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2020.01.12

今後のマーケティグに必須となる脳科学

今後のマーケティグに必須となる脳科学

あなたは、以下のフレーズを聞いたことがあるでしょうか。

「人は理論ではなく、感情で動く」

このフレーズを聞いたことがなくても、もしかすると、こちらを聞いたことがあるかもしれません。

「人は感情でモノを買い、それを理屈で正当化する」

脳の三層構造説

実は、これらのフレーズには、人の脳内における情報伝達の仕組みが隠されています。

つまり、人の情報伝達は、脳の仕組みに左右されていると言われています。この脳の仕組みとは、脳の進化の歴史でもあります。

アメリカの脳科学者であるポール・マクリーン博士は、1960年代に脳の三層構造説(三位一体論)を発表しました。

ポール・マクリーンによれば、人間の脳は「爬虫類脳→哺乳類脳→人間脳」の順番で進化し、機能を複雑化させ高度化させてきたと言います。具体的には、以下のように説明されます。

爬虫類脳

爬虫類脳とは、自立神経系の中枢である脳幹と大脳基底核により成り立つ。

別名、反射脳とも呼ばれ、心拍、呼吸、血圧、体温などを調整する基本的な生命維持機能、生存本能を司る。

哺乳類脳

哺乳類脳とは、海馬、帯状回、偏桃体といった大脳辺縁系から成り立つ。

別名、情動脳とも呼ばれ、個体の生存維持と種の保存に役立つ快・不快の刺激と結びついた本能的情動や、感情・行動に繋がる動機を生起させる機能を担い、危険や脅威から逃避する反応や外的を攻撃する反応など、原始的な防衛本能を司る。

人間脳

人間脳とは、大脳新皮質から成り立つ。

別名、理性脳とも呼ばれ、論理的で未来的な思考、言語機能と記憶・学習能力、空間把握機能など、最も発達した知性・知能の源泉であり、目的意識を司る。

 

このように、脳は中心部から膨らむように進化してきましたが、実は人が情報を処理する順番も、脳が進化した軌跡に沿って行われると言われています。

つまり、耳や目から入ってきた情報は、まずは爬虫類脳で処理されます。
そして、必要と感じられたら哺乳類脳へ移動します。
この哺乳類脳で処理されて、必要だと感じられたら人間脳へ移動されます。
最後に、人間脳で処理されて、必要だと感じられたら、記憶に残ったり、理性で行動に移してもらえることになります。

その時、あなたはどのような感情を抱き、どのような行動をとりますか?

この脳内の情報伝達について、具体的な例を挙げて説明します。

今、あなたは、車に乗っています。交通量の少ない道路を走って、目的地に向かっています。すると急に、後方でパトカーのサイレン音が鳴りました。

・その瞬、体がビクッと反応します。
・次の瞬間には、ほぼ無意識にアクセルを弱め、速度を落とします。
・同時に速度を確認しようとして、速度計に目を向けます。
・そして次に、バックミラーでパトカーの存在を確認します。
・自車以外の他の車の存在も確認します。
・何が起こっているのか、はっきりさせようとします。
・具体的には、次のように考えます。

「あの後ろのパトカーは、どの車に向かって、サイレンを鳴らしているのか。もしかして、自分なのか、それとも、自分の車を追い越して違う目的地へ急ごうとしているのか」

・最後に、判断した状況に対して結論を下します。

「あぁ。どうやら、パトカーは他の現場に急いでいるようだ。ここは、ハザードランプを点滅させて、路肩に停めて、道を開けた方が良いな」

行動の過程と脳の反応

この行動を脳の反応と合わせて解説すると、以下のようになります。

・パトカーの音が聞こえた時に、無意識にビクッと反応する。ある種の恐怖感を覚えたのが爬虫類脳です。

・この状況判断で働いたのが哺乳類脳です。本能的に感じた恐怖に対しての安全意識が高まり、今何が起こっているのかについて、必死に情報を集めようと行動しました。

・そして、最後の結論を下し、実際の行動に移したのが人間脳になります。ここまでの流れで受け止めた情報を整理して、論理的な結論を導き出したというわけです。

このように、入ってきた情報は、爬虫類脳→哺乳類脳→人間脳の順番で処理されているのです。

逆に言えば、爬虫類脳哺乳類脳を刺激しない情報というのは、よほど注意をしていたり、自らの意思で集めようとしない限り、脳内に受け入れられることはありません。

学校の勉強とか仕事内容などが当てはまります。つまり、よほど意識しなければ、学んだ内容が頭に入ってこないという状況です。

このように、人を動かす・記憶に残すために必要なのは、まずは、如何に爬虫類脳・哺乳類脳に、情報を受け入れてもらえるか、が極めて重要となってくるのです。

ニューロマーケティング

この脳の働きを上手くマーケティングに活用した手法が「ニューロマーケティング(脳科学的マーケティング)」です。

もう少し詳しく説明すると、このニューロマーケティングは、脳科学の立場から消費者心理や行動の仕組みを解明し、マーケティングに応用しようとする試みです。

このニューロマーケティングを使った手法により、感情の動きなどの無意識下の決定プロセスに迫り、多様化した消費者の心をつかむことが可能になります。

近年、このニューロマーケティングの視点を用いた、様々な手法が提唱されており、具体的には、以下のようなものがあります。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、始めに印象的な情報を与えることで、その情報を評価・判断基準とさせることで、その後の意思決定に影響を及ぼす効果を指します。

おとり効果(ファントム・オプション)

おとり効果とは、複数の選択肢で、どれを選択しようか迷っている消費者に対して、「明らかに劣った」選択肢(おとり選択肢)を提示する。

その結果、消費者が特定の選択肢を選ぶようになる効果を指します。

まとめ

今回、マーケティングに新しく入ってきた、脳科学の視点を説明してきました。

そして、その脳科学をマーケティング手法に取り入れた脳科学マーケティング(ニューロマーケティング)の具体的な手法について触れました。実際には、脳科学マーケティングは、たくさんの手法が提唱されています。

今回は、具体的な手法には触れませんが、また別のブログでお伝えしたいと思います。

脳科学マーケティングの手法は、人の無意識下に作用するため、効果が極めて高いことが特徴です。

是非、自社でも脳科学マーケティングの手法が使えないか?という視点で、取組みを見直してください。きっと、新しいアイデアが生まれてくると思いますよ。

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