必要ない」というのは、優位感覚の問題かもしれない

ちなみに、経営理念は必要ないという経営者の方の中には、言語化することが得意でない可能性があります。つまり、人は視覚・聴覚・触覚・臭覚・味覚という五感を持っていますが、全てが等しい能力で機能しているわけではなく、優位感覚というものが存在します。

この優位感覚が、人が生活する上で情報(知識・感情・価値観)を出し入れする際に影響を及ぼしていると言われています。それをVAK理論(VAKモデル)と呼び、視覚/Visual、聴覚/Auditory、体感覚/Kinestheticの頭文字を取って表現されています。

すなわち、言語化が苦手な方は、このうちのK(体感覚)が優位な可能性が高いです。

もし、その様な経営者の方は、経営理念をご自身で言語化するのではなく、是非、周りの方の協力を得て、ご自身が発している言葉や行動の言語化を試みて下さい。

「経営理念」と「企業理念」は違う!

「経営理念」と似た言葉で「企業理念」があります。この経営理念と企業理念は同じものでしょうか。それとも、異なるものでしょうか。人によっては、経営理念と企業理念は同じであると判断される方もいます。

ここでは異なるものだと考えてみたいと思います。では、異なるものだとした場合、どのように違うのでしょうか。

まず、経営理念は以下のように説明されます。

経営理念は「経営者の経営哲学や理念、行動指針や目的などを明文化し、その企業が果たすべき使命や、基本姿勢などを社内外に向けて表明するもの。」

一方、企業理念の説明は以下です。

企業理念は「企業の創業者が起業する際に、企業に込めた創業者の想いを綴ったもの。」つまり、企業にとって不変の価値観や存在理由、存在目的を示すためのもの。

「経営理念」と「企業理念」の違いは時間軸

一見すると、両者の違いには気づきにくいかもしれませんが、経営理念と企業理念は時間軸が異なります。

すなわち、企業理念は、(過去の)創業時の創業者の想いであり、変えられないものです。一方、経営理念は、(今の)経営者の想いであり、変えられるものです。

私がお会いする経営者の方に、経営理念を作ることをお勧めさせて頂くと、
「ウチは、創業者が経営理念を作ってくれています。創業者の想いを大切にしたいので、経営理念は変えたくないのです。」
と仰って頂くことがありますが、この時の経営理念は、企業理念の意味で使われていることになります。

経営理念は、その時代で会社を経営する経営者の想いです。創業者の想いを大切にしたいと思われるのは大変すばらしいです。そこで、その創業者の想いは、企業理念として大切にして頂き、是非、ご自身の経営理念を作り上げて頂きたいと思います。

  • ご自身はこれからどのような会社としていきたいのか。
  • ご自身の会社で働く社員にどのように幸せになって欲しいのか。

その想いを言語化して、是非、今の社員の皆さんと共有して頂ければと思います。

まとめ

経営理念の必要性について説明しました。企業理念との違いを抑えた上で、経営理念は、会社を永続的に経営する上で必要条件であることを理解して頂けたのではないでしょうか。

経営者の中に、まだ経営理念を作っていなかった。今回を機に経営理念を作ってみよう。と考え頂く機会になっておれば幸いです。

では、この経営理念はどのように作ればよいのでしょうか。それについては「経営理念を作る際に、考えておきたい要素とは」をご参照下さい。

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