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ひと言で「人事制度」と表しても、等級制度、評価制度、報酬制度の3本柱で構成されています。
報酬制度(賃金制度)については「賃金は何に対して支払われているのか」にて説明しました。今回は、評価制度について説明します。

評価制度とは
改めて、評価制度とは、人事制度を構成する一つの制度です。等級制度、報酬制度と関係付けられて、実際の運用が行われています。
評価制度の始まり
この3本柱の制度は、人事制度が構築される過程で順番に検討されてきました。具体的には、まずは、奉公という形で、報酬制度(後の賃金制度)が始まりました。その後、日給や月給などの給与を決めるために、出来高などで成果(実績・業績)を評価する評価制度が導入されました。そして、給与制度と評価制度とが関係付けられた社員を区分する等級制度が確立されるに至っています。
人事制度の考え方とやり方
つまり、人事制度は、報酬制度→評価制度→等級制度という順番で成り立ちました。しかし、現代社会で人事制度を構築する際は、等級制度→評価制度→報酬制度の順番で検討されることが多いです。
この人事制度を構築する順番は、人事制度の作り方、つまり、「やり方」と言えます。一方、人事制度の成り立ちは「考え方」と言えます。
全てにおいて、大切なのは「やり方」よりも「考え方」です。つまり、人事制度の「考え方」を大切にするためにも、人事制度の成り立ちも理解して頂きたいと思います。
評価の目的:なぜ評価するのか?
「考え方」を理解して頂くためには、目的を抑えておく必要があります。ここでは、評価制度の大きな2つの目的について説明します。
1つ目は、会社側の視点で見た場合です。2つ目は、社員側の視点で見た場合です。この2つの視点について、以下で説明します。
会社側の視点では、会社への貢献度を評価することが目的
会社側の視点で見た場合、評価制度を報酬制度との関係性で考えます。
民法623条では、雇用契約は、当事者の一方(労働者)が「労働に従事」し、相手方(使用者)が「これに対してその報酬を支払う」契約をいいます。つまり、人事制度では「報酬は労働の対価」と定義されています。
つまり、会社が社員に支払う報酬を決めるために、労働内容を評価する必要があります。このことから、評価制度は、報酬を決めるための制度と言えます。言い換えれば、評価制度の目的は、社員の会社への貢献度を評価することです。
社員側の視点では、社員自身の成長のために評価することが目的
社員側の視点で見た場合、評価制度を等級制度との関係で考えます。
等級制度とは、能力や職務や役割などの観点から社員を区分(等級でランク付け)する制度です。この社員の等級を決めるために、評価制度が運用されています。
しかし、評価制度は、単に社員を等級でランク付けすることが目的と考えてはいけません。評価制度の本来の目的は、その評価を通じて、社員の成長を促すことです。
具体的には、人事評価を通じて、社員を活かすために社内でのキャリアパスを考えたり、より高い能力、職務、役割を発揮してもらうための人材育成に活用するために、評価制度が存在します。
特に、日本では新卒採用が基本ですが、これは社内で求められる職務を遂行する能力をゼロから育成していくことを前提としています。つまり、日本では、人事制度(報酬制度・評価制度・等級制度)を通じて、社員を育成していくことが求められているのです。

評価の項目:何を評価するのか?
評価制度には、以下のような評価項目があります。なお、評価制度にどのような評価項目を導入するかは、報酬制度や等級制度によって変わってきます。
成果・実績・業績
業務の遂行度や目標の達成などを評価します。業務の遂行度は、仕事の量や質、スピードなども判断します。
営業職など、成果を数値で測定しやすい職種は、定量的な評価が可能です。一方、事務職など、仕事の成果を数値で測定することが困難な職種では、定性的な評価が中心になります。
情意
情意評価は、業務への取組み姿勢を評価します。単に「業務への意欲」を持っているかだけではなく、勤怠状況以外にも、規律を守っているか、他の社員と協調して業務遂行しているか、などが判断項目になります。
職務
職務とは、担当の任務や業務を指します。各職務の内容や性質を分析し、必要とされる知識、技能、精神的・肉体的負荷、作業条件などの要素に基づいて、相対的な価値を評価します。定常業務などの職務内容がマニュアル化し易く、相対的に評価しやすい業種に適しています。
この職務を軸に社員区分を決定した制度を職務等級制度と呼びます。
能力
能力とは、業務の難易度に応じた業務遂行に必要な知識、技術、技能のほか、獲得した資格なども含みます。
この能力を軸に社員区分を決定した制度を職能資格制度と呼びます。職能資格制度では、与えられた業務で発揮した能力の高さを評価します。
役割
役割とは、職務としての業務内容だけではなく、業務遂行の責任も含めたものを指します。
この役割を軸に社員区分を決定した制度を役割等級制度と呼びます。職務等級制度と職能資格制度との特徴を併せもった比較的新しい制度です。
評価の方法:どのように評価するのか?
実際の評価では、各項目が記載された評価シートを用いて実施されます。しかし、そのやり方や内容には様々な方法があります。代表的な評価方法を以下に説明します。それぞれの方法のメリットやデメリットも合わせて説明します。
目標管理制度(MBO, Management by Objectives)
目標管理制度は、社員個人やチームで目標を設定し、その達成度を評価するという手法です。
目標管理制度には「目標に対する到達度で評価するため、客観的評価が可能であるできる」、「達成すべき目標の内容や期限などを明確に示すことで評価がしやすい」、「従業員一人ひとりの目標を経営目標や部門目標と連動させることで業績アップを目指せる」といったメリットが挙げられます。
一方で、「目標達成するために、目標を低く設定する」「個人の目標達成に集中するあまり目標から外れる業務はやらなくなる」など、最初の目標設定が極めて難しいのがデメリットとして挙げられます。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは、「コンピテンシー(業務の遂行能力)」が高い従業員に共通する行動特性に基づいて設定された評価項目に従って評価する手法です。
コンピテンシー評価では、「優れた社員の行動特性に基づいた評価項目を示すことで業績の向上につながる」、「社員が評価に納得しやすい」といったメリットが挙げられます。
一方で、「コンピテンシー(業務の遂行能力)」の基準は、優秀な社員の行動特性について観察やヒアリングを行い、目指すべき優秀な社員像を設定する必要があります。社員数が少ない中小企業などは、評価基準が曖昧となる可能性があるなど、コンピテンシーの設定が困難であるデメリットが挙げられます。
360度評価
360度評価とは、上司や部下、同僚といった複数の立場から、社員を多面的に評価する手法です。勤務態度や意欲といった周囲への影響を判断する情意評価を行うのに適しています。
360度評価をすることで、本人の認識と周囲の評価のギャップを明確にし、具体的かつ客観的なフィードバックが可能になるなどのメリットが挙げられます。
一方で、部下からの評価を気にするあまり上司が適切なマネジメントをしづらくなる、人間関係が悪化する、評価することに慣れていないと評価がバラツキやすいといった問題が発生する可能性があるなど、デメリットが挙げられます。
中小企業における評価制度の位置づけ
評価制度の目的は、先に挙げた大きな2つ以外にも、他にも適材適所の人員配置や、企業文化を作るため、など様々な目的がありますが、この評価制度を社員の成長のための制度と位置付けることは、日本的な考えになります。
つまり、日本な雇用の基本的な考えは、人件費は投資と考えることができます。これは、新卒採用により、社内教育を通じて人材育成するという考え方に通じています。
一方、欧米の雇用の捉え方は、基本的に人件費はコストと考えています。米国では、会社の業績が悪化すると、レイオフと呼ばれる一時解雇が経営手段として用いられていることからも、この考えは容易に理解して頂けるかと思います。
中小企業では、企業規模が小さくなるほど、評価制度を含めて人事制度を導入していない企業が多く存在します。社員が100人未満の企業規模となると、半数以上が導入されていません。
しかしながら、社員数が少なく、社員一人ひとりの活動が会社業績に大きく影響してくる中小企業こそ、社員の成長を促すための仕組みとして、人事制度(評価制度)が必要だと言えるのではないでしょうか。
まとめ
今回、人事制度の3本柱の一つである評価制度について説明しました。
評価制度にも様々な「やり方」が存在します。しかし、その「やり方」が上手く機能するためには「考え方」が重要となってきます。評価制度の「考え方」として、2つの目的について説明しました。
企業規模が小さいと人事制度の必要性について実感することがないかと思います。しかし、もしあなたが、会社の業績を伸ばすために、社員の成長が必要だと考えておられるようであれば、今回の説明で、人事制度の必要性について理解して頂けたのではないでしょうか。
また、現時点で人事制度は導入しているが、本来の意味・目的を理解できていなかったという場合は、今回の内容を踏まえて、今一度、自社の人事制度について見直して頂きたいと思います。
あなたは「ハーズバーグの二要因理論」という言葉を耳にしたことありますか?
これは、人事労務管理に大きな示唆を与えてくれる理論です。今回、この理論から、あなたの会社をより良い会社にする方法を学んで頂ければと思います。

ハーズバーグの二要因理論(Herzberg’s theory of motivation)
ハーズバーグの二要因理論は、アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg)が、19世紀に発表した「How do you motivate your employees?(邦題:モチベーションとは何か?)」という論文で提唱した理論です。
このハーズバーグの二要因理論により、仕事においてどのようなことが社員の満足する要因となり、逆に社員の不満足となる要因であるのかが、明確に示されるようになりました。
ハーズバーグが二要因理論を提唱した時代背景
このハーズバーグの二要因理論が提唱された19世紀当時は、急速に産業化が進み、個々の生産効率を最大限に発揮することが重要視されていた時代です。
ハーズバーグは個々の生産効率を上げるために、仕事への態度を決める要因は何なのか、仕事への満足度やモチベーションを決める要因は何なのかを研究し始めたのが始まりです。
そして、1959年にハーズバーグとピッツバーグ心理学研究所が行った調査における分析結果から、この二要因理論が導き出されました。
ハーズバーグの二要因理論の調査方法・結果
ハーズバーグは調査の方法に「臨界事象法」と呼ばれる方法を用いました。
この「臨界事象法」は、被験者に対して、過去の出来事のうち、特に印象深い、好ましいもしくは好ましくない出来事について詳細に調査する調査方法の1つです。
具体的には、約200人のエンジニアと経理担当事務員に対して、「仕事上どのようなことによって幸福と感じ、また満足を感じたか」「どのようなことによって不幸や不満を感じたか」というインタビューを行い、これまで職場で得られた良い感情、あるいは悪い感情を引き起こした出来事を思い出してもらいました。
そして、そのような感情が引き起こされた理由、その感情が本人の態度に及ぼした影響を詳しく語ってもらいました。
最終的に、このインタビュー調査から抽出された5000もの具体的な動機付けに関する内容を「達成すること」や「承認されること」などの抽象的な要素に落とし込みました。
その結果、社員が感じる仕事への満足度やモチベーションを決める要因には2つの種類があることを明らかにしました。そして、それぞれの要因が社員の行動に及ぼす作用が異なることがわかったのです。
ハーズバーグは仕事そのものと社内環境の2つの要因を明らかにした
この研究結果から、ハーズバーグは人事労務管理に必要な要素を「動機付け要因(Motivator Factors)」と「衛生要因(Hygiene Factors)」の2種類に分けて考えるべきだと提唱しました。
この2つの要因の言葉を用いて、ハーズバーグの二要因理論は、ハーズバーグの動機付け・衛生要因理論とも呼ばれます。
実際、ハーズバーグの二要因理論は、「フレックスタイム制」や、社員が何種類かの福利厚生施策を自由に組み合わせる「カフェテリア・プラン」など、現在の数々のシステム誕生に貢献しています。
動機付け要因は、満足に繋がる要因
ハーズバーグが提唱した動機付け要因とは、達成すること・承認されること・仕事そのもの・責任・昇進・(向上)といった、仕事の満足度に関わる要素です。つまり、人が仕事に満足を感じる時は、仕事そのものに向いていることがわかりました。
そして、これらが満たされると仕事に「やりがい」などの満足感を得ることができますが、逆に欠けていても仕事に対して不満足を引き起こすわけでないことも判明しました。
すなわち、動機付け要因は、「ないからといってすぐに不満が出るものではない」が、「あればあるほど仕事に前向きになる」要素です。言い換えれば、動機付け要因は、仕事の満足に繋がる「満足要因」と言えます。
衛生要因は、不満足に繋がる要因
一方、衛生要因とは、給与・福利厚生・経営方針・管理体制・同僚との人間関係・監督(上司との関係など)といった、仕事の不満に関わる要素です。つまり、人が仕事に不満を感じる時は、その人の関心は自分の社内環境に向いていることがわかりました。
これらが不足すると仕事に対して不満足を引き起こします。しかし、満たされたからといっても満足につながるわけではありません。この要素は、単に不満足を予防する意味しかないことが判明しました。
すなわち、衛生要因は、「整備されていないと社員が不満を感じる」が、「整備していても満足につながるわけではない」要素です。言い換えれば、衛生要因は、社員の不満足に繋がる「不満足要因」と言えます。
満足と不満足は対極にあるのではない
一見すると、「満足」と「不満足」という言葉は、対極にあると考えてしまいます。
すなわち、あなたは「社員が満足できなければ、社員の不満につながる」、「社員の不満を解消すると、社員が満足してくれる」と考えていないでしょうか?
しかし、「動機付け要因(満足要因)」と「衛生要因(不満足要因)」は対極にある要素ではないことを示してくれます。
つまり、動機付け要因と衛生要因が示すことは、「満足」の反対は「満足でない」ということであり、「不満足」の反対は「不満足でない」ということです。

