中小企業が本当に実践できるマーケティング 社員も社長も幸せになれる経営システムの構築
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何か物事に取り組む時に「モチベーション」という言葉がよく使われます。
・モチベーションを上げる
・モチベーションを維持する
あなたも、会社でこれらの言葉を使われたことがあるのではないでしょうか。
では、質問です。
社員のモチベーションを上げたらどうなりますか?
当然、社員のモチベーションを上げたら「社員が自発的に動いてくれる」と考えたでしょうか。
では、その後は?
今回、人事コンサルタントの立場から、多くの経営者がよく使われる「モチベーションを上げる」 ことの危険性を説明し、経営者が「上げるべきもの」を提示します。
モチベーションは上げるな!
さて、改めて、経営者の多くが「社員のモチベーションを上げるには、どうしたらいいか?」とモチベーションを上げることを前提にしています。
しかし、そのように考える経営者が見落としているのが「上がったモチベーションは必ず下がる」 という事実です。
何らかの施策で、社員のモチベーションが上がるかもしれません。しかし、その状態に慣れてしまえば、その後は時間経過とともに、上がったモチベ―ションは下がります。
そのため、その次に「モチベーションを維持する」 という言葉が出てきます。
しかし、そのモチベーションを維持する(下がった状態を上げる)ために、更に次の施策を打つ必要が出てくる。そして、その施策の効果が薄くなったら、また次の施策を打つ必要が出てくる。
このように、一度、「モチベーションを上げる」 ことに焦点を合わせると、常に「モチベーションを上げる」 ことを考え続けることになります。
経営者が社員のモチベーションを上げる施策を考えるために時間を取られて、経営者の本来の仕事ができなくなるのは本末転倒です。
この観点から、人事コンサルタントの立場で常にお伝えしていることは、モチベーションを上げようと考えてはいけない ということです。
確かに、人が行動するためには、その動機付けはとても重要です。その点で、「モチベーション」は大切だと思います。
でも、あえて言います。経営者が社員の「モチベーションを上げる」 ことを意識してはいけません。
上げるのは「行動基準」
では、何を上げるのか?それが「行動基準」です。
もし、あなたが「社員のモチベーションを上げるには?」と悩まれていたのであれば、是非、「社員の行動基準を上げるには?」と問いを変えて下さい。
この行動基準とは「会社が求める行動基準」 であり、「会社としての当たり前の行動基準」 です。
社員の行動基準を上げるには?
上げるのは「行動基準」だとは言っても、社員の方はその「行動基準」通りに動いてくれない、というのも事実。そして、イライラする。あなたはそんなことはありませんか?
「すべての人の悩みは対人関係の悩みである」と言ったのは心理学者のアドラー。
この言葉を少し読み替えると、「目の前の人が、自分が期待した反応を示さないから人はイライラする」 のではないでしょうか。
子どもに怒るのも、結局は、自分の思い通りに動いていなから、という理由。妻にイライラするのも、結局は、期待していたことを妻がやってくれていなかったから。
繰り返すと、自分が期待している基準に対して、満足するレベルに達していないから、怒ったり、イライラするのです。
メキシコ人と韓国人の基準
ここで注意しなければいけないのは「行動基準」は人それぞれです。
例えば「時間」
今でこそ、日本では時間に厳しい国となり、「電車は定刻通りの運行が常識」となり、海外でお手本にされるぐらいです。
しかし、幕末は、オランダ人から「日本人の悠長さは呆れるくらい」と言われるほどだったといいます。そして、現代でも国によって「時間」の基準は異なります。
メキシコでは、会議の時間より30分遅れるのは珍しいことではないそうです。一方で、韓国では、時間厳守に重い価値を置き、遅刻することは失礼なことと見なされます。
このような「時間」の基準が異なる韓国人とメキシコ人が会議をした時、時間に遅れてくるメキシコ人に韓国人がイライラしても、メキシコ人はどこ吹く風です。
この例でお伝えしたいことは、会社経営では、社員の「行動基準」を上げなければいけませんが、あなたは、「会社が求める行動基準」 を明確に伝えられていますか?ということ。
人事制度で「会社が求める行動基準」を示す
会社経営では、この「会社が求める行動基準」をまとめたものが人事制度です。
あなたの会社には、人事制度がありますか?そして、人事制度に「会社が求める行動基準」が明確に示されていますか?
そして、社員にそれが伝わっていますか?
伝えていないのに、「社員が思い通りに行動しない」というのは、韓国人がメキシコ人に対して、会議に遅れてイライラするのと同じです。
「休まず、出勤して下さいね」という行動基準
さて、人事制度における「会社が求める行動基準」、つまり「会社の当たり前の行動基準」について考えてみます。
例えば、給与手当に「皆勤手当」があります。この皆勤手当は、所定の期間、1日も欠かさず出勤したときに支給する手当です。
つまり、「休まず、出勤して下さいね」「遅刻、早退がなければ、奨励金を出します」という会社からのメッセージです。
逆に言うと、皆勤手当てを支給している会社の当たり前の行動基準 は、「欠勤・遅刻・早退がゼロ」ではなく、「欠勤・遅刻・早退がある」という状態。
あなたの会社では、どちらを会社の当たり前の行動基準としますか?
