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2019.12.29

経営に悩まれた時にこそ考えたい、経営者の役割

経営に悩まれた時にこそ考えたい、経営者の役割

中小企業の経営者として、あなたは業務全般にも気を配りながら、社員にも目を配り、忙しい日々を送っていると思います。そして、経営に関する悩みは絶えないと思います。

しかし、そのような経営に悩まれている時にこそ、今一度ゆっくり考えて頂きたい、経営者の役割について説明していきたいと思います。

この記事を読んで頂いた後に、経営者としてのご自身の役割について、振り返って頂く機会になれば幸いです。

「経営」の語源は、紀元前12世紀の中国

あなたは経営者として、「経営」という言葉を日常的に使っていると思います。しかし、その「経営」という言葉の意味を理解しているでしょうか。ここでは、「経営」という言葉について紐解いていき、「経営」を理解する入口にして頂きます。

話は、推定紀元前12世紀の中国の周の時代に遡ります。

周の始祖文王は、人民とともに楽しむために、自然公園である「霊囿」、水城公園である「霊沼」、展望公園である「霊台」を作りました。これらは、人民に労働を強制したのではなく、人民の自発的労働で作られました。

このことを紀元前8世紀頃に周の詩人が、これらの建設が建国の象徴であったことを追想して以下のように謳いました。

「経始霊台、経之営之。庶民攻之、不日成之。経始勿亟、庶民子来」

「霊台を経始し、これを経しこれを営む。庶民をこれを攻(おさ)めて日ならずしてこれを成す。経始亟(し)うる勿(な)く、庶民子来たれり」

これは、のちに孔子が編集した儒教の「詩経」に記されており、これが「経営」という言葉が初めて使われたことになります。

「経」と「営」が意味するのは、工事作業だった

ここで更に具体的に、「経」と「営」という漢字の意味を確認します。

「経」とは、「まっすぐにとおった織物の縦糸」の意味です。地球の南北方向の経度(経線)もこの意味から転じています。

「営」とは、もともと「營」と表記されており、「建物の周囲に丸い外枠をめぐらすこと」を意味します。つまり、工事の初めに、外枠に縄を張りめぐらして杭を打ち込み、全体の大きさ、規模を定める動作を「営」と言います。なお、ここから、大将の幕舎の周囲に垣をめぐらしたのを「陣営」といいます。

以上から、「経」とは直線の区画を切る工事作業を示し、「営」という外側をとり巻く区画をつける工事作業を示しています。

すなわち、土木工事や建築を始める際に、まず「経」と「営」という作業を行ったというのが「経営」の語源です。

仏教用語としての「経営」は「布」に例えられる

「経営」は仏教用語しても使われています。

ここでは、「経」は「筋道(道理)を通すこと」であり、「営」はそれを「行動に現す」ことです。

教育(寺の修行)では、これらのことを「布」に例えています。「経」は織物でいえば縦糸のことを指し、縦に筋がしっかり通っている様子(正しい筋道、正しい道理)を示します。「営」は織物の横糸を指し、自由奔放に動く様子のことを示します。

ビジネスと経営は「儲かるか」と「仕組み化」の違い

経営と同じような言葉で、ビジネス(Business)があります。では、経営とビジネスは同じ意味でしょうか。それとも異なる意味を持つのでしょうか。

ビジネスの基本は、たった3つです。

1.買ったもの・つくったもの・サービスをお客さまに売って、お金をいただくこと
2.何かを買ってお金を支払うこと
3.1.から2を引いた残りが1円以上プラスであること

つまり、ビジネス・商いとは、企業活動を通じて利益を出せているかということです。

一方、経営とは、先で述べたように「まっすぐな筋道を立てること」ことであり、「枠組みを作ること」です。ここでは、利益についての考えは一切ありません。

これがビジネスと経営の違いです。非営利組織でも、経営が必要なことを考えて頂ければ、容易に理解して頂けるかと思います。

経営者の役割は、仕組みを作ること

では、経営をもう少し掘り下げ、経営者の役割について考えてみたいと思います。

あなたは、経営者の役割は「社員の業務を管理すること」と考えていないでしょうか。

「社員の業務を管理すること」とは、極端に言うと、社員の業務に対して具体的な指示を出し、行動を評価すること、と言えます。

しかし、ここまでの説明を読んで、経営の語源を知って頂き、ビジネスとの違いを知って頂いた今、少し異なる考えに及んでいるのではないでしょうか。

経営者としての「経」とは、「夢・想い・理念」

ここで経営の「経」の意味である「真っすぐな筋道を立てること」とはどういうことでしょうか。これをひと言で表すと「夢・想い・理念」であると表現できます。

経営者としての「営」とは、「仕組みを作ること」

また、経営の「営」の意味である「枠組みを作ること」、また仏教用語として「自由奔放に動く様子」とはどのようなことでしょうか。これをひと言で表すと「社員が自由に行動できる仕組みを作ること」だと言えます。

すなわち、経営者の役割とは「事業の理念・志を立て、その目的を達成するために、社員が自由に行動できる仕組みを構築すること」と定義できます。

あなたは、経営者として、理念・志を立てていますか?また、その目的を達成するために、経営者として社員が自由に行動できる仕組みを構築していますか?

まとめ

あなたは、経営者として、日々、足元の課題に対して悩まれているかと思います。

「悩み」とは、ゴールや制約が曖昧で、何を考えれば良いかが不明確なまま、思いわずらっている状態となり、物事を上手く進められないことを言います。このような「悩み」の状態から抜け出すためには、「考え」を定める必要があります。

この「考え」は「思考の軸」と呼ばれます。この「思考の軸」を定めて頂く機会として、経営者の役割について、語源から「経営」を紐解きました。

あなたは、経営者としてのご自身の役割をどのように捉えていますか?今回の内容が、あなたの新たな気付きに繋がっておれば幸いです。

また、経営の「経」となる、理念・志である「経営理念」についても「経営理念こそ、経営の必要条件」を合わせてご一読頂ければと思います。

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