繰り返しとなりますが、仕事における社員の満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではありません。
いわば、このハーズバーグの二要因理論は、社員の「満足」に関わる要因(動機付け要因)と社員の「不満足」に関わる要因(衛生要因)は別の次元で考えることが重要であるということを示しています。
具体的には、給与に不満がある状態で仕事の成果を褒められたとしても、「褒め言葉はいいから給料を上げてくれ」と思うのではないでしょうか。
逆に、やりがいや将来性を感じられないような仕事では、給与に不満が無くても「今の仕事を続けていていいのだろうか」という不安感やモチベーションが低下する恐れがあります。
その結果、「それなりの給与なのに、何故、彼は辞めてしまったのか?」というような、優秀な社員の思わぬ離職や転職につながることになります。
社員の満足度を上げるために、動機付け要因と衛生要因の関係性を理解する
社員の満足度を上げるためには、動機付け要因と衛生要因のどちらか一方だけ満たせばよいというわけでありません。
社員のモチベーションを上手に扱う上では、まずは、この「不満足の反対」が「不満足でない」という点を十分に理解することが必要です。
つまり、仕事に満足してもらおうとして、衛生要因を解消したとしても「不満がなくなる」のであって、決して「満足する」わけではありません。
更に、衛生要因である「給与」や「福利厚生」は、不足・悪化すると不満足を引き起こす要素ですが、求める水準を超えて改善してもあまり影響がなくなります。
一方、動機付け要因である「達成」や「承認」は、仕事の満足度を高める上で重要な要素ですが、衛生要因が満たされていない状態では、動機付け要因だけ満たしても限定的な効果しか得られません。
すなわち、動機付け要因と衛生要因の両方の課題を解決する必要がありますが、衛生要因における課題を解決した上で、動機付け要因を満たす必要があります。
マズロー欲求5段階説を合わせて理解する
この衛生要因を解決した上で、動機付け要因を満たすという順番は、マズローの欲求5段階説と合わせて考えて頂くことで、このハーズバーグの二要因理論の理解が進むと思います。
すなわち、衛生要因は、マズローの欲求段階説でいうと、「生理的欲求」「安全・安定欲求」と「社会的欲求の一部」の欲求を満たすものと対応付けて考えることができます。
また、動機付け要因は、マズローの欲求段階説でいうと「自己実現欲求」「自尊欲求」さらに「社会的欲求の一部」に該当する欲求を満たすもの対応付けることができます。
マズローの5段階欲求説は、下位層の欲求から満たされる必要があると説かれています。この点からも、衛生要因の課題を解決した上で、動機付け要因を同時に満たしていく必要があることを理解して頂けると思います。

社員の満足度を上げるための具体的な方法
ここまでお読み頂いたあなたは、是非、会社の社員満足度を上げたいと考えて頂いていると思います。
そのために、まずは、この「動機付け要因」と「衛生要因」の2軸を使い、各領域の会社の特徴を整理してみます。
現時点で、あなたの会社はどの領域に存在するとお考えでしょうか?これまで説明してきた、「動機付け要因」と「衛生要因」を考え、整理してみてください。
- タイプA:動機づけ要因が満たされ、衛生要因の課題も解決している「健全ホワイト企業」
- タイプB:動機づけ要因は満たされているが、衛生要因の課題は解決できていない「やりがい搾取企業」
- タイプC:動機づけ要因は満たされていないが、衛生要因の課題が解決されている「ぬるま湯企業」
- タイプD:動機づけ要因も満たされず、衛生要因の課題も解決されていない「闇のブラック企業」
如何でしたでしょうか?
以下では、あなたの会社をタイプAに変えていく、また現時点でタイプAであっても更に会社をより良く改革していくためのやり方について説明していきます。

ハーズバーグの二要因理論をマネジメントに活用する方法とは?
ハーズバーグの二要因理論を活用して、タイプAの会社にしていくために、動機付け要因と衛生要因が社員に対してどのような影響を与えるかについて、改めて説明します。
動機付け要因が与える具体的な影響とは?
動機付け要因は、簡単に言えばいわゆる「やりがい」と呼ばれる要素で、生産性に直接関わる要因です。
「やりがいのある仕事です!」という募集がブラック企業の決まり文句のような扱いをされているように、悪く言えば「やりがい搾取」に関わる要因ですが、動機付け要因が満たされていない職場では優秀な人材はやりがいのある仕事を求めて離職してしまいます。
衛生要因が与える具体的な影響とは?
衛生要因は「きちんとしていないと社員の意欲が落ちる」要因です。
給与や福利厚生が満たされていない状態では、いくらやりがいのある仕事であっても、ほとんどの人は生活のために離職を選びます。
ただし、多少給与が低くてもやりがいのある仕事をしたがる人が多いように、一定の水準さえ満たしていれば衛生要因よりも動機付け要因が重要になる点に注意が必要です。
社員の満足度を高めるためには、正しい認識と正しい施策が必要
ここで気を付けて頂きたいのは、より良い会社にしていくために、社員の満足度を上げようと考えた時、「やりがい搾取企業」ほど、さらに動機づけ要因を強化して社員の満足度を高めようとする会社が多い傾向にあります。
また一方で、「ぬるま湯企業」ほど、さらに衛生要因を強化しようとする会社が多い傾向にあります。
これまでに説明してきたように、「やりがい搾取企業」がさらに動機づけ要因を強化しても「健全ホワイト企業」の領域には到達しません。また、同じように「ぬるま湯企業」がさらに衛生要因を強化しても「健全ホワイト企業」にはなれません。
このように、間違った対応を取ってしまう原因は、過去の成功にある可能性があります。つまり、過去に動機づけ要因または衛生要因のどちらか一方を強化して、良い結果が得られた経験が、同じ対応を取る行動を取らせてしまうのだと思います。
しかし、上記の4つのタイプに分類したように、動機づけ要因が高い会社は、衛生要因を強化する必要があます。
また、衛生要因が高い会社は、動機づけ要因の強化に注力する必要があります。
自社分析の効果的かつ具体的なやり方は「社員に聞く」
経営者の立場では、なかなか現状を把握して、自社が4つのどの領域に存在するかを確認することが困難である可能性が考えられます。そして、具体的に何をどのように改革していけば良いか分からないことも予想されます。
そのような時、一番効果的で具体的なやり方は、「社員に実態を聞く」ということです。例えば、まずはあなた自身で考えて、4つのどの領域に存在するのかを考えた上で、その後に社員にも(匿名で)「どの位置にあると感じているか」ということを、シールを張って表現してもらうやり方が考えられます。
また、冒頭で説明したように、ハーズバーグは調査の方法に「臨界事象法」を用いました。この「臨界事象法」は、被験者に対して、過去の出来事のうち、特に印象深い、好ましいもしくは好ましくない出来事について詳細に調査する調査方法の1つですが、同様に、社員にインタビューするやり方も考えられます。
いずれにせよ、「今、社員が満足しているか?不満足を感じているか?」を直接確認することが、第一歩です。
まとめ
ハーズバーグの二要因理論は新しいものではなく、今から半世紀以上前に提唱されたものです。
しかし、この理論を知っている方は少ないと思います。なぜか?その理由の一つとして、当時から学術研究としての調査方法や結論の導き方に対する批判が多くあったことが挙げられます。
しかしながら、社員の満足度を上げるという、経営者として目の前の大きな課題の前では「満足」と「不満足」が同軸上に存在すのではなく、別々の軸上にある。すなわち両者は次元が異なるという考え方は、大変気づきが大きい理論ではないでしょうか。
まずは、あなたの会社でも、この動機付け要因と衛生要因の二つを区別して社内の状況を整理することで、新たな視点が得られことを期待しています。
そして、客観的に見つめ直すことで、より社員の満足度が高い会社にしていくためには、動機付け要因と衛生要因の両方を改善していく、継続的な取組みの必要性を感じて頂き、明日からの活動の気付きにして頂ければ幸いです。
追伸:最後まで読んで頂いて、「給与」は衛生要因なのか?動機付け要因なのではないか?と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。この話については、別途機会を改めて説明したいと思います。
あなたは、「経営資源」について考えたことがあるでしょうか?
企業活動では、商品やサービスを作り、顧客に提供しています。この商品やサービスを作り、顧客に提供するためには、資源(資本や労働力)が必要です。
つまり、経営活動を行うための資源全体が「経営資源」です。

経営資源の様々な定義
経営資源には、「ヒト・モノ・カネ」の3つがあります。この3つは、昔からよく言われており、あなたも耳にしたことがあるかもしれません。
IT技術の発達により、この3つに加え、「情報」も含まれるようになりました。
そして更に、近年では、「時間」や「知的財産」までも含めて考えられるようになり、この6つが経営資源と言われたりします。
知的財産とは、特許などの文書化されているものから、暗黙知(あんもくち)と呼ばれる、いわゆる職人技術のような言語化されていないものまで含まれます。
経営資源の7S
コンサルティング大手のマッキンゼー社では、組織の7Sというものを上げており、これらを経営資源と定義する考えもあります。その7Sが以下です。尚、この7Sはハードとソフトで2大分類されています。
ハード的経営資源
- 戦略(Strategy)
- 組織(Structure)
- システム(System)
ソフト的経営資源
- スキル(Skill)
- 人材(Staff)
- 社風(Style)
- 価値観(Shared value)
経営資源の5M
経営資源の5Mという定義もあります。
- 資金(Money)
- 資材(Material)
- 機械設備(Machinery)
- 方法(Methods)
- 人的資源(Man power)
経営資源の4つの資本
次の4つの資本を経営資源と定義する場合もあります。
この4つの資本の分類は、アメリカの経営学者であるジェイ・B・バーニーが、企業の内部にある戦略に使えるものを全て「経営資源」と呼び、それらは次の4つのカテゴリーに分類できるとしました。
- 財務資本(Financial Capital)
- 物的資本(Physical Capital)
- 人的資本(Human Capital)
- 組織資本(Organization Capital)
そして、ジェイ・B・バーニーは、著書『企業戦略論(上)基本編』で、「一般に企業の経営資源とは、すべての資産、ケイパビリティ(能力)、コンピタンス、組織内のプロセス、企業の特性、情報、ナレッジなど、企業のコントロール下にあって、企業の効率と効果を改善するような戦略を構想したり実行したりすることを可能にするものである。」と論じています。
繰り返しとなりますが、経営資源とは、その企業が経営理念を実現するために、企業が活用できる全ての資源を言います。それが、時代によって変化したり、また人によって色々と定義が異なっているだけです。

経営者の役割は経営資源の配分
しかし、時代が変わっても、変わらないものも存在します。経営においては、その一つが経営者の役割です。
確かに、時代が変われば、経営者の役割は変わってくる可能性があります。しかし、現時点でも、変わっていない経営者の役割とは一体何か。
それは、「経営資源の配分の決断を下すこと」です。
経営資源の配分は経営者しかできない仕事
この「経営資源の配分の決断を下すこと」とは、限られた経営資源を使って、どのように効率よく企業活動を行っていくのかを判断して、実際の活動を意思決定していくすることです。
つまり、経営資源を「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つに分類した時、以下のように問うことができます。
- ヒトの配分:どのような仕事に対して集中してヒトを割り当てるのか?
- モノの配分:製造業において複数製品を作る機械を保有している時、どのような割合で機械を稼働させるのか?
- カネの投資:他の経営資源を手に入れるために、何にカネを割り当てるのか?
- 情報の投資:どのような情報を入手し、どの情報を活用して(経営)判断するのか?
因みに、ひと昔前、経営を語る上で「選択と集中」という言葉が流行りました。これは単に「経営資源の配分の決断を下すこと」を言い換えているに過ぎません。
また、「ビジネスステージの正しい登り方」では、マネージャーの仕事は投資することであると説明しました。これは、カネの投資先に焦点を当てた説明でした。
経営者の役割は、この投資も含めて「経営資源の配分の決断を下すこと」です。そして、この「経営資源の配分の決断を下すこと」は、経営者にしかできない役割です。
それは、いわゆる社内の「決裁権」とも言えます。もし、あなた以外にもそのような権限があるとすれば、それは権限を委任していることにしか過ぎません。

