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2023.03.11

「報連相」の本来の意味を知っていますか?!

「報連相」の本来の意味を知っていますか?!

仕事での「報連相=ホウレンソウ」といえば、次の3つを指し、仕事の基本と言われています。

  • 報告
  • 連絡
  • 相談

私は、研修講師として企業の新人研修に登壇することがあります。その新人研修では、必ずと言っていいほど、この「報連相」が研修の項目に入っています。

なお、大手の企業研修では、企業が研修テキストを作成します。研修講師は、そのテキストに沿って研修を行うため、講師独自の考えを伝えることはできません。

そのため、この「報連相」を新人の皆さんにお伝えする時、毎回、歯がゆい思いをします。

なぜ、私が歯がゆい思いをするのか?

それは、報連相の「意図」が、きちんと教えられていないから。

新人研修では、「報連相とは、報告・連絡・相談であること」、ならびに、仕事を進める上で「報連相が大事」という、報連相の「意味」を教えます。

でも、ここでの説明には、報連相の本来の意図、言い換えれば「考え方」が全く伝えられていません。

 

ちなみに、「報連相」の生みの親である山崎富治氏は、報告・連絡・相談について、以下のように説明しています。

  • 上下の報告
  • 左右の連絡
  • 上下・左右にこだわらない腹を割った相談

「報連相」の本来の意図は、この言葉からも想像が付きますが、この「報連相」という言葉が生まれた経緯も含めて、本ブログでは話題提供していきます。

本ブログを読み終わったころに、あなたの「報連相」に対する意識が変わっていることを期待しています。

報連相が生まれた問題背景

さて、繰り返しとなりますが、「報連相」といえば、今では仕事の基本と言われ、企業の新人研修では必ず取り上げられます。

報連相とは、報告・連絡・相談のことです。新人研修では、それぞれ以下のような意味として教えられます。

報告:部下が上司の指示に取り組みつつ、途中経過を報告すること
連絡:自分の意見や憶測を含めない関係者への状況報告
相談:自分だけで業務上の判断が困難なとき、上司に意見をきくこと

 

つまり、報連相とは、主に部下から上司への態度・姿勢として説明されることが一般的です。

あなたも、このように理解していませんか?

 

でも、このような報連相の「使い方」を覚えるだけでは、本来の目的が果たせません。

やはり、大事なのは「考え方」です。

報連相が生まれた瞬間

報連相を生んだのは、山種証券(現SMBC日興証券)の社長・山崎富治氏です。山崎氏は、父・山崎種二が創業した山種証券の社長に1966年に就任し、親子経営で山種グループを率い、その独自路線が話題となりました。

その一つが、「報連相」でした。

では、生みの親である山崎富治氏は、どのような「考え」から、この報連相を思いついたのか?

時は、1980年代、社員の数が一千人を超す規模になり、社員の声が、社長の耳にスムーズに入ってこなくなり、社員の顔を見ても、名前がすぐに浮かんでこなくなった。

社員の様子がわからず、声が伝わりにくくなっていることに、懸念を持ち始めた、と山崎氏はいいます。

これは、社長と社員との関係だけではなく、組織が大きくなったとたん、社内のタテ・ヨコの繋がり、情報の流れがぎくしゃくし始めた、と感じるようになった。

 

そして、ある時、「社員が他社に引き抜きぬかれる」という決定的な事が起こります。

 

引き抜きにあった先は、決して魅力があると言えない会社。「それにも関わらず、なぜ、引き抜かれてしまったのか?」

原因は社内に問題があったと考え、山崎氏は原因解明に乗り出します。

その結果、引き抜かれた社員は、日ごろ住宅問題で悩んでおり、「入社二年目では住宅資金の貸付が受けられない」という社内規定の壁にぶつかっていた。これが社員が山種証券を辞めた原因だったのです。

この理由を知った山崎氏は「なんとつまらない理由で…」と憤ったといいます。

「引き抜かれた社員は中途採用で、上司や周りに相談することもできず、孤立していたのではないか?」

また、社内規定も新卒と中途では、規定を杓子定規に適用できないこともあったはず。

そして、情報の流れが停滞したことで、貴重な人材が失われてしまった。

 

山崎氏は「こんなことが繰り返されるようだと、会社が大きくなったメリットより、下手をすれば、マイナスの方が大きくなってしまうと思った」といいます。

 

そして、このことが頭につねに引っ掛かって

どうしてもっと、

  • 上下の報告がきびきびと行われないものか
  • 左右の連携がスムーズにとれないものか
  • 上下、左右にこだわらない腹を割った相談がなされないものか

と考えを巡らせていたと云います。

 

そして、その答えが「報連相」だったのです。

 

報連相が目指したもの

報連相を生んだ山崎氏の考えの根本には、以下のような信条がありました。

人と人の意思の通いあい、気持ちの通いあいが悪くては、会社がうまくいかない以前に、社長以下、働いている人自身が楽しくない。

もちろん、会社は儲けなければ、企業ではない。しかし、いくら儲けても、楽しくなければ意味がないのではないか。

つまり、山崎氏は、ご自身を含め社員が楽しく働くことができる「風通しの良い会社」を目指して、「報連相」を考えたのです。

決して、新人研修で教えられるような「業務を円滑に進めるため」ではありません。

あなたの会社は、「風通しの良い会社」ですか?

もし、今は「風通しの良い会社」ではないと感じ、「風通しの良い会社」にしたい、と思われるのであれば、是非、「報連相」から見直してみてください。

報連相がつくる「心理的安全性」

さて、報連相が「風通しのよい会社」を目指すために生まれた、という事実を知った時、私は、ある言葉が思い浮かびました。

そして、次のような感想を抱きました。

  • 「なるほどね」
  • 「やっぱりね」

その、思い浮かんだ言葉とは一体何か?

それが「心理的安全性」

「心理的安全性」とは、ハーバードビジネススクールの教授であるエドモンドソンが1999年に提唱した概念で、「チームの誰もが、非難される不安を感じることなく、自分の考えや気持ちを率直に発言できる状態」を表しています。

2015年に、Googleの社内調査で、「チームの生産性向上の最重要要素」と結論付けられたことで注目を浴びるようになりました。

あなたも聞いたことがあるかもしれません。

もう、お気づきかもしれませんが、「心理的安全性」と「風通しの良い会社」は、同じ意味ではないでしょうか。

山崎氏が、「報連相」を思いついたのは1980年代。
エドモンドソンが「心理的安全性」を提唱したのは1999年。
そして、Googleで「心理的安全性」が唱えられたのが2015年。

 

人は、どうしても、目新しい言葉に惹きつけられますが、でも実は、意味を考えると、「報連相」と同じように、それは日頃から使っている言葉だったります。

新しいことに目を向けるより、まずは、今、目の前のことをきちんとやり切ることが大事。

まさしく、ビジネスのABCです。

  • A:あたりまえのことを
  • B:バカになって
  • C:ちゃんとやる

あなたは、ビジネスのABCができていますか?

ビジネスのABCの詳しい説明は、こちらをお読みください。「ビジネスを成功させるABC」

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