給与手当に「皆勤手当」があったら、一度、考えてみて下さい。
行動基準は時代とともに変わる
なお、皆勤手当は歴史的に必要な時期がありました。しかし、歴史と共に当たり前の基準は変わります。つまり、時代と共に人事制度も変えていく必要があります。
基準がなければ、まずは基準をつくる必要がありますが、一度定めた基準が今の会社の実態に合っているかの見直しは常に必要です。
そして、「会社の求める行動基準」を明確に示していても、社員が期待通りに行動してくれない場合もあります。
その時は、どうすればいいのか?
行動基準を元に人事評価する
それは人事評価で評価を下すだけ のことです。
まずは「会社が求める行動基準」を示す。そして、その「基準」に基づいて評価を下す。社員の「行動基準」を上げるためには、この繰り返しが必要です。
これが人事制度を運用する上で、重要な視点です。是非一度、この繰り返しができているか、考えてみて下さい。
最近、日立、富士通、NTTなどの大手企業が「ジョブ型雇用」 の人事制度に移行する話題に事欠きません。
これらの大手企業の動向から、さも「ジョブ型雇用」 がこれからの時代の正解のように扱われています。
本当にそうでしょうか?
以前、知り合いの経営者が「ウチは、ジョブ型雇用の新しい人事制度に改定しました」と仰っていました。しかし、同時に「ウチは、中途採用に経験者は取らない方針です」とも仰いました。
私は、この経営者の言葉を聞いた時、「人事コンサルタントの『これからの時代は、ジョブ型雇用ですよ!』というような安易な一言で、大事な人事制度の改定を決めてしまっていないか」
「きちんとジョブ型雇用の意味を理解されていた上で 制度改定に踏み切ったのだろか」
そして、「きちんと制度の中身を理解していれば、違った判断になったのではないだろうか」と心配になりました。
あなたは、何故、私がこのような心配をしたのか、わかりますか?
その理由は、本ブログの最後にお伝えします。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用
さて、改めて、近年「ジョブ型雇用」 が“改めて”注目を浴びるようになりました。これに対応するのが「メンバーシップ型雇用」 です。これらはいずれも、人事制度の種類を示す言葉です。
ここで、“改めて”としたのは、この2つは新しい概念ではないからです。従来、この2つは次の言葉が使われていました。
職務等級制度(ジョブ型雇用)
職能資格制度(メンバーシップ型雇用)
言葉を変えることで、同じ意味の言葉が新しく見えることはよくあります。そして、新しく見えるがゆえに「新しい方が正しい」と思われている、ということはよくあります。
今回の人事制度における「ジョブ型雇用」 も同じ雰囲気がします。
あなたは、「ジョブ型雇用」 と「メンバーシップ型雇用」 の人事制度の違いが分かりますか?
そして、どのような企業に向いているか、どのような企業には向いていないかはわかりますか?
始まりを知るのは大事-ジョブ型雇用・メンバーシップ型雇用の始まり-
繰り返しとなりますが、ジョブ型雇用 は、従来は職務等級制度 と呼ばれており、1960年代に欧米から入ってきた制度です。
しかし、当時の日本の雇用体系に合わないとされ、その職務等級制度を日本版にアレンジされました。それが、職能資格制度(メンバーシップ型雇用) です。この職能資格制度 は1970年代に確立し、日本企業で幅広く適用されました。
つまり、ジョブ型雇用 は新しいものではなく、過去に一度、日本の雇用体系には適合しない、と判断された職務等級制度 が言葉を変えて再び注目されたに過ぎません。
確かに、環境は変化するため、過去に「適しない」と判断されても時代が変わることによって「適する」ようになることもあります。
しかし、雇用体系は、国の文化や習慣に密接に関わるため、なかなか変わらない、変えられないのも事実です。
では改めて、ジョブ型雇用とは何か?
そして、日本で独自に発展したメンバーシップ型雇用とは何か?
実は、雇用に対する考え方が、それら2つの人事制度の考えにつながります。
ジョブ型雇用(職務等級制度) を掲げたアメリカは、第一次、第二次世界大戦を通じて、働き手が不足した実態を踏まえ、国の政策として「労働力に余裕のある産業から、余裕のない産業に人手を移動させる」 ことを考えました。
一方、メンバーシップ型雇用(職能資格制度) を確立した日本では、同じ第一次、第二次世界大戦の経験を通じて「労働力の移動を制限して雇用を守り、賃金統制することで国民の生活を守る」 ことを政策に盛り込んだのです。
つまり、ジョブ型雇用(職務等級制度) は、会社経営を軸に考えた政策によって生まれた制度です。
一方、メンバーシップ型雇用(職能資格制度) は、国民生活を守るために考えられた政策によって、生まれた制度です。
そのため、メンバーシップ型雇用(職能資格制度) では、生活給という考えが基本にあり、その生活給は年齢に伴うライフステージによって変化するため、年功給という概念が取り入れられています。
制度の生まれ方だけを見ると、どちらの制度がより働き手にとって魅力的に見えるかは言うまでもありません。とは言え、戦後から時代が経て、環境が変化しています。そのため、時代と共にモノの考え方を変化させていく必要もあります。
では、どのように時代が変わり、どのような考え方に変えていく必要が生じてきたのか?