ヒト・モノ・カネ・情報の順番には、きちんと意味がある
よく議論されるのが、この「ヒト・モノ・カネ・情報」の順番です。
「語呂合わせが良いから」とか、「情報は後で付け足されたから」など言われることもあります。
また、「「モノ・カネ・情報」は「ヒト」が動かすことによって初めて意味をなす経営資源だから」という理由も挙げられたりします。
松下幸之助氏が「企業は人なり」と言ったように、「ヒト」が最も大切なものであることは、誰しも納得されると思います。しかし、これでは「モノ・カネ」の順番は説明が付きません。
経営資源は、移動させるコストが高いほど重要
実は、この「ヒト・モノ・カネ・情報」の順番は、移動コストの高い順番に並んでいるのです。
すなわち、情報は、IT技術の発達により、殆どコストがかからずに全世界に送ることができます。カネは、送金コストがかかりますが手数料程度です。モノは、その大小によって輸送コストがかかります。そして、この中で、ヒトの移動コストが一番大きいことは想像に難くないと思います。
例えば、大阪から東京に経営資源を移動させる場合、以下のようなコストがかかります。
- 情報:メール送信料(ほぼコストゼロ)
- カネ:振込手数料
- モノ:配達料・郵送料
- ヒト:交通費(新幹線代)
上記では、物理的な移動コストのみを考えました。しかし、ヒトを人として動いてもらうためには、心を動かす必要があり、それは目に見えないものも含めると、更に大きなコストがかかることであると理解して頂けるかと思います。
経営資源でよく言われる「ヒト・モノ・カネ・情報」の順番には、きちんと意味があります。それは、移動コストの順に並んでおり、その並びが、そのまま重要度に繋がっているのです。
中小企業の経営者にとって、最も大切な経営資源は「時間」
今回、経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」について説明してきました。その順番と重要度をお伝えしてきましたが、それだけで終わりではありません。
実は、中小企業経営者の最も大切な経営資源がこの中に含まれていません。それは何か。
「時間」です。
つまり、近年「時間」や「知的財産」というものも経営資源に挙げられるようなっていると冒頭で説明しました。このうち中小企業の経営者に、特に意識して頂きたい経営資源が「時間」なのです。
何故か?
それは、先ほどの経営資源の移動コストを考えた場合、「ヒト・モノ・カネ・情報」というものは、どんなコストがかかろうとも、移動させることができる経営資源でした。
一方で、「時間」は移動させることができません。そもそも「時間」は移動するものという概念がありません。すなわち、「時間」は先の4つの経営資源とは異なる次元にあります。
あなたの会社の経営資源として、「ヒト・モノ・カネ」は投資することで増やすことができますが、経営者であるあなたの「時間」は増やすことができません。
あなたの経営資源である「時間」は1日24時間です。その限られたあなたの経営資源という有限な「時間」を何に配分するのか。
29,200日という限られた時間
人生80年と考えた時、人が生まれてから死ぬまでの日数は29,200日(=365日/年×80年)です。
仮に、あなたが40歳とするならば、残された人生の日数は14,600日です。
また、あなたが今のビジネスに関わるのは何歳まででしょうか?
仮に70歳でリタイヤすると考えれば、あなたが今40歳ならば、ビジネスに関わることができる日数は、後30年の10,950日です。
この日数が長いと考えるか、短いと考えるかは人それぞれです。ただ、考えなければいけないのは、この限られた日数で、あなたはどのようなビジネスを展開されたいのでしょうか?
そのように考えた時、改めて経営資源という「時間」の使い方について考える必要があるのだと思います。
まとめ
大きな企業であれば、専門性が高い豊富な人材を抱えているため、仕事を細分化することで、経営者の有限な「時間」を捻出することは容易なのかもしれません。
しかし、中小企業においては、多くの仕事を経営者に頼っているのが実情だと思います。そのため、多くの経営者の方が「毎日が仕事、仕事で、忙しい。」と時間に追われているのではないでしょうか。
もし、あなたがそのよう状況であるならば、今一度、経営資源という観点で、「ヒト・モノ・カネ・情報」そして「時間」の配分について考える必要があるのだと思います。
「成功の2つのタイプを理解して、社員を活かす」では、「去年より人生が面白くなっているか?」と問いました。
決して、楽をすることを勧めているのではありません。「仕事があって忙しい」ことは素晴らしことです。
しかし、「去年よりも人生が面白くなっておらず、仕事に追われて、忙しい。」と感じるのであれば、裏返せば、限りある「時間」という経営資源の配分の決断を見直す必要がある。ということです。
経営者にしかできない役割は「時間・ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源の配分を決断することです。
是非、一度、この経営資源の配分について、考えてみてください。明日から、見えてくる世界が変わってくるかもしれません。
「成功」の定義は人それぞれだと思います。しかし、誰しも成功したいと願っていると思います。
もし、あなたが会社を興されたのであれば、きっと何かしらの夢や願望を達成される成功を望まれたのだと思います。
有名な『ユダヤ人大富豪の教え』を書かれた自己啓発書作家の本田健は、成功にも2つのタイプがあると言います。それが、目標型と展開型です。

目標型と展開型の成功の2タイプ
あなたは、小学生の頃、夏休みの宿題は、計画を立ててコツコツとやり遂げた子供でしたか?それとも、8月後半になって、慌てて宿題に取組んでいた子供でしたか?
もし、夏休みの宿題を計画通りにコツコツとやり遂げられた子供であれば、あなたは目標型です。一方、8月後半に慌てて宿題に取組んでいたのであれば、あなたは発展型です。
おそらく、殆どの方が8月後半に慌てて宿題に取組んでいたのではないでしょうか。それもそのはずです。「目標型の人は5%ぐらいしかいない」と本田氏は指摘しています。
つまり、大半の方が展開型なのです。言い換えれば、殆どの方は、目標・計画を立てて、その計画通りに行動を起こせないのです。だからこそ、世の中では、目標達成のノウハウが多く語られるのではないでしょうか。
しかし、本田氏は「目標型の人しか成功できない」とは言っていません。成功には2タイプがあり、それが、目標型と展開型なのです。
そして、この2つのタイプには、それぞれ、心がけるべき点があります。言い換えれば、それぞれのタイプで、より大きな成功を手に入れるための大事な視点があります。
成功を飛躍させるには目標型と展開型のバランスが大切
目標型
目標型とは、明確な目標を掲げて、それに向かって計画を立ててコツコツと地道に行動することで成功していくパターンです。この目標型は時には山登り型とも呼ばれます。山登りをするように、自力で一歩一歩、山頂を目指して登っていくイメージです。
目標型で気を付けたいことは、自分が立てた計画を達成することにこだわると、自分が予期しないチャンスが巡ってきたときに、そのチャンスを見逃す可能性があります。
つまり、目標達成には、自身が立てた計画を達成することも大切ですが、それだけでは自身の予想範囲内の成功しか達成されません。
目標型の人が成功を飛躍させるためには、自分の外からやってくる幸運を逃さないためにも、次に説明する展開型のように時には周りに流されることも大切である、ということを理解しておく必要があります。
展開型
展開型とは、明確な目標は立てずに、周りの出来事に流されながら、人との繋がりによって、成功していくパターンです。この展開型は、川下り型とも呼ばれます。川下りをするように、川の流れに身を任せて、川を下っていくイメージです。
展開型は、基本的には流れに身を任せているため、気付けば漂流状態となり同じ次元を漂い続け、いつまで経っても成功を手に入れられない可能性があります。
つまり、展開型の人が流れに身を任せつつも、自分が想像する以上の成功を手に入れるためには、時には、目標型のように明確な目標を持つ必要があります。
但し、目標型のように、目標に対する細かな計画を積極的に立てたり、一人で淡々と行動したりすることは難しい場合が多いと思います。
このため、自分自身がワクワクできるような目標を立てることが大切です。
また、目標達成に関連付けた行動が取れるような心がけが必要です。具体的には、その目標に関連があり、あなたが興味を持てるグループに属するなどが考えられます。
また、仲間やメンターと呼ばれる仕事上(人生上)の指導者、助言者が変化の鍵になります。つまり、あなたの背中をそっと後押ししてくる人や、迷っている時に、方向性を指し示してくれる人。そのような人を持つことが大切です。
あなたには、そのような仲間やメンターはいますか?そして、展開型の社員が漂流しているところを次元上昇する手助けをできていますか?
何事にも言えますが、目標型、展開型のいずれのタイプにおいても、より大きな成功を手に入れるためには、両者のバランスが重要です。

常に、「去年より人生が面白くなっているか?」を考える
もし、あなたが、行き詰りを感じているようであれば、自分が目標型、展開型のどちらのタイプであるかを認識した上で、上記に上げたポイントの行動を見直してみてください。
特に、あなたが展開型であると分析されている場合、目標を立てることはとても重要です。この時の目標は明確でなくても結構です。方向性を指し示せる程度でも結構です。漠然と「こうなったら、楽しいだろうな」とワクワクできるような目標を立ててみてください。
そして、この行き詰まりの状態を判断する指標は、「去年より人生が面白くなっているか?」です。
あなたが思うような成功に手が届いていないようであれば、「行き詰っている」と感じるかもしれません。しかし、もし、「去年よりも人生が面白くなっている」ようであれば、確実に成功に近づいているはずです。
一方、「目標に対して、計画通りに進んでいる」と思っていても、「去年よりも人生が面白くなっていない」ようであれば、注意が必要です。あなたが立てた目標には近づいているかもしれませんが、あなたが本当に望む成功には近づいていない可能性があります。
常に、「去年より人生が面白くなっているか?」を考え、取り組むことの修正を心がけてください。
基本的に、社員はあなたよりも展開型の思考
目標型は全体の5%程度といい、大半の方が展開型であると言いました。そして、より大きな成功を手に入れるためには、目標型と展開型のバランスが必要ともお伝えしました。
つまり、全ての人は目標型と展開型に完全に分けられるわけではなく、目標型と展開型の要素を含んでいると考えるのが自然だと思います。
言い換えれば、人によって、どちらが強いか。また、その場面によって、目標型と展開型の思考が強く表れるかの違いであると考えるのが自然だと思います。
そして、もし、あなたが経営者であるならば、目標型の要素が占める割合が大きいと考えられます。何故なら、起業・創業という大きな決断は、何らかの大きな目標型の行動の結果だと言えるからです。
よって、もしあなたが小学生の時、夏休みの宿題を8月後半に取り組んでいたとしても、目標型の要素は大きいと考えられます。
一方で、社員の方は、あなたよりも目標型の要素は小さいと言えます。何故なら、もし社員の方に目標型の思考があれば、きっと、自分自身で会社を起こしているからです。
つまり、社内で比較すると、あなたはより目標型の思考であり、社員の方はより展開型の思考であると言えます。
そこで気を付けて頂きたいことが、あなたの目標型の思考基準で、社員の方に目標型の思考を要求することです。
誰しも得意・不得意が存在し、得意なことは気持ち良く取組めると思いますが、不得意なことはなかなか取り組めないと思います。つまり、あなたの思考基準で、社員に思考・行動を求めることは、社員の生産性を著しく低下させる要因になります。
もちろん、「仕事なんだから。指示されたことやるのは当然のこと」という考えもあるでしょう。しかし、「社員の能力を引き出すことが、社長や経営幹部の当然の仕事である」とも言えます。
経営学者のピーター・ドラッガーは、著書『創造する経営者』で、
「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである」と言います。そして
「人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである」とも論じます。
まとめ
あなたは、社長として、社員の強みを活かすことが出来ているでしょうか?
ビジネスをする上で目標は欠かせません。しかし、数字の目標だけでは、展開型のタイプには響きません。是非、目標設定する際には、展開型の人たちがワクワクできるような目標を設定することを心掛けてみてください。より、一層パフォーマンスを発揮してくれるはずです。
中小企業が、厳しい変化の時代を生き残っていくためには、社員一人ひとりが、活き活きと働き、各々の能力を最大限に発揮する必要性に異論はないと思います。
その社員の能力を最大限に発揮させるためには、社員一人ひとりを良く知る必要があります。
今回、成功にも目標型と展開型の2タイプが存在することをお伝えしました。
目標型と展開型とでは、基本的な思考が異なります。その思考が異なっていることを理解した上で、それぞれを補完する考え方を活かしてください。
そして、会社全員でより大きな成功を掴み取って下さい。
補足
以下、目標型と展開型の補完する考え方を今一度整理します。今後の活動の参考にして頂ければと思います。
目標型の人が、より効果的に夢・願望を実現するポイント
- 最終結果だけでなく、過程を楽しむ(途中で起きることを楽しみにする)
- 時間軸にとらわれず、多少の誤差を許す
- やるべきことより、やりたいこと・ワクワクすることを目標にする
展開型の人が、より効果的に願望を実現するポイント
- 方向性をつくるために目標を作る
- ワクワクできる目標を作る
- 積極的に行動を起こすことが苦手であるため、段取り・準備を大切にする
- より良い成功のために目標は役に立つと考える
経営学者のピーター・ドラッガーは、
仕事を生産的なものにするには、成果すなわち仕事のアウトプットを中心に考えなければならない。技能や知識などインプットからスタートしてはならない。技能・情報・知識は道具にすぎない 『マネジメント』, P.F.ドラッガー
と述べています。
結果を得るためには、行動が必要です。
しかし、そうは言っても「行動できない」という方は、たくさんいるかと思います。何故、行動できないのか?それをABC理論から紐解いていきます。

