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2020.02.12

財務諸表の「つながり」を抑える

財務諸表の「つながり」を抑える

中小企業の経営者の皆さんは、業務全般にも気を配りながら、従業員にも目を配り、忙しい日々を送っていると思います。

そして、経営に関する悩みは絶えないと思います。
そのような経営者の方に少しでもお役に立てる情報を提供できればと思います。

経営者の立場では「会社業績を数字で見ていく必要がある」と頭では理解しているけれど、実際には「自分は数字には弱いから、決算書は理解できない」と頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。

また、「決算書は理解できなから、粗利益のみで経営を見ている」という経営者の方も多いのでないでしょうか。

理由は色々あると思いますが、単純に「財務会計は、なんだか難しい」という消極的な先入観が影響している方が多いのではと思います。

今回、そのような経営者の方に、是非とも抑えておいて頂きたい財務会計を理解するキモをお伝えしたいと思います。

決算書は誰のために書かれたもの?

決算書のうち、代表的な3つの決算書である財務諸表は財務三表とも言われ、以下の3つを指します。

  • 貸借対照表, B/S
  • 損益計算書, P/L
  • キャッシュ・フロー計算書, C/F

では、上記で挙げた「自分は数字には弱いから、決算書は理解できない」という経営者の方への問いがあります。

これら財務諸表は誰のために作成しているのでしょうか?
もっと言うなら、財務諸表は誰が見るのでしょうか?


「税務署」という回答も聞こえてきそうです。

その答えも間違っていませんが、そもそもの財務諸表(決算書)の役割が何なのかというと、それは「利害関係者への対外報告書」としての役割です。

利害関係者とはステークホルダーとも言われ、近年はその解釈範囲は拡大傾向にあり、社員なども含まれます。しかし、より馴染みのある利害関係者とは株主ではないでしょうか。

つまり、財務諸表は、会社の経営状況について、社内の人間が見るために作成しているのではありません。あくまでも、社外の人間(株主)に会社の状況を報告するために作成しているのです。

では、会社の状況は、誰が一番知っていますか?
当然、経営者の方が一番よく知っているのではないでしょうか。

結論から申し上げると、その会社の状況を一番良く知る人間である経営者が、ご自身の会社の財務諸表を理解できないはずはありません。

つまり、
「財務諸表は、なんだか難しくて理解できない」という消極的な先入観は全くの間違いなのです。

そして、もう少し正確に表現するならば、「財務諸表を作成するのが難しいのであって、財務諸表を読むのは難しくない」のです。

更に、表現を変えるなら、「財務諸表を作成するのは専門性が必要なので難しいが、財務諸表は誰にでも読めるように作成されている」ことが、財務諸表の前提なのです。

そして、「財務諸表は、なんだか難しくて理解できない」と思い込んでいる経営者の方は「財務諸表は難しいから読めないのではなく、基本構造を勉強していないから読めないだけ」なのです。

つまり、財務諸表が読めるようになるには、まずは基本構造を理解する必要があったのです。

財務諸表の基本構造

では、財務諸表の基本構造とは一体なにか?
それを説明する前に、会社の3つの基本活動について確認します。

会社の3つの基本活動とは以下です。

  • お金を集める
  • 集めたお金を投資する
  • お金を稼ぐ

そして、この3つの基本活動に伴う、お金の流れを追ったものが財務諸表となります。
つまり、財務諸表の基本構造はお金の流れです。

貸借対照表, Balance Sheet(B/S)

貸借対照表, B/Sでは、

右側の負債・純資産の部で、お金を集めたその内訳が一覧表にされます。
一方、左側の資産の部で、集めたお金の投資の内訳が一覧表にされます。

損益計算書, Profit and Loss statement(P/L)

そして次に、損益計算書, P/Lにより、お金を稼いだ活動内容が記載されます。

単純には、収益(売上)から費用を引いた額が利益となります。

キャッシュフロー計算書, Cash Flow statement(C/F)

最後に、キャッシュフロー計算書, C/Fは、以下の3つで構成されます。

  • 「お金の集めた流れ」を記載した財務C/F
  • 「お金を投資した流れ」を記載した投資C/F
  • 「お金を稼いだ流れ」を記載した営業C/F

図で表すと、以下のように会社の3つの活動と財務諸表が繋がっていることが分かって頂けると思います。

財務諸表の中身の詳しい説明は他に譲るとして、今回は財務諸表の「つながり」について説明しました。

繰り返しとなりますが、大前提として、財務諸表は「社外の人でも誰もが見て分かるように作成されている」ため、書いてある内容が難解で読めない、ということはあり得ません。

これまで苦手意識あった経営者の方は、先入観で「自分には読みこなせない」と自己暗示にかけてきただけだと思います。

是非、「自分は財務諸表が読める・理解できる」というセルフイメージに書き換える機会になっておれば、とてもうれしく思います。

--ちょっとした豆知識--
貸借対照表の右側(負債・純資産の部)と左側(資産の部)は集めたお金と投資した内容とが一致するため、その両者は等しい金額になります。

この右と左の金額が等しくなる(バランスする)ことから、貸借対照表がバランスシートと呼ばれる、と説明されることが多いですが、本来Balanceとは会計用語で「残高一覧表」という意味があります。

すなわち、Balance Sheetとは「負債、純資産、資産の残高一覧表」という意味で使われています。知っていましたか?
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