ジョブ型が再び注目された理由
ジョブ型雇用(職務等級制度) に再び注目が集まったのには、いくつかの理由あります。
その一つが、「同一労働・同一賃金」です。
「同じことをやっているのに、正規雇用と非正規とで、賃金が異なるのはおかしい!」
このような不合理な待遇差の解消を目指し、2020年4月1日より労働者派遣法が施行されました。また、2021年4月1日よりパートタイム・有期雇用労働法が全面施行されました。これらにより、同一労働同一賃金が規定されることになりました。
また、正社員の間でも、「同じ仕事をしているのに、年齢で給与が異なるのは不公平だ」という声も、同一労働同一賃金が支持されています。
確かに、全く同じ仕事をしているのに、異なる賃金というのは、納得がいかない、という働き手の言い分もわかります。
しかし、本当に“同じ”仕事なのでしょうか?
ジョブ型雇用の難しさ
少し論点がズレますが、私が考えるジョブ型雇用の難しさについて、お話ししたいと思います。
実際に目に見える作業としては同じかもしれません。しかし、仕事とは、目に見えている作業以外にも様々な要素を含んでいるのではないでしょうか?
何より、ジョブ型雇用 とは「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」と呼ばれる職務内容を明記することができる業務内容です。逆に言えば、覚えれば誰でもできる仕事と言えます。
それこそ、機械にとって代わられます。そのような仕事は、ゆくゆく淘汰される仕事であり、長期観点からは、そこに焦点を合わせるメリットは小さいように思えます。
ジョブ型雇用が注目された環境変化
では、長期観点で見た時に、ジョブ型雇用を導入するメリットは何か?
それを一言で表すと「転職文化に合っている」ということです。具体的には、日本でジョブ型雇用 が再び注目された背景には、経営のグローバル化が挙げられます。
欧米はジョブ型雇用 であり、転職を通じてキャリアップする文化です。そのような文化圏に対して、グローバル展開する日本企業が現地で人材採用する際、日本独自のメンバーシップ型雇用 の基準で人材を募集しても現地の応募者から見ると以下のような状況を引き起こしてしまいます。
・自分が応募できる人材かわからない
・企業側がどんな人材を募集しているのかわからない
だからこそ、グローバル展開する企業では、日本国内でもジョブ型雇用 に変えて、海外の人材採用を円滑にしたい、というわけです。
また、「転職文化に合っている」という視点では、システム関係が当てはまります。
近年、IT化が急速に進行し、システム関係の仕事が増えました。そして、若くて技術力のある人材が沢山います。そして、システム関係の人材の流動は激しい。
加えて、システム関係は技術が明確であり、ジョブ・ディスクリプションが記述しやすい、という点もあります。
こららの理由からシステム関係の企業では、ジョブ型雇用にするメリットがある 、と言えます。
逆に言えば、グローバル展開していない企業、システム関係ではない企業、これらの企業においては、ジョブ型雇用の導入により享受できるメリットは小さいと言えます。
あなたの会社は、
グローバル展開を目指していますか?
システム系のビジネスをしていますか?