ABC理論とは
ABC理論とは、アルバート・エリス(Albert Ellis)が1995年に提唱した心理療法である論理療法の理論です。この論理療法は1990年代より、理性感情行動療法(REBT, Rational Emotive Behavior Therapy)と呼ばれるようになります。従来の論理療法という名称では、感情に目を向けない、行動を見ないといった誤解が生じることから、Emotional(感情)とBehavior(行動)の文字を入れるようになりました。
また、論理療法は、後にアーロン・ベックが提唱した認知療法と合わせて、認知行動療法(CBT, Cognitive Behavior Therapy)と称されるようになります。この認知行動療法は、従来の行動に焦点を当てた行動療法から、思考など認知に焦点をあてることで発展してきた心理療法の総称です。
アルバート・エリスは、心理的問題や生理的反応は、事象や外的刺激そのものではなく、それをどのように受け取ったかという認知を媒介として生じるとして、論理的な思考が心理に影響を及ぼしていることを重視しました。
つまり、感情は「ある出来事」そのものが起因するのではなく、その人の「信念」を通じた解釈によって生み出された「結果」であるとアルバート・エリスは論じたのです。
言い換えれば、「ある出来事」と「結果」の間には、「信念」による解釈の違いが存在し、その解釈の違いによって「結果」が左右されると言えます。
そして、同じ「出来事」であっても、人によってその「出来事」に対する「感情や行動(結果)」が異なることがありますが、それは、人ぞれぞれの「考え方(信念)」に影響されているという訳です。
このように、「出来事(Activating event)」から、直接「結果(Consequence)」に結び付くのではなく、必ず「信念(Belief)」を通すことで「結果(Consequence)」として現れてくると考えた理論が、これらの英語の頭文字を取ったABC理論です。
そして、このABC理論が示すことは、「出来事(A)」と「結果(C)」の間にある「信念(B)」を意識的に活用することが、問題解決を促進することに繋がるということです。
2人の社員さんを例にABC理論を考える
例えば、あなたが、佐藤さんと田中さんの2人の社員に対して、仕事について同じ指摘をしたとします。
田中さんは、次のように考えます。
出来事(A):仕事について指摘された
信念(B):(思考)自分は期待されている!
結果(C):(感情)期待に応えるために、もっと頑張ろう!
しかし、佐藤さんは、次のように考えます。
出来事(A):仕事について指摘された
信念(B):(思考)自分は、なんて仕事ができいなんだ。
結果(C):(感情)今の仕事は自分に向いていない。早く辞めたい。
あなたは、常に、田中さんのように解釈してくれることを期待して、仕事に対する指摘をしていると思います。しかし、中には、佐藤さんのように解釈する社員もいます。
このような小さな意思疎通のすれ違いが、時には、社員の立場からは「パワハラを受けた」という大きなすれ違いに発展してしまうかもしれません。

そこで、佐藤さんのように解釈せずに、田中さんのように解釈してもらうためには、どうしたら良いか?
それは、きちんと「意図を伝えること」です。
つまり、あなたの言葉(出来事)が、個々の考え方(信念)による感情(結果)とならないように、意図をしっかりと伝えることが大切です。
そして、その意図が、言葉にしなくても伝わるようになって初めて、会社共通の信念となります。つまり、会社共通の信念になって初めて、意図を伝えなくても、「仕事に関する指摘は、怒られているのではない。次を期待されているのだ」と誰もが指摘を前向きに解釈することができるようになります。
これが、グーグルが唱えた「心理的安全性」です。
心理的安全性とは、グーグルが導き出したチームのパフォーマンスを決定付ける一番大きな要因です。つまり、チームのパフォーマンスを上げるためには、チームメンバー間で不安や恥ずかしさを感じることなく、個々がリスクある行動を取ることができるか。という要素です。
詳しくは「成果を出す組織~関係の質~」をご参照下さい。
「社員が行動しない理由」と「あなたが行動できない理由」
社員が行動しない理由
経営者の方とお話していると、次のような発言を良く耳にします。
「うちの社員は何度指示しても、きちんと行動しない。何故やらないのか、わからない」
これをABC理論で考えてみます。まず、指示(A)から直接的に、行動すること(C)には結びつきません。それは、指示した側と指示された側の両方に言えることです。
すなわち、指示した側では、指示(A)から行動する(C)に至るまでの考え方(B)があるため、指示から行動することは当然のことと考えます。
一方、指示された側にも、指示(A)を解釈する考え方(B)があり、その結果、行動しないという結果(C)に至ります。
つまり、「指示したから、やりなさい」では、人は行動しません。「何故、それをするのか」という考え方が変わらない限り、人は行動しません。
もし、あなたの会社でも「指示しても、その指示に従わない」という社員がいるようであれば、その人の考え方を変える働きかけが必要です。
この考え方を変える働きかけとして「会社共通の理念を醸成していくこと」が最も望ましいです。
一方、極端な働きかけとしては、「指示に従わなければ、人事評価・給与に反映させる」ということを人事制度に明記することも考えられます。
あなたが行動できない理由
さて次は、もし、あなたが「なかなか行動できない」でいる場合、その理由について考えてみたいと思います。
あなたは、「会社を変えていくためには、やることがある。でも、何をすればよいのか分からず、なかなか行動できない」ということはありませんか?
そのような場合、「何をやるべきか?」とやることを探し続けていませんか?
つまり、「行動できない」の結果(C)を変えて、「行動する」の結果(C)を得るために、「やること」という事象(A)を変えることに焦点を当てていませんか?
ここでもABC理論で考えると、「行動できない」の結果(C)を変えて「行動する」の結果(C)に変えるためには、「やること」の事象(A)を変えるのではなく、信念である考え方(B)を変える必要があります。
言い換えれば、これまで「行動できない」結果は、「行動できない」に至る考え方があるはずです。この考え方を変えない限り、「行動する」という異なる結果に変えることはできません。
あなたの行動を変えるための考え方
「あなたが指示しても社員が行動しない理由」と、「あなたがやらなければいけないと考えても行動できない」ことに共通することは、考え方を変えることだと指摘しました。
では、具体的に、あなたの「行動できない」に至った、どのような考え方を変える必要があるのでしょうか。例えを挙げてみると「行動できない」でいる時は、以下のような考え方が想定されます。
- 行動するなら、失敗したくない
- 失敗すると、会社に悪い影響を及ぼす
- 行動して失敗するなら、行動しないほうが良い
そして、「行動する」結果(C)に変えるためには、この考え方(B)を以下のように書き換える必要があります。
- 行動するときは、失敗してもいい
- 失敗しても、会社への影響は小さい
- 本当の失敗は、行動しないことである
いかがでしょうか。「なるほど」と納得して頂ける場合もあるでしょう。しかし、「そんな単純にはいかない」と納得できない場合もあるかと思います。

ABCDE理論で解釈を変える
そのように単純にいかない場合に、あなたの解釈を変える方法が、更なるABCDE理論です。
繰り返しとなりますが、ABC理論は、ある出来事(Activating event)に対して反応は、その人の信念(Belief)を通して解釈された結果(Consequence)です。
つまり、この結果(C)を変えるためには、この非合理な信念(B)を修正する必要があります。
そして、この非合理な信念(B)を変えるために、今の解釈が不適切であると気づいてもらうことを目的として、非合理な信念に対して反論(Dispute)をします。その結果、新しい合理的な信念に変えることができるという効果(Effective)が得られます。
これらの一連を英語の頭文字を取って、ABCDE理論と呼びます。なお、 効果を新しい効果的な信念と言う意味で、Effective new beliefという言葉が使われることもあります。
例えば、「失敗すると、会社に悪い影響を及ぼす」という解釈は以下のように反論(D)することができます。
- 失敗したら、本当に会社に悪い影響を及ぼすのでしょうか?
- 失敗して会社に悪い影響を及ぼすとしたら、具体的にどのような規模でしょうか?
- 失敗した場合、具体的に会社はどのような状態に陥るのでしょうか?
このように反論することで、例えば「失敗しても、会社に与える影響は問題ないレベルである」と解釈を変えていきます。
なお、このような変えるべき不適切な解釈をイラショナルビリーフ(非合理的信念)と呼びます。イラショナルビリーフは、「~であるべき」とか「~であらねばならない」というような融通の利かない信念のことを言います。
一方で、ラショナルビリーフ(合理的信念)は、確実性ではなく確率的な考えに基づいて「~にこしたことはない」という考えです。
つまり、何故、そのような不適切な解釈をしているかを問うことで、合理的な信念に変えていくことがABCDE理論です。

「人はWhatではなく、Whyに動かされる」という言葉がありますが、まさしく、ここでいうWhatが事象(A)であり、Whyが信念(B)です。Whyである信念(B)を変えることが極めて重要であるということです。
まとめ
今回、「行動しない」・「行動できない」をABC理論で紐解いていきました。「行動する」ためには、その元にある「行動しない」・「行動できない」理由を作っている非合理な信念(B)を変える必要があります。
つまり、「WhatではなくWhyが大事」という訳です。言い換えれば「手段と目的」です。「やり方と考え方」とも言えます。
しばしば、目の前の「手段」に焦点が当たってしまうことで、「目的」が見えなくなることがあります。是非、「手段と目的」をセットで物事を捉えて頂ければと思います。
社員にも、「手段と目的」をセットで伝える。
あなたも、「手段と目的」をセットで物事を判断する。
「やり方」だけでなく、その「考え方」をセットで検討する。
当たり前のことと言えば、当たり前のことですが、なかなかできていないのが事実です。今一度、心がけることで、見えてくる世界が異なってくるはずです。
経営やマネジメントの場面では、よく「PDCAサイクル(PDCA)を回すことが大切だ」と聞くことがあると思います。もしかしたら、あなたも社員に「きちんと、PDCAサイクルを回しなさい」と指示をしているかもしれません。
しかし、一方で「PDCAサイクルは時代遅れだ」「これからは、OODAループ(ウーダ・ループ)の時代だ」ということを耳にする人もいるのではないでしょうか。
人は新しいものを好む傾向にあります。特に世間で噂されているものであれば、その新しいものが、より一層よいものに見えてきます。
しかし、経営は、一つの判断が大きな機会損失になります。是非、流行に流されずに、物事の本質を見極めた上で判断する習慣を身に付けて下さい。
今回は、このPDCAサイクルとOODAループについて取り上げます。このPDCAサイクルとOODAループの説明した上で、これら2つに対する考え方を提示したいと思います。

PDCAサイクルとは
PDCAサイクルは、PDCAとも表記され、多くの方が一度は聞いたことがある言葉だと思います。それほど、PDCAサイクルは日本に浸透しています。
このPDCAサイクルは、生産技術における品質管理などの継続的な改善活動を行う際に使われるフレームワークの一つです。1950年代にアメリカの品質管理研究の第一人者であった統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミングとウォルター・シューハートによって提唱された考え方です。
そして、PDCAサイクルのポイントは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことです。PDCAは、それぞれの英語の頭文字を取っています。なお、最後のActは名詞のActionと表記される場面が多いです。
現在、このPDCAサイクルは、管理手法の基礎として利用されるだけでなく、ビジネスやスポーツなど分野を問わずさまざまな場面で活用されています。
なお、提唱者のデミングは、晩年まで「CheckはHold Backという停止を意味することから好ましくない」と主張していました。そして、没年には「Checkは、研究を行うStudyに置き換えPDSAサイクルとすべきである」とも主張していました。
【PDCAサイクルの概要】
- Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
- Do(実行):計画に沿って業務を行う。
- Check(評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価する。
- Act(改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて改善をする。

