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2020.01.12

脳科学マーケティングの基本要素

脳科学マーケティングの基本要素

「今後のマーケティグに必須となる脳科学」では、人間の脳は、進化の過程の名残が残っており、爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳の三層構造に分けられる。目や耳から入ってきた情報は、爬虫類脳→哺乳類脳→人間脳の順番で処理されている。

そして、人を動かす・記憶に残すために必要なのは、まずは、如何に爬虫類脳・哺乳類脳に、情報を受け入れてもらえるかが極めて重要である、と説明しました。

脳科学マーケティングの基本要素

今回、この爬虫類脳、哺乳類脳に受け入れてもらうための基本的なノウハウ・テクニックについて説明します。

具体的には基本要素として以下が挙げられます。以下、順に説明していきます。

1.原始的にする(プリミティブ)
2.比較させる
3.発見的(手法)をもりこむ(ヒューリスティック)

原始的にする(プリミティブ)

人が絶えず、興味を失わないものを指します。
言い換えれば、人類が誕生した時から常に触れ続けているものです。
そして、種を存続させていくための基本的な本能に大きく関係しています。

より具体的には、以下が挙げられます。

  • 「性的な象徴」
  • 「人の顔(特に赤ちゃん)」
  • 「食べ物」

「性的な象徴」と言えば、やはり、水着の女性が映っている写真などは、男性陣であれば、嫌でも目が留まるのではないでしょうか。
異性に興味・関心が及ぶのは、種を存続させる基本的な本能だと言えます。

「人の顔」も爬虫類脳を刺激する要素の一つです。
特に純粋無垢な赤ちゃんの笑顔には、誰もが目を留めて見入ってしまうのではないでしょうか。
人・赤ちゃんに興味・関心が及ぶのも、子孫を残す基本的な本能だと言えます。

「食べ物」の話も人々は大好きだと思います。
古今東西問わず、おいしい物を食べたい欲求や、TVではグルメ番組は外せないカテゴリではないでしょうか。
食に興味・関心が及ぶのも、生命を存続させる基本的な本能だと言えます。

この原始的にするというテクニックは、先のマーケティングでお伝えしたABCプロセスのAttract(惹きつける)において極めて重要な要素となります。

比較させる

繰り返しとなりますが、爬虫類脳は生存本能を司る機能です。
このため、今までの日常との違いや変化には敏感に気付くようにプログラムされています。

その性質を利用して、ある行動を取った時のビフォアー・アフターを語る。といった比較要素を明示することが爬虫類脳・哺乳類脳を刺激するのに効果的です。

また、ある行動を取った時のメリットとデメリットを比較表などを用いて明示することも有効となります。

更には、これは人間脳の習性を利用したものになりますが、質問を投げかけるということも有効です。
人は、質問を投げかけると答えを探し出そうとするためです。

「○○と××では、どちらが良さそうに見えますか?」

などと、クイズ形式で比較要素を組み込むものです。

これらのテクニックは、先のマーケティングでお伝えしたABCプロセスのBuild(関係を構築する)において効果的な要素と言えます。

発見的手法をもりこむ(ヒューリスティック)

発見的手法はヒューリスティックとも言われます。
この発見的手法とは、必ず正しい答えを導けるとは限らないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法を言います。

この手法では、答えの精度が保証されない代わりに、回答に至るまでの時間が少ないという特徴があります。

人は、ある選択を迫られている時、その人の脳は苦痛を感じていると言われています。
このため、選択を迫られた状況下では、人には苦痛を早く解消したいという心理が働きます。

つまり、その選択を手助けしてくれる、いわば、思考を短絡化してくれる発見的手法が効果的になってくるというわけです。

その中でもいくつか方法があり、代表的なものが以下のような社会的証明があります。

  • 「権威者の言葉」
  • 「お客さまの声」

具体的にイメージしてもらえるように、一つの例を挙げてみます。

あなたは、出張で見知らぬ土地に来ました。
そろそろ、晩御飯を食べたいと思いました。
そんなあなたの目の前に、2件のお店が現れました。

1つ目のお店は、店内がガラガラです。直ぐにでも入れそうです。
しかし、念のためスマホでお店情報を確認しました。
飲食サイトにはレビューは載っていませんでした。

2つ目のお店は、お店の外にも行列ができています。
こちらのお店についてもスマホでお店情報を確認しました。
飲食サイトでも、評判のお店のようです。

この場合、あなたはどちらのお店を選ぼうと思いますか?
お腹が減りすぎて、並ぶことなく直ぐ何かを食べたい、と極限状態でない限り、おそらく2店目のお店が気になるかと思います。

これが、発見的手法の例です。
つまり、自分では判断できない、もしくは判断するより、「みんなが選んでいるものは間違いなさそうだ」と、間違いが無さそうな判断材料を引き合いに出して、最終的な判断を下すわけです。

このテクニックは、先のマーケティングでお伝えしたABCプロセスのConvert(行動を促す)において効果的な要素です。

マーケティングとは、ABCプロセスでも説明したように、最終的には「Convert/行動してもらう」ことを目的に、様々な活動を行うことになります。

これまで説明してきたように、人に行動してもらうためには、人の脳の構造・働きを知ることが重要であり、その機能を理解した上で、様々な打ち手を考えることが、有効であることを感じ取っていただけたのではないでしょうか。

この脳科学マーケティングの重要性は、近年、色々なところで言われ始めていますが、まだまだ自社のマーケティングに使われている会社は少ないように思います。

皆さんの会社におかれましても、自社のマーケティング施策について、上記のような脳科学の観点から見直して頂ければ、新たな気づきが得られるのではないでしょうか。

実際には、まだまだ、具体的な打ち手をイメージすることができないかもしれません。
しかし「脳科学がマーケティングに使われているのだ」という事実を知って頂くだけでも、これからの情報に対する感度は変わってくるかと思います。

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