世の中の流行を知ることは大事です。でも、その流行に乗るのか、乗らないのかの判断はとても大事です。
日本文化でのジョブ型雇用の難しさ
改めてジョブ型雇用 の特徴を一言で表すと「JOB(職務)に値段を付ける制度」です。
先ほど、ジョブ型雇用では、「ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)」を明記する必要があると説明しました。
つまり、「この職務内容は、いくら」というように、仕事と給与を紐づけます。まさに、「同一労働・同一賃金」の考えを反映させる制度です。
つまり、会社としては、「どんな職務(JOB)に、いくらの給与を支払うか」という定義付けが必要になります。この定義が、ジョブ・ディスクリプションと呼ばれ、日本語では職務記述書と訳します。
つまり、企業にてジョブ型雇用 を導入する際はこのジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を整理して、給与と紐づける必要があります。
しかし、これが難しい。
日本では、古くから「阿吽の呼吸」「以心伝心」、更には「空気を読む」という言葉があるように、多くを語らない文化です。
そのような文化、習慣がある中で職務を整理するとなると、それらを言語化・明文化しても全てを網羅することは極めて難しい。必ず、抜け・漏れが発生します。
でも、職務記述書に記載されてなければ、社員はその業務をやる必要もないし、やっても評価に値されない、という状況を生みます。
「それは私の仕事ではありません」
「それをやっても評価に関係ありませんよね?」
という状況が発生することは、火を見るよりも明らかです。
そして、この状態を回避するために、職務記述書の内容を増やすと、結局、誰も把握できなくなる。「家電の分厚い説明書なんて読みませんよね?」という問いと同じです。
因みに、アメリカは訴訟の国であり、ルールを明文化する習慣があるため、職務記述書が上手く機能している、と言えます。
つまり、ジョブ型雇用 では、いい意味での「とりあえずやっておいてよ」の融通が利かなくなるのです。
教育と雇用の関係
そして何より、日本でジョブ型雇用を導入する一番の問題点は、日本の教育が対応していないことです。
繰り返しますが、ジョブ型雇用とは、業務と給与が紐づいている制度です。それは、新人もベテランも関係なし。年齢も若くても年配でも関係なし。
新人として採用される時でも、必ず、ジョブ・ディスクリプションの内容が遂行できるかが、問われます。
ところが、日本の学校教育では、仕事で即使える技術・スキルを教えていません。多くの会社では、OJT(On the Job Training)という言葉があるように「仕事は会社で覚えるもの」と思っているはずです。
この考え方の時点で、ジョブ型雇用を日本で適用することは難しいことが分かります。
なお、仕事で即、使える技術・スキルを教えてくれるのが、商業/工業の高校や大学です。しかしながら、それらの高校・大学は、十分な評価を受けていないと思います。
近年注目を浴びているリカレント教育の問題点
近年、ジョブ型雇用の流れもあり「リカレント」という、社会人の学び直しに注目が集まっています。しかし、日本でジョブ型雇用を進めるなら、本来は高校・大学での技術・スキルの教育を進めなければいけません。
教育と仕事、学校と会社の意図がある連続性がなければ、日本全体の社会は変えられません。
今回のジョブ型雇用で言うと現代の日本の学校教育は、ジョブ型雇用に適応できていません。
教育が適応できていないのに、企業側だけの仕組みを変えても、日本全体が機能しないのではないでしょうか。
つまり、教育が変わらなければ、いくらジョブ型雇用と叫んでも、従来のメンバーシップ型(職能資格制度)でなければ、日本全体は機能しない、のです。
まとめ
今回、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用について説明しました。「同一労働・同一賃金」の流れから、ジョブ型雇用に注目が集まっていますが、日本の教育環境を鑑みると、企業が本来の意味でのジョブ型雇用を導入することは難しい、と言えます。
仮に、ジョブ・ディスクリプションを整備して、ジョブ型雇用に近い体裁を整えたとしても、そのメリットを享受できるのは、グローバル企業とシステム関係の極わずかな範囲に限られます。
まだまだ、日本の文化・習慣においては、メンバーシップ型雇用の方が、そのメリットを多く享受できるはずです。
1990年代に成果主義の人事制度が注目を浴びましたが、失敗に終わりました。今回のジョブ型雇用も同じ道を歩むのではないかと見ています。この答え合わせは数年後になりますが、それまで動向を見守りたいと思います。
「中途採用では経験者は採用しません」の懸念点
さて、冒頭で「中途採用で経験者を取らないという経営者」についてお話しました。この会社では、ジョブ型雇用の人事制度に一新されました。
この結果、起こり得ることは、どんなに将来有望な人材であっても、どんなに、この人と一緒に働きたい、と思っても、その人は業界で働くのは初めてなので、ジョブ・ディスクリプションの仕事が一切できません。
そのため、「仮に採用しても、新卒扱いの給与しか提示できない」ということになるのです。おそらく、この事実には、早い段階で気づくことになります。
そして、その後の対応によっては、既存社員の反感を買うことになるため、慎重な対応がもとめられますが、果たして、その対応ができるのか…
この経営者とは、もう会うことがないため、その後は分かりませんがとても心配です。
あなたは、成功哲学書として有名なナポレオン・ヒルの著書『思考は現実化する』を読まれたことがあるかもしれません。そして、「引き寄せの法則」という言葉も耳にしたことがあるかもしれません。
近年、これらについては、脳科学の視点で解釈されつつありますが、あなたは、この「思考は現実化する」と「引き寄せの法則」に対して、どのように感じていますか?
今回のブログでは、この2つについて、脳科学の視点の解釈を取り入れつつ、私見を述べてみたいと思います。そして、実際に「思考を現実化する」ため、「引き寄せる」ために必要なことを紐解いていきます。
「思考は現実化する」と「引き寄せの法則」の共通性は「思考」
ナポレオン・ヒルの書籍『思考は現実化する』は、1937年(邦訳版は1989年)に出版され、全世界での累計発行部数が8,000万部を超えるベストセラーです。当時、鉄鋼王と呼ばれるまでに成功していた75歳のデル・カーネギーが、成功要因を解き明かすために、25歳のナポレオン・ヒルに、世の中の成功者をインタビューして書籍にまとめることを依頼したことが発端です。
本書は、成功哲学書として世の中に広く認知されています。多くの方が、「まぁ。成功するためには、そのような考え方が必要なのね…」と半信半疑な意見を持っていても、「そんなこと、ありえない!」と嫌悪感を抱く方は少ないように思います。
一方で、「引き寄せの法則」は、どうでしょうか?