OODAループとは
OODAループとは、意思決定と行動に関する思考法です。Observe(観察)→Orient(情勢への適応)→Decide(意思決定)→Act(行動)のループによって、健全な意思決定を実現するというものです。
このOODAループは、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が、朝鮮戦争における戦闘機の空中戦での洞察を元に提唱し、元々は航空戦に臨むパイロットの意思決定を対象としていました。
しかし、指揮官のあるべき意思決定プロセスを分かりやすく理論化したものとして、アメリカ全軍やNATO(北太平洋条約機構)加盟国をはじめとする西側各国の軍隊だけでなく、中国やロシアを含む世界中の軍隊でも採用されるようになりました。
そして、今ではシリコンバレーをはじめとするビジネス界でも採用され、アメリカのビジネススクールでも取り上げられるようになっています。
なお、ジョン・ボイド大佐は、航空戦において、どんなに不利な状況からであっても、40秒あれば形勢を逆転できたということから「40秒ボイド」の異名を持っていました。そんな彼の強さの秘訣を一言でいうと「行動に移す速さ」です。
ジョン・ボイド大佐は、軍を引退した後に人間の意思決定に関する研究に没頭し、その研究の末に作り上げたのがこのOODAループです。
すなわち、OODAループは、そのループの速さも必要な要素とされています。
【OODAループの概要】
- Observe(観察):周囲の状況を観察する。
- Orient(方向付け):Observeで分析した結果を踏まえ、行動する方向性を定める。
- Decide(意思決定):Orientで定めた方向性から行動を定め、意思決定を行う。
- Act(実行):Decideまでに決めた行動を実行する。
PDCAサイクルとOODAループの違いは?
よく、PDCAサイクルとOODAループとを比較した説明では、次のように説明されることがあります。
「近年の予測の難しい環境では、臨機応変さやスピードが求められる。しかし、多くの企業では、過去の前例などからPDCAサイクルが染み付いており、スタートアップやニッチ企業との競争では明らかに不利である。
一方、OODAループは、状況の不確実性や不透明性を前提に、機敏な意思決定と行動によって優位性や高いパフォーマンスを実現しうる思考法である」
ひと言で表現すると「PDCAサイクルは行動までに時間がかかる。OODAループは行動までの時間が速い。だから、OODAループの方が優れている」
このような説明は、完全に間違っているとまでとは言いませんが、抑えて置くべきポイントがズレていると言えます。
何故なら、PDCAサイクルは上述したように、もともとは生産管理や品質管理の手法です。そのため「決まっている工程で、どのようにすれば低いコストでより多くの効果を発揮できるか」を解決するのに適した手段です。
つまり、PDCAサイクルは、プロセスを重視しており、数値的な裏付けや指標をもとに目の前の課題や中長期的な視点から企業を成功に導くフレームワークです。
一方で、OODAループは状況に応じて意思決定を行うための思考法です。そのためPDCAサイクルのような決まった業務のフロー改善ではなく、明確な工程のない物事に対して意思決定を行うための手法と言えます。
言い換えれば、OODAループは現場適合性を重視しています。迅速な周囲の観察や迅速な判断、実行が常に求められる市場の動向や顧客ニーズに適合した思考法なのです。
すなわち、PDCAサイクルとOODAループは、効果を発揮するために使われる場面・状況が異なります。一概に「PDCAサイクルは古くて使えない。OODAループは新しくて時代に合った思考法だ」とは言えないのです。
PDCAサイクルとOODAループの共通点
もう一つ、PDCAサイクルとOODAループの違いとして、スタート地点が異なることが指摘され、以下のように説明されることが多いです。
つまり、PDCAサイクルは、計画を立てて実行し、それを評価・分析した上で、はじめて次の改善に移る。
一方、OODAループは、まず現状を観察することから開始し、分析から実行までを速やかに実施する。
結局、サイクル・ループを回すことが大事
しかしながら、どちらにも共通することは、各要素を回し続けることが大切だということです。つまり、プロセスとして回すことができれば、スタート地点が異なったとしても、それは大きな問題ではないのではないでしょうか。
具体的には、両者のプロセスを直線に表すと、各要素が何度も出てきます。
PDCAサイクルのDo(実行)と、OODAループのAct(実行)を起点として考えると、「PDCAサイクルのD→C→A→P」と「OODAループのA→O→O→D」は、実行→検証→修正→仮説の流れでほぼ同じ意味になることに気付いて頂けると思います。
つまり、両者とも仮説・実行・検証・修正のプロセスを回しているに過ぎません。
ここで言いたいことは、成果を出すための活動として「如何にプロセスを回し続けることができるか」。そして、「そのサイクル・ループを如何に速く回せるか」が重要であるということです。

「何のために」の目標を定めておくことが最も重要
そして何より、PDCAサイクルもOODAループも、あくまでも手段・方法に過ぎません。
あなたも、「PDCAサイクルを上手く回せない」「上手く回せないPDCAサイクルは意味がない」ということを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、このようなコメントの背景には、手段である「PDCAサイクルを回す」ことが目的化している現場は多々あります。
極端な話、目標が達成されれば、PDCAサイクルが回せているか回せていないかは関係ありません。
あくまでも、「PDCAサイクル・OODAループで達成したい目標は何なのか?」を見失わずにプロセスを回してください。

OODAループは、新しい概念ではない。
このOODAループは、新星のごとく現れた新しい概念だと考えてしまいます。しかし、実はそうではありません。
では、いつ・どこで考えられていたのか?その答えは、仏教にあります。
仏教の教え:苦集滅道
仏教の教えに、四諦(したい)というものがあります。四諦とは、仏教が説く4種の基本的な真理で、以下の苦諦、集諦、滅諦、道諦の4つを指します。その4つを合わせて「苦集滅道(くしゅうめつどう)」と呼びます。
苦諦(くたい):生死の苦。つまり、現状。
集諦(じったい):苦の原因である煩悩の集まり。つまり、原因。
滅諦(めったい):苦集の無くなった悟りの境地。つまり、あるべき姿。
道諦(どうたい):悟りに至るまでの修行。つまり、やるべきこと。
OODAループ、ならびにPDCAサイクルの各要素と比較すると以下のように対応していると考えられるのではないでしょうか。
つまり、苦諦とは現状を受け入れること。集諦とは苦の原因を知ること。滅諦とは苦集のない理想のあるべき姿のこと。そして、道諦とは、滅諦までに行うこと。

まとめ
今回、従来から馴染みのあるPDCAサイクルと、近年新たに提唱されているOODAループとを比較して説明し、両者が使われる場面が異なることなどを示してきました。
しかし、実は、『OODA LOOP』(東洋経済新報社)の著者チェット・リチャードは、「PDCAの『Check』のプロセス、すなわち結果を観察し、必要ならば状況を変えるという行動にOODAは相当する」と述べています。
つまり、PDCAサイクルは会社・組織に属する活動領域を扱っており、OODAループは個人的な思考領域を扱っていると言えます。
時代と共に、新しい手段や方法が提唱されますが、それらはあくまでもやり方に過ぎません。大切なのは、そのやり方をどのように扱うかという考え方です。
さらに言うなら、正しい考え方と正しいやり方が合わさった時に初めて効果が得られます。やり方に流されずに、しっかりとした考え方を持って頂ければと思います。
ビジネスを行う上で、避けて通れない1つとして「集客」があります。そして、「集客」さえ何とかなれば・・・。と考える経営者は多くいると思います。
しかし、残念ながら「集客」は簡単ではありません。そのため、世の中にたくさん存在する「○○集客」という方法論が気になるかと思います。
これらの方法論を十分に活かすためには「集客」について理解し、どのような場面で使える「集客」方法なのかを見極める必要があります。
何故なら、「集客」を“どんなお客さま”を“集める”かによって、「集客」の方法が異なってくるからです。

「集客」とは、“どんなお客さま”を“集める”ことなのか?
「集客」とは“お客さま”を“集める”ことですが、その“お客さま”は、誰のことを指すのでしょうか。そして、“集める”とはどのような状態を言うのでしょうか?
当たり前すぎる話ですが、マーケティングを「売れる仕組み」としていくためには、ここから抑えて頂くことが大切です。
特に、もしあなたが「集客」について以下のように考えている場合は、是非、この機会に「集客」について整理して下さい。
- 集客のためにホームページを開設したい
- 集客力が落ちてきているので、ホームページを改修したい
- 集客するためには、ホームページのSEO対策が必要だ
- SNSで発信し続けているのに、いつまでたっても集客ができない
- インターネット時代、チラシには集客効果はない
- ネット広告に出しても、なかなか売上に繋がらない
マーケティングにおける6つの“お客さま”
マーケティングを考えた時、様々なお客さまがいます。それらが以下です。
- 潜在顧客
- 見込顧客(見込み客)
- 新規顧客
- 既存顧客
- 固定顧客(リピーター・リピート顧客)
- 優良顧客(ファン・ロイヤルカスタマー)
なお、潜在顧客以外の見込顧客・新規顧客・既存顧客・固定顧客・優良顧客を総じて顕在顧客とも言います。
この5つのお客さまは、各段階に応じて、あなたの商品・サービスに対する興味・関心や理解度が異なります。また、あなたとの関係性も異なってきます。
潜在顧客
潜在顧客とは、あなたの商品・サービスのことを知らなかったり、その必要性を感じていない人々です。
潜在顧客と合わせて、次に説明する見込顧客も、将来的にあなたの商品・サービスを購入する可能性がある人々という意味では、同じ意味で使われる場合があります。
ここでの潜在顧客は、あなたがアプローチをすることによって、これから見込顧客になる可能性がある人々を指します。
つまり、潜在顧客とは、あなたの商品・サービスを知らない。また、あなた自身のことを知らないお客さまです。
見込顧客
見込顧客とは、あなたの商品・サービスを知っていて、それらに興味・関心がある人々です。
あなたの無料サービスを利用したり、メールアドレスの登録、資料請求や資料のダウンロードなどをしていますが、この時点では、まだお金を支払っていません。今後、あなたにお金を払ってくれる可能性がある人々です。
つまり、見込顧客は、あなたの商品・サービスに興味を持ち、あなたとの関係性を構築し始めた段階のお客さまです。
新規顧客
新規顧客は、あなたの商品・サービスに対して、初めてお金を支払ってくれた人々です。
つまり、新規顧客は、初めて、あなたの商品・サービスの良さを理解し、あなたとの関係性が構築できたお客さまです。
既存顧客
既存顧客は、その名の通り、既にお客さまになった人々です。1回以上購入したお客さまを指します。ある意味、先に説明した新規顧客も既存顧客と言えますし、次に説明する固定顧客も含みます。定義の範囲が広いお客さまです。
つまり、既存顧客は、既に、あなたの商品・サービスの良さを理解し、あなたとの関係性を構築したお客さまです。
固定顧客
固定顧客は、固定化されたお客さまを指します。既存顧客は1回でも購入したお客さまを指しますが、この固定顧客は、あなたの商品・サービスを2回以上購入した、リピーター・リピート顧客が該当します。
もし、新規顧客となり、既存顧客となったとしても、あなたの商品・サービスに満足しなかった場合、一度はあなたと関係性を構築したとしても、それ以降にあなたから商品・サービスを購入することはありません。
つまり、固定顧客は、新規顧客の段階から更に一歩進んで、あなたとより強い関係性が構築できた段階のお客さまです。
優良顧客
優良顧客は、あなたが紹介する商品・サービスなら何でも買います!と言って頂ける人々です。
あなたの商品・サービス、ならびにあなた自身に惚れこんでいるため、あなたが「紹介してくれたらこんな良い事がありますよ!」と言わなくても、見返りを求めずに自ら口コミで知人・友人にあなたの商品・サービスを紹介してくれる人々です。
つまり、優良顧客とは、あなたの商品・サービスを愛用するだけでなく、推薦者としてあなたの商品(もしくはあなた自身)を他の人にも勧めるまで、あなたとの強い関係性が構築できた段階のお客さまです。
「新規顧客」を「集める」ための2つのルートを抑える
ここまでで、「お客さま」の定義について整理しました。では、改めて「集客」とは、どのようなことを言うのでしょうか。
多くの経営者は、「集客」とは“新規顧客”を“集める”と考えていると思いますが、先ほど説明した6つのお客さまのうち、潜在顧客、見込顧客、新規顧客の3つのお客さまについて考えてみます。
そして、この3つのお客さまを「商品の認知・理解」と「あなたとの関係性」の2軸で整理すると、以下の通りとなります。
潜在顧客:あなたの商品・サービスを認知しておらず、あなたとの関係性が構築できていない人々
見込顧客:あなたの商品・サービスは認知しているが、まだあなたとの関係性が構築できていない人々
新規顧客:あなたの商品・サービスの良さを理解しており、あなたとの関係性も構築できた人々
ここでの「集客」のスタートは潜在顧客であり、ゴールは新規顧客です。この時、スタートからゴールへのルートは、以下の2つが考えられます。

ルート1:「潜在顧客」→「新規顧客」
ルート2:「潜在顧客」→「見込顧客」→「新規顧客」
すなわち、最終的に新規顧客にあなたの商品・サービスを購入してもらう「集客」を考えた場合、ポイントは2つあります。
1つ目は、「集客」のルートをこの2つ分けて考えられているか。
2つ目は、2つのルートに分けた上で、ルート2は「潜在顧客に商品の認知・理解してもらい見込顧客となること」と、「見込顧客の状態から、あなたとの関係性を構築して、新規顧客になること」の2つの別のアクションを考えられているか。ということ。
3つ目として「既にあなたとの関係性が構築できている知人から、商品を購入してもらう」というルートもありますが、今回は考慮しません。
ちなみに、ルート1は、あなたの商品・サービスを知った時点で購入に至るワンステップマーケティングです。ルート2が、商品を見て、お試しを経て、購入に至るツーステップマーケティングです。
そして、インターネット上でこのプロセスを一度に行っているのが、LPと呼ばれているランディングページ(Landing Page)です。このLPを作成することをセールスライティングと呼びますが、まさしく、セールスするためのライティング技術です。
なお、ワンステップマーケティングとツーステップマーケティングについては、「ツーステップマーケティングという『売れる仕組』」をご参照ください。
「集客」を理解することで、正しいアクションに繋がる
多くの経営者は、この2つのルートの区別と、各ルートで行うべきことがはっきりと理解できていないため、「集客が上手く行かない」という言葉につながります。
つまり、スタートとゴールとそのプロセスが不明確であるために、具体的にどのようなアクションを取れば成果に繋がるかが分からない、という状況に陥っています。
逆に、スタートとゴールとそのプロセスが明確になれば、アクションも明確になります。具体的には、ルート2の場合、プロセスを以下の2つに分解します。
ルート2のプロセス1:「潜在顧客」→「見込顧客」
目的:あなたの商品・サービスを知らない潜在顧客に対して「商品の認知・理解」を広めて、見込顧客になってもらう。
ルート2のプロセス2:「見込顧客」→「新規顧客」
目的:あなたの商品・サービスに興味を持ってもらった見込顧客に対して「あなたとの関係性」を深めて、新規顧客になってもらう。
メディアの特徴を理解して“新規顧客”を“集める”
つまり、「集客」は“新規顧客を“集める”ことと考えた場合、「商品の認知・理解」を広める活動と、「あなたとの関係性」を深める活動の両方が必要になってきます。
そして、「商品の認知・理解」を広めることに得意なメディア(広告媒体)と「あなたとの関係性」を深めることに得意なメディアが存在します。

オンライン広告は「商品の認知・理解」を広めることに向いているメディアです。メルマガ(メールマガジン)は、「あなたとの関係性」を深めるメディアと言えます。
また、近年、様々なSNSツールが発達しており、種類によって「商品の認知・理解」を広めることができたり、「あなたとの関係性」を深めることができたりと、用途幅が広いメディアです。
このように、各メディアの特徴を理解した上で、メディア毎に「商品の認知・理解」と「あなたとの関係性」を促すメッセージを発信していくことが必要となります。
まとめ
「集客」は、「集客」の定義によって様々な説明がされます。今回、多くの経営者が考えている“新規顧客”を“集める”ことを「集客」と定義した上で、「集客」に必要な考え方について整理しました。
この時の「集客」には、「あなたの商品の認知・理解」を広げること、ならびに「あなたとの関係性」を深めることの2つの観点が必要であること。
ならびに、これら2つの観点を達成するために、各メディアの特徴を理解し、総合的にメディアを活用していく必要があること。これら2点について説明しました。
もし、あなたが、なかなか「集客」が上手くいかない。と嘆いているのであれば、それは、一つのメディアで“新規顧客”を“集める”ことを考えていませんか?
まずは、あなたの「集客」の活動は、「あなたの商品の認知・理解」を広げることができていますか?また、「あなたとの関係性」を深めることができていますか?そして、それらはどのメディアを使って達成しようとされていますか?
これらを考えて頂き、あなたの「集客」を改善させるきっかけを得て頂ければと思います。
「ツーステップマーケティングという『売れる仕組み』」では、2ステップマーケティングの考え方について説明しました。是非、マーケティングを「売れる仕組み」とするために、取入れて頂きたい考え方です。
今回は、この2ステップマーケティングの具体的なやり方・注意点について説明します。

ステップマーケティングに向いている商品・サービス
まず、2ステップマーケティングに向いている商品・サービスについて確認します。
「ツーステップマーケティングという『売れる仕組み』」でも説明したように、ビジネスの基本は1ステップマーケティングです。そして、2ステップマーケティングに向いている商品・サービスとは、1ステップで売りにくい商品・サービスの全てとなります。
具体的には、以下が挙げられます。
高額な商品・サービス
「ちょっと、妻(財布)と相談してみます」
と言われてるような高額な商品・サービスです。お客さまが購入する際に価格そのものが、大きなハードルになります。
1ステップで最初のハードルを低くして、お客さま(見込み客)と接する機会を作る必要があります。実際に、お客さまが商品・サービスを購入されるまでに費用がかかっても、最終的に購入して頂くお客さまが増えれば、1ステップから2ステップまでの購入にかかった費用を回収できるという計算も成り立ちます。
実際に使用して判断してもらいたい商品・商品
「私も使っているの。あなたも1回使ってみて、他との違いがすぐにわかるから!」
と言って人に勧めたくなる商品・サービスです。実際に使用してもらわなければ、その価値や使用感が伝わりづらい商品・サービスです。
化粧品、健康食品、健康器具、ダイエット関連商品などがその代表です。これらも2ステップマーケティング向きです。1ステップ目で、商品の価値や使用感を実際に体験してもらう事が必要です。まずは、お客さま(見込み客)に対して商品の体験を積極的に勧めることが必要です。
説明が難しい商品・サービス
「なんて説明していいのか・・・。説明するより1回使ってもらった方が、分かると思う!」
まだ世の中に浸透していない新しい商品・サービスは、一度使ってもらう必要があります。最近話題のサブスクリプション(継続課金)サービスは、実際に体験してもらわないと、その利便性などがなかなか伝わりません。文章や口頭で説明するより、まずは一度実際に使ってもらう。そして、その価値に気付いてもらうという商品・サービスです。

2ステップマーケティングを成功させるための鍵
2ステップマーケティングでは、「お試し→本購入」の流れと説明しました。これを「売れる仕組み」として考えた場合、全体プロセスは「広告宣伝→お試し→本購入」となります。すなわち、「広告宣伝」でお客さま(見込み客)を集客することから「売れる仕組み」として始まります。2ステップマーケティングを作る流れは、以下の3つです。
- 本購入の商品(バックエンド商品)を作る
- お試し商品(フロントエンド商品)を作る
- お客さま(見込み客)が目にする広告媒体を選ぶ
マーケティング用語では、本購入してもらう商品をバックエンド商品、お試し商品をフロントエンド商品と呼びます。以下では、マーケティング用語を使って説明します。
3つの流れの中には、それぞれポイントがあります。以下で、それを1つずつ押さえていきます。
バックエンド商品を決める
まず、最初に抑えておくべき大前提です。2ステップマーケティングの全体プロセスは「広告→お試し→本購入」ですが、決める順番は、「バックエンド商品」→「フロントエンド商品」→「広告媒体」の逆順です。
つまり、何事も目的が一番大切なように、この2ステップマーケティングも、最終目的であるバックエンド商品を最初に決めることが大事です。
決して、初めから「ネット広告を使おう」とか「フロントエンド商品でこれを使ってみよう」と考えてはいけません。
まず、「バックエンド商品としてこれを売りたい」と明確にすることが重要です。それは、あなたが本当に売りたい商品や、あなたの会社が得意としているサービスです。
一つだけ注意点を挙げるなら、後から決める広告宣伝の費用、フロントエンド商品の費用を回収できる売上が見込める商品・サービスである必要があります。
フロントエンド商品を設計する
フロントエンド商品は「商品」と言っても、利益が出る商品・サービスを作るわけではありません。クーポンや割引券、試供品、無料相談、無料レポートなどが中心になります。
もしくは、あなたの会社で多くの商品を抱えているならば、一番売りやすく、売れている商品を値下げすることで、フロントエンド商品とすることも可能です。
フロントエンド商品の注意点は、以下の4点です。一見すると矛盾する内容も含まれていますが、その矛盾をどのように実行に落とし込んでいくかが大切です。
- バックエンド商品に関係があること
- フロントエンド商品で利益を上げない
- フロントエンド商品には手間をかけない
- 効果測定がしやすく、意見が吸い上げやすいもの
バックエンド商品に関係した商品・サービス
フロントエンド商品の役目は、最終目的であるバックエンド商品を購入してもらうための1ステップ目です。つまり、フロンドエンド商品は、単純に人を集めることではなく、「バックエンド商品に興味を持ってもらう人を集める」ことです。
例えば、住宅展示場で「来店してアンケートにお答え頂いたら商品券1,000円分をプレゼント」というフロントエンド商品をよく見かけますが、これは良い例とは言えません。住宅購入に興味はなくても、商品券が欲しい人が集まってきます。
また、子供向けの無料イベントを行っている住宅展示場もよく見かけます。しかし、子供がいる全ての世帯が、住宅購入を考えているわけではありません。このため、この子供向けの無料イベントもフロントエンド商品としては、あまり良い例とは言えません。
但し、アンケートなどを取り、お客さまの連絡先を取っておくことで、継続的にアプローチすることができます。今すぐに住宅購入をすることがなくても、将来的に住宅購入を検討することになった際には、有望なお客さま(見込み客)になる可能性があります。
ここで大切なのは、フロントエンド商品を使って、バックエンド商品の購入までのプロセスをどのように設計するかです。
フロントエンド商品で利益は考えない
フロントエンド商品で利益を出すことを考えるなら、2ステップの必要はありません。ビジネスの基本である1ステップマーケティングを採用し、フロントエンド商品とバックエンド商品は別に販売して下さい。
ここでは、あくまでもバックエンド商品で利益を上げるためのフロントエンド商品と考える必要があります。つまり、極端な話、フロントエンド商品で利益が出てはいけません。フロントエンド商品は費用として考える必要があります。
もし、フロントエンド商品で利益が出るならば、その分、広告費・販促費を増やし、より多くのお客さま(見込み客)を獲得することを考えてください。
手間がかからないフロントエンド商品にする
利益が出ないフロントエンド商品の提供に手間がかかると、利益を出すためのバックエンド商品の提供に割く時間がなくなります。その結果、バックエンド商品の販売数に影響を及ぼしかねません。費用が掛かっても、手間をかけないフロントエンド商品とする必要があります。
例えば、整体院でフロントエンド商品を初回無料とした場合、初回のお客さまの数が多くなれば、既存のお客さまの予約が取れないなど、利益が得られにくくなります。この場合、既存のお客さまの予約状況にもよりますが、初回は施術時間を短くするなどの対応・微調整が必要となります。
フロントエンド商品の一番良い例が、定期購入してもらう健康食品の初回お試しセットです。バックエンド商品と同じ商品を扱うので、フロントエンド商品を作る手間がゼロです。
効果測定がしやすく、意見が吸い上げやすいものにする
フロントエンド商品の設計によって、バックエンド商品の売上が左右されます。
たとえば、フロントエンド商品のハードルを下げれば、お客さま(見込み客)の数は多くなります。しかし、単純に価格でつられたお客さま(見込み客)も増えると、バックエンド商品の購入率は下がります。
逆に、フロントエンド商品のハードルを上げれば、お客さま(見込み客)の数は減ります。ところが、多少のお金を払っても、商品・サービスの中身を確認したいと思うお客さま(見込み客)が増えれば、バックエンド商品の購入率は上がることになります。
繰り返しとなりますが、最終的な目的は、バックエンド商品の売上を最大化することです。そのために、フロントエンド商品の設計を最適化する必要があります。
この最適化は、試行錯誤することでしか達成されません。効果測定やお客さま(見込み客)の意見集約がしやすいフロントエンド商品の設計と仕組みを作る必要があります。