「引き寄せの法則」の元となるものは、書籍『ザ・シークレット』です。本書は、ロンダ・バーンにより、2006年に出版されました。ロンダ・バーンは、ポジティブな姿勢を保ち「思考そのもの」を変えることで、現実を変えることを目指す疑似科学的な積極思考を提唱しました。それを「引き寄せの法則」と呼びました。
「思考は現実化する」と同じようなことを扱っていますが、多くの方の受け取り方は、どちらかというとスピリチュアル(精神)的な考えが先行しているように思います。そのため、「そんなこと、ありえない!」と嫌悪感を抱く方が、一定数はいらっしゃるような気がします。
しかし、成功するためのポイントは「思考」にあるという点では、両者は共通したことを示していると言えます。
イメージしたことが現実になる?
若干、語彙が異なりますが、「思考」を「イメージ」という言葉に置き換えてみたいと思います。近年、スポーツ界では、イメージトレーニングが効果的な練習方法であることが言われています。
イメージトレーニングとは、実際に体を動かすことなく、動いている自分を思い描くことによって技術や戦術を向上させる手法を指しています。イメージを思い描くことで、実際に動くときに集中力を高めやすく、また、雑念を払うのに役立つと考えられています。
つまり、イメージトレーニングとは「イメージ」することの重要性を示したトレーニング方法です。そして、この「イメージ」が目標達成に重要だと唱えたのが、世界的な整形外科医として活躍したマクスウェル・マルツ博士です。この概念は「サイコ・サイバネティクス」と呼ばれており、数多くの人の顔や身体の整形手術をしているうちに、貴重な発見をしたことに端を発します。
サイコ・サイバネティクスとは
マクスウェル・マルツ博士が発見したことは、整形手術をすることで、その人の性格や人格までが急激に変わるケースが多いということでした。これは、顔を整形手術することで、損なわれていた自己イメージが修復され、人生そのものの良い方向に変わっていく、という結論に至りました。
この事実に注目したマルツ博士は、「サイバネティクス=自動成功メカニズム」が人間の脳と神経系でも作用しているに違いないと考えました。その考えをまとめた概念が「サイコ・サイバネティクス」です。この考えでは、人間の「潜在意識(サイコ)」が「自動成功メカニズム(サイバネティクス)」としての役割を果たします。
脳の基本機能
脳は「実際の経験」と「頭の中で鮮明に描いた想像上の経験」を区別するのが苦手です。このため、想像上の経験であっても、実際の経験であっても、脳は同じような領域を使って情報処理を行います。
例えば、事故や手術で腕や足を切断した人の中には、現実には無いはずの腕や足がまだ有るように感じて、激しく痛む「幻肢痛」という症状があります。この痛みを和らげる治療法として、「鏡治療」が考案されました。これは、健常な腕や手を鏡に映すことで、切断して無くなった手や腕がそこに実際あるように錯覚させ、視覚的な感覚を脳にフィードバックさせることで幻肢痛を和らげることに成功した治療法です。
このような脳の特性から、脳をだまして疑似体験や成功体験を生むことで、それによって得た自信や感触によってパフォーマンスが向上すると考えられています。
そして、その第一の脳の機能が目的志向性と呼ばれる特性です。つまり、「潜在意識」にいったん目標を与えておくと、自動的に目標を達成してくれるという特性になります。
人は無意識に行動する
このサイコ・サイバネティクスの概念は、自動的に目標を達成してくれるということですが、本当でしょうか?
私は、この“自動的に”、というところに問題がある気がします。
ここで、少し整理をしてみます。つまり、「イメージしたことが自動的に達成する」というところに理論の飛躍があり、無理があるように感じるのではないでしょうか。
そこで、「イメージしたように行動することで、目標が達成できる」と考えてみてはいかがでしょうか?
「結果を得るために、行動が伴う必要がある」ことは容易に理解できると思います。つまり、「“自動的に”達成する」のではなく、「“自動的に”行動することで達成される」というわけです。あくまでも、行動が伴うことが前提だということです。
ここで、重要となるのが、「イメージしたように“自動的に”行動にする」ということです。これを書き換えると「イメージしたように“無意識的に”行動する」ということになります。この行動特性は、心理学的にも説明されています。有名なものとして、以下のカラーバス効果が挙げられます。
心理学の視点:カラーバス効果
「カラーバス効果」とは、あることに意識することで、それに関する情報が無意識に自分の元に集まるようになる現象のことをいいます。
「カラー(color)」は「色」です。「バス(bath)」は「浴びる」という意味があります。つまり色の認知に由来しますが、色に限らず、言葉やイメージ、モノなど、意識するあらゆる事象に対して起きる現象です。
この「カラーバス効果」を説明する例が、次のようなものです。
例えば、あなたが車の買い換えを予定していたとき、欲しい車種があると、その車ばかりのテレビCMが気になったことがありませんか?