お客さま(見込み客)が目にする広告媒体を選ぶ
広告の役割は「バックエンド商品の存在を知ってもらう」ことです。
ここでの注意点は一つ、バックエンド商品を購入してもらいたいお客さま(見込み客)がよく目にする広告媒体にすることです。例えば、最近はネット広告が主流になりつつありますが、年配の方に購入してもらいたいバックエンド商品の場合、紙媒体の方がお客さま(見込み客)が反応する確率が高い場合もあると想定されます。
このためには、あなたがバックエンド商品を購入して欲しいと思うお客さま(見込み客)がどのような生活を送っているのかを知る必要があります。このお客さま(見込み客)を決めることが、ターゲット設定やペルソナ設定と言われているものです。
このターゲット設定やペルソナ設定は別途詳しくお話します。まずはそのような言葉あることを知って頂ければと存じます。
2ステップマーケティングの広告は、どのような媒体を使っても行えます。DM(ダイレクトメール)、チラシ、街頭でのビラ撒き、周辺地域へのポスティングなど基本的な紙媒体の他、ネット広告、そしてスーパーの試食のように店内でも行えます。
まとめ
2ステップマーケティングの具体的なやり方について説明しました。よく、マーケティングは「売れる仕組み」と表現されることがありますが、この2ステップマーケティングは「売れる仕組み」として設計しやすい販売手法です。
確かに、精度のよい「売れる仕組み」とするためには、色々と考えることや設定すること、そして測定して改善していくことは多岐に渡ります。しかし、それを地道に構築していくことがビジネスです。
また、何より、数字計測を継続することで、ビジネスの変化の兆しを早く察知できるようになります。ビジネスが悪化する傾向が見えれば、早めに改善策を打つことができます。この点でも2ステップマーケティングは極めて優れた販売手法だと言えます。
もしかしたら、あなたの商品・サービスの販売手法は、既に2ステップマーケティングの型になっているかもしれません。しかし、無意識にやっていることと、意識してやることには大きな差があります。是非一度、2ステップマーケティングの考え方を取り入れてみては如何でしょうか?
もし、慣れないことを一人で考えるのは難しい。と思われるのであれば、是非一度、無料相談をお申込み下さい。不明な点や疑問点を解消して、あなたの次の一歩の後押しをさせて頂きます。
あなたは「ツーステップ・マーケティング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ツー(2)ステップ・マーケティングということは、ワン(1)ステップ・マーケティングも存在します。では、この1ステップ・マーケティングと2ステップ・マーケティングとは何か?
そして、この2つは何が違うのか。今回はこの2ステップ・マーケティングについて説明します(以後「・」は除いて記述します)。

1ステップマーケティングと2ステップマーケティング
まず、あらゆるマーケティング(販売方法)は、この1ステップマーケティングと2ステップマーケティングのいずれかに分類されます。
1ステップマーケティングは「商品を見た時に、購入してもらう」
2ステップマーケティングは「商品を試してもらってから、購入してもらう」
1ステップマーケティングは、街角などで見られる通常の販売方法です。コンビニやスーパーなど、お客さまに店頭で直接商品を買ってもらう販売方法です。これには、飛び込み営業、訪問販売なども含まれます。
また、インターネット上では、商品に繋がるリンクやバナー広告などから、商品・サービスを売買するECサイト(楽天・Yahooショピングなど)に直接アクセスをして購入してもらう販売方法も、1ステップマーケティングに分類されます。
一方、2ステップマーケティングは、商品を購入してもらうために、お客さまが「お試し→本購入」という2ステップ(以上)の過程を経る販売方法です。
例えば
- スーパーマーケットで試食してもらい、商品を購入してもらう
- 化粧品の試供品・サンプル品を取り寄せ・配布して、商品を購入してもらう
- 無料でゲームを試してもらい、継続する際に課金してもらう
- 動画見放題などのサブスクリプションサービスで、一定期間の無料期間後に課金する
- エステサロンにて、初めての方へのワンコイン・お試しチケットを配布する
このように2ステップマーケティングは、身近な場面で使われており、店舗ビジネスでも、情報商材ビジネスでも有効な販売方法です。
2ステップマーケティングの考え方
では、なぜ、2ステップの段階を踏む必要があるのでしょうか。
2ステップマーケティングを考える前の基本的な前提
この疑問に回答する前に、基本的な前提を抑えたいと思います。
まず、2ステップマーケティングは、流行りのマーケティング手法ではありません。
先ほどの例で挙げたように、あなたの身近にある販売方法です。あくまでも、2ステップマーケティングは、従来から存在しており、マーケティング(販売方法)を大きく2つに分類したうちの一つです。
そして、ビジネスの基本は、1ステップマーケティングだということです。
2ステップマーケティングは、商品を購入して頂くまでに手間と時間がかかります。その結果、現金(キャッシュ)が手元に入るまでの期間も長くなります。
このため、ビジネスの基本からは、2ステップマーケティングよりも1ステップマーケティングを優先しなければいけません。
何故、2ステップマーケティングなのか?
では、先ほどの質問を繰り返します。
「では、なぜ、2ステップの段階を踏む必要があるのでしょうか?」
その答えは「1ステップでは売れないから、もしくは2ステップで売った方が1ステップで売るよりも大きな利益が得られるから。だから、2ステップにしている」ということになります。
まずは、ビジネスの基本から、優先すべき1ステップで売れる方法がないかを考える。
そして、無理なのであれば「なぜ1ステップでは売れないのか?」と考える。
例えば、見ず知らずの人から、自分にとって役に立つのかわからない商品・サービスを購入することは躊躇すると思います。これが、手に取れない商品や形のないサービスならば、なおさら顕著になります。
そのほかにも、
- 見た目だけでは、商品・サービスの価値が伝わらない…
- 商品・サービスが複雑で、お客さまから見て価値がわかりにくい…
- 新しい商品・サービスなので、お客さまへの説明が必要…etc
いろいろな答えが出てくるのではないでしょうか。
その答えこそが、2ステップマーケティングで、お客さまに対して伝えるべきことだ、ということです。
つまり、2ステップマーケティングを導入することは、お客さまが商品・サービスを購入する際の不安やリスクのハードルを大きく下げることを目的としています。
言い換えれば、お客さまに不安なく購入してもらおう、気持ち良く購入をしてもらおう、つまり「信頼関係を構築してから、購入してもらう」。
そのための、工夫のひとつが2ステップマーケティングなのです。

2ステップマーケティングのメリット・デメリット
1ステップで売りにくい商品・サービスに、2ステップマーケティングを採用することは有効です。では、2ステップマーケティングのメリット、デメリットとは何か?これらについて整理します。
2ステップマーケティングのメリット
2ステップマーケティングでは、特に、高額商品・サービス、実際に使用感を確かめてもらいたい商品・サービス、事前に説明が難しい商品・サービスに対して、特に効果を発揮します。そして、以下のようなメリットが挙げられます。
お客さまの不満が発生しにくい
2ステップを踏むことで、お客さまにその商品・サービスの価値を判断してもらった上で購入してもらうことができます。つまり、1ステップはお試しなので、試して次にどうするかはお客さまの自由です。その後、納得の上での商品・サービスを購入してもらうため、お客さまの不満は発生しづらくなります。
お客さまの連絡先(見込み客リスト)が手に入る
2ステップマーケティングの具体的なやり方にもよりますが、お客さま(見込み客)の連絡先を入手することができます。
例えば、通販やネットショップで試供品を取り寄せるパターンであれば、お客さま(見込み客)の連絡先などの情報を頂くことになります。このため、その後、新商品を販売する際にメールなどで個別にアナウンスすることができます。
あなたの会社や商品・サービスに対して良い印象を持ったお客さま(見込み客)に対して、継続的なアプローチが可能になります。
効果測定を行いやすく、改善しやすい
よく、マーケティングは「売れる仕組み」と表現されます。しかし、高額な商品・サービスなど、お客さまの購入ハードルが高い商品・サービスを売る場合、どのような仕組みにすればよいかは難しい場合が多いです。
しかし、この「お試し→本購入」のステップを踏むことで、どのくらいの広告をかければ、どのくらいのお客さまがお試ししてくれるのか、お試ししてくれたお客さまがどれだけ購入していただけるのかを測定しやすくなります。
そのお客さま(見込み客)の反応を数字で測定することで、広告宣伝やお客さま(見込み客)へのアプローチ方法などの問題点や改善点などを見つけやすくなります。
商品・サービスの改善のヒントがもらえる
商品・サービスを体験したお客さま(見込み客)から直接お話を聞くことができます。たとえば、使ってみてどう思ったか、どうすれば使い続けるかなど、本来は購入後でなければ聞くことができない話の展開も可能です。
これらのお客さま(見込み客)の声を元に、商品・サービスの改善に繋げることができます。
ブランディング効果がある
お客さまに対して購入を急がせることなく、じっくりと向きあう2ステップマーケティングは、会社や商品・サービスの好感度や信頼感を高めることに繋がります。
その結果、商品・サービスやブランドに対してのイメージアップにも繋がり、結果としてブランディングを促す効果が期待できます。
特に、単純な広告宣伝ではブランド力のある大企業には勝てません。ブランド力のない中小企業こそ、2ステップマーケティングを有効に使うべきです。
お客さまの心理的効果にアプローチできる
「人は感情で買って、理屈で正当化する」という言葉があるように、マーケティングには心理的効果を上手く活用する必要があります。その点で、2ステップマーケティングはその心理的効果を上手く活用できます。詳細は、次項で説明します。
2ステップマーケティングのデメリット
デメリットは、お客さまが商品・サービスを購入するまでに時間を要し、手間がかかることです。試食や試供品を配るならコストもかかります。
そして、商品・サービスを購入してもらうまでの2ステップをスムーズにするための仕掛け作りと、反応率を上げるための改善も必要です。
しかし、この仕掛けをしっかりと作ることができれば、2ステップマーケティングは精度の高い「売れる仕組み」とすることができます。

2ステップマーケティングの心理的効果
2ステップマーケティングは、単純接触効果、一貫性の法則など、複数の心理的効果に基づいて考えることができ、極めて理論的なマーケティング手法と言えます。以下に、2ステップマーケティングに含まれる心理学的効果を説明します。
単純接触効果(ザイオンス効果・ザイアンス効果)
単純接触効果という心理的効果があります。人と人の関係は「他人→知人→友人→特別な人」というように、接触頻度によって親密度が増していきます。つまり、接触回数が増えることで、好感度が増していくという効果です。
これは人と人の接触だけではなく、商品・サービスの体験や見聞きしたもの全てが対象になります。例えば、大手企業が絶えずテレビCMを打ち続けているのは、商品やブランドへ対して好印象を持ってもらう効果を狙っているからです。
返報性の原理(返報性の法則)
返報性の原理とは、人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く心理のことです。
身近な例では、試食が当てはまります。スーパーなどでは試食したことで、商品を買わなければいけないという気持ちになることが多いですが、これは返報性の原理が働いています。
但し、ご自身が求めていないにも関わらず、積極的に試食や購入を促される場合は、次の「一貫性の原理」の方が強く働くことになります。
一貫性の法則
一貫性の法則とは「人は一度自分で決めたことをやり続ける、または信じ続けようとする」という心理のことです。
1ステップ目のお試し商品やサービスを受け入れたことで、引き続いて2ステップ目の本購入へのハードルを低くすることに繋がります。
一貫性の法則を利用したものとして、フット・イン・ザ・ドア「段階的承認法」というものがあります。フット・イン・ザ・ドアとは、小さな要求から承諾してもらい、次に、大きな要求を承諾してもらう、というトーク術です。
保有効果
保有効果とは、自分が所有しているものに対して高い価値をつけるようになる心理のことです。
得られた体験によって価値が向上するのではなく、ただ所有しているという事実だけで人の心のなかではそのモノの価値が上がります。
特に、一度手に入れたものを失うことを恐れるため、再購入しやすくなります。課金サービスで、殆ど使っていないにも関わらず、なかなか解約できないサービスはないでしょうか。これは、一旦、購入し始めると解約した時のデメリットを回避しようとする保持効果です。
まとめ
2ステップマーケティングの特徴について、様々な観点からまとめました。
2ステップマーケティングという言葉は、馴染みのない言葉だったかもしれません。しかし、昔からあなたの身近に存在している販売手法であることをご理解いただけたのではないでしょうか?また、その有効性も感じて頂けたのではないでしょうか?
もし、思うようにあなたの会社の商品・サービスをお客さまに購入してもらえていない。と感じているようであれば、この2ステップマーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか?
2ステップマーケティングの具体的なやり方については『ツーステップマーケティングの作り方』を参考にして下さい。
経営者のあなたは「やらなきゃいけない仕事に追われて、毎日が忙しい」と感じていませんか?しかし、それらは本当にやらなければいけない仕事ばかりでしょうか?
今回のビジネス・ビルディング・フォーミュラーとは、ビジネスにはステージがあり、今のステージから次のステージに登るために「やめるべきこと・やるべきこと」を示してくれる考え方です。
まずは、自分がどのステージにあるかを確認し、そのステージに応じた「やめるべきこと・やるべきこと」を知って下さい。そして次に、やめるべきことをやめ、やるべきことを行動に移して下さい、そうすれば、より得たい結果が得られるはずです。