このように、人の脳は、眼の前にある光景は同じものだとしても、何を意識しているのかよって、見えるものが変わります。
脳科学の視点:RAS
この「カラーバス効果」は、脳科学的には、人の脳に備わる「RAS(Reticular Activating System)」と呼ばれる働きで説明されます。
「RAS(ラス)」とは、「網様体賦活系(もうようたいふかつけい)」です。この「RAS」は、入ってくる情報をふるい分けて、何に注意を向けさせるか、どれくらい関心を呼び起こすか、どの情報を遮断するのか、などを判断する機能です。
このように、人の脳は、重要度の低い情報はフィルターにかけられてカットしています。このため、実際に見ていても、ほとんど記憶には残っていない情報がたくさんあります。「実際には見えているはずなのに見えていない」という情報遮断効果のことを「心理的盲点=スコトーマ」と呼びます。
つまり、人の脳は、自分にとって必要か必要でないかを自動的に、言い換えれば無意識に判別しているのです。
人はイメージしたように行動する
「イメージしたように“無意識的に”行動する」例が、ドラマなどでよくある車にひかれそうになるシーンです。
ドラマで見かけるシーンを例に
あなたも、ドラマなどで、人が車にひかれそうになり身動きが取れない状態の時に、主人公がその人を横から飛びついて助ける。というシーンを見たことがあるかと思います。
私は、このシーンを見た時「主人公が横から飛びついて、その人を助けられたのであれば、自分から車を避ければよいのでは?」と常に考えていました。あなたも、そのように考えたことがあるのではないでしょうか。
実は、ここに「イメージしたように“無意識的に”行動する」ことが隠されているのです。
つまり「車に引かれる!」と強くイメージしたことで、イメージしたように体が動いているのです。言い換えれば、「車に引かれる」ために、その場の留まる行動を取ったと言えます。
確かに「人は恐怖に直面すると体が硬直して、身動きが取れない」という説明がされることもありますが、この「イメージしたように“無意識的に”行動する」という説明も可能ではないでしょうか。
人間以外もイメージして行動する
では、このイメージしたとおりに行動するのは、人間だけでしょうか。すなわち「イメージ」する能力は人間だけの特別な能力なのでしょうか?
「蛇に睨まれたカエル」という諺があります。この諺は、窮地におちいって身動きが取れない様子を言いますが、これも、カエルが蛇に食べられることを強くイメージしたことで、「蛇に食べられるために動かない」と考えることができます。
また、同じカエルを例にとると、カエルは舌を伸ばして、ハエなどの昆虫を捉えますが、自分の舌で昆虫を捉えるところをイメージできるからこそ、捕捉することができるタイミングで、自らの舌を伸ばすのではないでしょうか。
先ほどの「蛇に睨まれたカエル」は、窮地を覆すことができない状況下で、イメージしたとおりに行動した結果です。一方、窮地を脱することをイメージしたとおりの行動を起こす諺として、「窮鼠猫を噛む」があります。これは、通常の力関係を覆して行動することを示す諺ですが、これは「生きたい!」と強くイメージした結果、通常では力関係が及ばない相手に対して、立ち向かう行動を取らせた、と言えるのではないでしょうか。
人にも「火事場の馬鹿力」という言葉がありますが、通常では発揮しえない力を「なんとかするのだ!」という強いイメージが、通常では出すことがない肉体的な行動を発揮させるのかもしれません。
行動するから結果が出る
結果を出すためには、行動が必要なことは容易に理解できるかと思います。しかし、行動を起こすこと自体に様々なハードルがあり、実際にはなかなか行動に起こせないから困っているのだ、という人が多いのではないでしょうか。
この「行動できない」という原因を、今回の「サイコ・サイバネティクス」である「イメージしたように“無意識的に”行動する」という観点で説明します。
この「サイコ・サイバネティクス」では、イメージすることが重要な要素です。そして、このイメージは「○○したい」という願望から始まります。しかし、この願望を抱いても、「行動できない」原因は、どこかで「どうせ無理だ」という思考が頭をよぎり、その結果として、イメージする力を失わせているのです。
つまり、「○○したい」という自分の成功を信じる力が、「イメージ」する力を引き出し、その結果として「“無意識的に”行動する」力を引き出すのです。
まとめ
まずは「強く願う」。これが成功するための第一歩です。そして、経営者であれば「理想を考える」。このことから、経営の全てが始まるのはないでしょうか。
この「理想を考える」ことの大切さについては、松下幸之助氏の「ダム経営」の逸話があります。
ダム式経営とは、資金、人材、技術等、経営の重要な部分に予め余裕(ダム)をつくっておくことによって、その後の経営環境の大きな変化にも耐えられるようにすべきだと主張する経営の考え方
時は1965年頃、京都商工会にて、松下幸之助氏が「ダム経営」について講演した際、「どうしたらダムがつくれるのか、そこのところを教えて欲しい」という参加者からの質問に対して、松下幸之助氏は一瞬困った顔をして、次のように答えました。
「そうですなあ、そらやっぱし、“ダム式経営をやろう”と思わんといかんでしょうな」
この答えに、手っ取り早いやり方を教えてもらえると期待した会場からは、「何だ、そんなことか」とばかりに騒めきと失笑が広がりました。
しかし、同じ参加者でも、「ガツーンと身の震えるような感動と衝撃を受け、本当に目が開けたような気がした」と異なる反応を示した人がいました。それが、若かれし稲盛和夫氏でした。
そして、この時の松下幸之助氏の教えが、稲盛和夫氏のフィロソフィである「潜在意識にまで透徹する強い持続した願望をもつ」に繋がるのです。
あなたは、経営者として、
・どのような経営をしたいですか?