ビジネス・ビルディング・フォーミュラーとは
「結果を出したい!」と思うと、やるべきことが多くなると考えがちです。
しかし、80:20の法則と言われるパレートの法則では「結果の8割は、2割の行動で決まっている。行動の8割は、結果の2割にしか影響しない」と言わます。
つまり、やるべきことに焦点を合わせることで、より少ない行動量で得たい結果が得られることになります。
そして、やるべきことは、ビジネスのステージによって異なります。逆に、自分のビジネスのステージに合わないことをやっていると、いつまでも小さな結果しか得られないことになります。
もし、ご自身が「やらなきゃいけない仕事に追われて、毎日が忙しい」と感じているのであれば、それは、今取り組んでいることが“今の”ビジネスのステージに合っていない可能性が高いです。
是非、ビジネスのステージに応じたやるべきことがあることを知り、効率よく結果を出すための考え方を知ってください。そして、やるべきことに焦点を合わせた行動で、最短で得たい結果を得て頂ければと思います。
その考え方が、今回お話するビジネス・ビルディング・フォーミュラー(ビジネス構築の方程式)です。
ビジネス・ビルディング・フォーミュラーには、次の4つステージがあります。
- ドリーマー
- プロフェッショナル
- マーケッター
- マネージャー
そして、各ステージで直面する恐怖があります。この恐怖を克服できずにいると、目の前の行動に固執してしまい、その結果、いつまで経っても得たい成果が得られないことになります。
まずは、この恐怖を克服することが大切です。そして、正しい行動を起こすことにより、ビジネスを次のステージへ移行させることができるようになります。
では、以下で詳しく見ていきましょう。
ドリーマー
ドリーマーとは、その名の通り「夢見る人」です。自分の好みばかりを考えて、色々と可能性を考えている段階です。ひと言で表現すると、妄想を楽しんでいる状態です。
「あれもしたい。これもしたい。」
「あっ、でも、こんなこともできるのでは?」
「あのビジネスは儲かるのでは?いや、最近はあっちの方がいいかも。」
個人であれば、起業時のゼロからビジネスを起こす時を指します。また、会社であれば、既存事業とは別の新規事業を立ち上げる時に相当します。
ドリーマーの克服すべき恐怖とその後の対応
このステージでは、絞ると他のことができないという「可能性を捨てる」恐怖を抱いています。次のステージに登るためには、この恐怖を克服することが必要です。
すなわち、ドリーマーのステージから次のステージに駆け上がるためには、「捨てて、集中する」ことが必要です。
「捨てて、集中する」際の注意点
個人起業家としての「捨てて、集中する」際の注意点もありますが、今回は会社として新規事業立ち上げを検討する時の「捨てて、集中する」際の最も大切な注意点について説明します。
それは「既存事業が儲かっていないから、儲かりそうな他の事業を手掛ける」という考えは、極めて危険だということです。
特に、既存事業が儲かっていない原因が、景気や人口減少などの外部環境にあると考えている場合は特に注意が必要です。そのように考えている方のビジネスが上手く行っていない原因は、ビジネスのやり方に問題がある可能性が高いのです。
そのような状態で新たな事業を立ち上げても、同じように考えて参入する競合も多いはずです。初めは利益が出るでしょうが、2、3年後には利益が出なくなる可能性が高いです。
もし、あなたが既に会社を経営されていて、色々な新規事業を考え、新たな事業の展開を夢見ている「ドリーマー」である段階ならば、改めて考えて頂きたいことは、「新規事業への夢を“捨てて”、既存事業に“集中する”」ことです。
そして、既存事業に“集中する”方法を、このビジネス・ビルディング・フォーミュラーから整理して頂ければ幸いです。
プロフェッショナル
プロフェッショナルとは「専門家」です。「商品の質」を上げ続ける人です。商品に恋をしているため、商品を中心に物事を考える傾向にあります。そのような方の発する言葉が以下です。
「こんなによい商品なのに、何故、みんなは買ってくれないの?」
「一度、買ってさえくれたら、この商品の良さがきっとわかってもらえるのに!」
「この商品の良さが分かってくれる人にしか、買ってくれなくていい!」
自分の商品に恋しているため、商品を手に取って頂く方、みんなに喜んで頂きたい。このため、完璧な商品にするために、ひたすら商品の質を上げ続けます。
プロフェッショナルの克服すべき恐怖とその対応
買った人から批判をされたくないので、商品は買って欲しいけど、自分から売るのは怖い。極端な例では「売ることは悪いこと」とまで考えてしまいます。その結果、当然自分が思っているように売れずに、上記のような言葉が口から出てきます。
つまり、この段階では、こちらから売ることで「自分が恋している商品を悪く言われるのではないか」という恐怖を抱き、更に品質を磨いてしまいます。次のステージに登るためには、まずは、この恐怖を克服することが必要です。
そして、この恐怖を乗り越えて、やるべきことは「売る」ことです。よく言われているのが「8割の時間を『販売』に使え!」です。商品が売れているのは、品質が良いから売れているのではなく、売っているから売れているのです。
プロフェッショナルのステージから次のステージに駆け上がるためには「品質は上げ続けずに、まずは売る」ことが必要です。
「売る」際の注意点
ひと昔前の商品の数が限られていた時代には、商品の質を上げるだけで売れていました。言い換えると、商品の質を上げることで、お客さまから選ばれることができました。
しかし、現在は、商品の質を上げるだけでは、お客さまから選ばれることはできません。お客さまが商品を選ぶ基準は多様化しており、必ずしも商品の質だけで選びません。当然、低価格だからといって簡単には買ってくれません。
では、どのようにして「売る」のか?そのための大切な考えが「商品への恋からお客さまへの恋に変える」ことです。
商品に恋していると「この商品はこんなにスゴイです!」と商品をPRしてしまう傾向にあります。しかし、精神分析学者であるフロイトが「人間の行動原理は、痛みを避け快楽を得るためである」と提唱したように、お客さまは、商品を買いたいのではなく、自分の悩みの解消や、快楽を得るための手段として商品を購入するのです。
つまり、お客さまに恋するとは、お客さまが何を望んでいて、何を欲しているのかを知り、その欲求を満たすために「この商品はいかがですか?」と提案していく行動に変えるということです。

マーケッター
マーケッターとは、広くはマーケティング業務に従事している人を指します。プロフェッショナルの壁を越えられた方は、ある意味「売る」ことが得意で「売る」ことに自信を持っています。このため、難なく新規顧客の獲得ができます。
マーケッターの克服すべき恐怖とその対応
次のマネージャーのステージに登るために、マーケッターが取組むべきことは「他の人(社員)に仕事を任せる」ことです。マーケッターは自分が「売る」ことで確実に売上も上がるため、仕事を他の人に任せることができません。
つまり、社員に任せることで「一時的に売上が減る」恐怖を抱きます。しかし、マーケッターが次のステージに登るためには、この恐怖を乗り越えて「社員に仕事を任せる」ことが必要となってきます。
一次的な売上減は、長期的な成長のための投資と考え、次のステージに登るためには目の前の日常業務よりも大切な経営業務があることを理解して下さい。
「任せる」際の注意点
ひと昔前には「1:5の法則」と言われ、「既存客に再来店・再購買してもらうコスト」と比較して「新規顧客を獲得して来店・購入してもらうためのコスト」は約5倍と言われていました。しかし、年々新規顧客の獲得コストは上昇傾向にあり、5倍から更に拡大し20倍とも言われています。
このように、新規顧客を獲得するのには大きなコストがかかります。新規顧客の獲得も必要ですが、それよりも、大切にする必要があるのは既存顧客です。
その考えが、次の3Rです。すなわち、Relation(既存顧客との関係づくり)、Retention(既存顧客の維持・継続)、Referral(既存顧客からの紹介・口コミ)。この3つのRを意識することが大切です。
マネージャー
マネージャー(manager)とは、本来「manage=困難なことを何とかする」+「er=人」です。
しかし、日本では、managerは「管理職」と訳されるように、多くの会社では、マネージャー(管理職)の仕事は、部下の業務の管理(監視)役だと誤解されている方が多いように思います。
本来のマネージャー(経営者を含めた管理職)は、部下がビジネスの最前線で業務を遂行できるように「業務のジャマをしない」「業務の妨げとなるジャマを取り除く」ことが仕事です。
マネージャーの克服すべき恐怖とその対応
このマネージャーのステージでは、会社の裏方として組織や社員を仕組みで動かす発想が必要となります。
この仕組みを作り上げるためには、投資が必要となってきます。しかし、投資は先に費用が掛かってくる上、必ずしも成功することが保証されていません。つまり、リスク、損失の可能性があることを理解した上で投資する必要があります。
マーケッターは自分が動くことが売上に直結するため、失敗する可能性がある投資という判断ができません。マネージャーとして成功するならば、この投資への恐怖を克服し、投資していく必要があります。
「投資する」際の注意点
投資する際の注意点は、費用の回収が早い順に投資する必要があります。それが次の3Sです。すなわち、Sales(広告宣伝)、Staff(人材)、System(システム)です。
広告宣伝
広告宣伝は、回収が最も早い投資先となります。当然、広告が不発に終わり投資が回収することができない可能性もあります。成功すれば売上を拡大させることができます。
人材
人材は「企業は人なり」という言葉があるように、会社の成長には社内の人材が重要な要素を占めます。ここでの投資は、人材育成や人材雇用の両方です。
社内研修などによる人材育成も必要ですが、時には自社に足りない人材は、新たに雇用する必要もあります。
ただし、人件費は固定費となるため、アルバイトから始める。外注(業務委託)を使うなど、様々な方法があります(人件費は固定費ではない、との指摘もありますが、法的会計の考えとして捉えて下さい)。
システム
システムは、マーケティングの販売管理システムや人事制度も含めています。最終的に、仕組み化、組織化、マニュアル化を視野に入れて業務設計していく必要があります。
なお、自分はビジネスの最前線で業務に関わりたいという方もいます。社員の方であれば、マーケッターとしてビジネスの最前線に残ってもらうことも可能ですが、ご自身が経営者であれば、マネージャーとして仕組みを作る立場も必要です。
もし、ご自身がマーケッターとしてビジネスの最前線に立ちたいというならば、マネージャーと兼任という形でも結構です。
しかしながら、少なくとも、社内でマネージャー役は立てる必要があります。社員を登用するか、外部から雇うか、の二者択一です。
いずれにせよ、会社が組織として活動するためにも社内にマネージャーは必須です。
まとめ
ビジネスには、ステージがあります。各ステージの特徴を理解することで、克服すべき恐怖(課題)とその対策が明確になります。すると、その対策を実行するために必要な情報が明確になり、迷いなく突き進めることができます。その結果、ビジネスの各ステージを最短で登っていけるようになります。
最後に、ビジネス・ビルディング・フォーミュラーの各ステージと克服すべき恐怖、並びにその対策について整理します。
| ステージ |
克服すべき恐怖 |
対策 |
ポイント |
| ドリーマー |
可能性を捨てる |
集中する |
既存事業への集中・見直し |
| プロフェッショナル |
商品の品質向上 |
商品を売る |
お客さまに恋をする |
| マーケッター |
自分しか売れない |
他の人に任せる |
既存顧客に目を向ける |
| マネージャー |
投資の失敗 |
3Sに投資する |
仕組み化・組織化・マニュアル化 |
いかがでしたでしょうか?一度、ご自身の行動を振り返って頂き、ビジネスのステージと照らし合わせてみてください。
もし、「あっ!」と思うことができたら、半分は課題が解決しています。残りの半分は、実際に行動に移していくのみです。
さぁ。次のステージに最短距離で駆け上がって下さい。成功をお祈りしています!