・どのような経営者を目指しますか?
それを描くことが、経営者としての始まりだと思います。是非、「ワクワクできる」未来を描くことから始めてみて下さい。
経営者であれば、誰しもが「会社発展のために、組織を強くしたい」と考えていると思います。そのため、経営学の中でも組織論は、非常に関心が高い分野です。
しかし、忘れてはいけないのは、組織を強くするための基盤となる仕組みが「人事制度(人事評価制度)」 です。つまり、組織を強くするためには、組織開発の方法論から始めるのではなく、人事制度の制度を整えることから考えて頂く必要があります。
この「人事制度(人事評価制度)」 は、等級制度・評価制度・報酬制度 の3本柱の制度で構成されています。今回は、等級制度について説明します。
なお、報酬制度(賃金制度)については「賃金は何に対して支払われているのか」 にて説明しました。また、評価制度については「評価制度の大切な目的」 で説明しています。是非、合わせてご一読下さい。
等級制度とは?
等級制度とは、職務能力や担当職務で「等級」という区分・格付けにより、社員の序列と処遇を決める人事制度の土台となる制度です。等級制度には職能資格制度・職務等級制度・役割等級制度 の3種類が存在します。以下、この3種類の等級制度について説明します。
職能資格制度とは?
職能資格制度 とは、 “職務”を遂行する社員の“能力”を「職能」と定義し、その職能レベルに応じて等級を定める制度です。
その能力は、営業職や事務職などの職種を問わず、すべての職務に関連する能力を指し、特定の分野に関するものではありません。
また、職能資格制度 で決定される等級は、組織上の役職(課長・係長などの職位)と一致するとは限りません。
この職能資格制度 は「pay for person」 と呼ばれています。つまり、人やその人が有している能力に焦点を当てた制度です。後述する「pay for job」 と呼ばれる職務に焦点を当てた職務等級制度 とは対照的です。
多くの日本企業に根付いており、経済成長を支えたシステムではありますが、いくつかの欠陥が指摘され、うまく機能しない場面も指摘されています。
職能資格制度のメリットとデメリット
職能資格制度 は日本独自の制度であり、社内でゼネラリストを育成するための職種転換などのジョブ・ローテーションに適しています。また、等級と役職とが連動していないため、人員が多くなり、部長や課長などの役職が不足した場合、等級を上げることで資格の呼称(例:参事や主事など)が変わることによって、長期にわたるモチベーション維持が可能です。
このため、長期(終身)雇用を中心とした日本企業の人材育成に適した制度として広く採用されてきました。
しかし、この職能資格制度 は、年功的な運用に陥りやすいことから、人件費の増大につながりやすく、更に人事評価が曖昧になりやすいことが指摘されています。
特に、バブル崩壊後の低成長時代に入り、人件費が企業の業績を圧迫するようになると、この職能資格制度 に対するデメリットが指摘されるようになりました。
そして近年、派遣社員・契約社員が増加し、業務の外注化(アウトソーシング)も活発に行われています。転職現場でも即戦力となるスペシャリストが求められ、企業は長期間育成コストをかけられる状況ではなくなっています。これらの時代背景が、職能資格制度 を見直す機会となっています。
職務等級制度とは?
職務等級制度 は、従業員の担当している“職務”の難易度で賃金を決めるシステムです。年齢・学歴・勤続年数などの個人的要素を考慮せず、同一労働・同一賃金が原則となる制度です。
欧米でよく導入される制度で、職務内容と仕事の市場賃金相場から賃金が決められます。職務内容記述書(ジョブ・ディスクリプション) に基づいて、職務評価が行われることで従業員の等級が決められます。
先ほど説明した職能資格制度 が、人を主語にして「pay for parson」と呼ばれる制度に対して、この職務等級制度 は「pay for job」と呼ばれ、職務が主語となります。
職務等級制度のメリットとデメリット
職務等級制度 は、スペシャリスト育成に適しており、欧米企業のように、経営と執行の分離が行われる組織と相性のよい制度です。
また、この職務等級制度 は、不要な職務を排除しやすいことから余剰人員の発生が起こりにくく、総人件費が抑えられるというメリットもありました。
しかし、経営環境が著しく変化する中で、組織や職務の硬直化が企業の自律的な活動を抑制し戦略実行の妨げになることが指摘されるようになりました。
更に、職務が変わらないと賃金が上がらない制度設計であり、人材の流出につながりやすいというデメリットもあります。
このような背景から、欧米企業でも、脱・職務等級制度を目指す人事制度改革が見られるようになります。
役割等級制度とは
役割等級制度 は、ミッショングレード制とも呼ばれ、経営目標を達成するために従業員が果たすべき“役割”を明確にし、“役割”に等級を持たせる制度です。
1980年代頃のアメリカで始まった制度であり、職務の定義ではなく達成すべきミッションの定義を重視する等級制度です。
役割の内容に応じて待遇を決定しますが、各企業で役割の定義は異なるため、統一的な定義は存在しません。
職務等級制度の“職務”の定義は、一度設定すると変更は容易ではありません。一方で、役割等級制度 の“役割”なら比較的変更が簡単です。
このため、役割等級制度 は、日本企業には導入しやすい制度と言われていましたが、役割の定義が曖昧なため、導入した各企業とも試行段階という状態です。
この役割職等級制度 は、一時、務等級制度を根付かせることが難しい日本の組織において、次に導入検討されている制度の候補とされていました。
しかし、役割等級制度 は厳密な定義や定型が存在しておらず、各企業が自社に適用する役割定義を設定しなくてはならない難しさがあります。
役割等級制度のメリット・デメリット
従業員の役割が明確になることで、主体性を持って動きやすくなることがメリットとして挙げられます。つまり、自らのミッションがクリアになると、自分で判断できる領域が広がるため、組織の活動が円滑になる効果が期待できます。
また、役割が外から見ても明確であれば、従業員が役割を果たしているかの判断がつきやすく、処遇も適切に行うことが可能です。さらに、役割は経営状況に応じて柔軟に変更することもできます。
しかし、一方でデメリットも挙げられます。それは、役割の内容を自社で主体性を持って考えないとうまく機能しないということです。役割は組織風土・文化とも関連がありますので、他社の定義を流用しても自社とマッチしないことが多いです。
役割等級制度を導入するなら、人事は経営・現場と細かくすり合わせを行い、適切な役割定義・グレードを定めることが求められます。
現在の人事制度のトレンドとは?
総じて、日本独自の「職能型」の人事制度は、欧米型の「職務型」に向かい、適正なインセンティブの分配を目指しています。
また、欧米型の「職務型」の人事制度は、日本型の「職能型」の要素を取り入れ、自律的な組織集団となることを目指すという流れが、近年の人事制度改革の潮流として見られます。
この双方の歩み寄りの流れから「役割型」の人事制度が検討されましたが、その運用の難しさから、日本と欧米共に、人事制度として根付くことはありませんでした。
こうした「職能型」と「職務型」を検討する流れは、時代と共に、多少の揺り戻しを繰り返しながらも続いていくことが予想されていますが、今後の人事制度改革にあたり注目されている動きが「働き方の多様化」です。
「働き方の多様化」の流れによって従業員の雇用スタイルが様々になる中で、従来より議論が繰り返されてきた「同一価値労働・同一賃金」の問題や、雇用形態等によらず多様な人材が混合した従業員のポートフォリオとその処遇を検討する必要に迫られています。
この流れの中で「従業員エンゲージメント(組織・仕事への取組み)」の重視は必然的に求められることになり、新たな人材マネジメントに適した人事制度改革の形が、これから模索されようとしています。
まとめ
近年は「ジョブ型雇用」と呼ばれるように、職務等級制度 が再度、見直されています。この背景には、近年のグローバル化により、海外からの優秀な人材を採用するために必要と考えられていることが挙げられます。
つまり、海外の人材は職務等級制度 に親しんでいるため、職務の内容を明確に定義しておかないと、海外の人材から応募先として選ばれにくくなる可能性があるからです。
しかし、日本企業では従業員同士が助け合うことも頻繁に行われ、個々の職務を明確に区別するのが難しい場合も多く、職務等級制度 は日本に馴染まないという考え方も根強く残っています。
世の中のトレンドの背景にある考え方を抑えた上で、自社の経営に合った等級制度を採用する必要があります。人事制度を改定する際は、是非、この「自社の経営に合った人事制度とは?」という問いに答えて頂ければと思います。
ちなみに、私が考える日本の中小企業の経営に合った等級制度は職能資格制度 です。
何故、日本の中業企業には職能資格制度が合っていると考えるのかは、改めてお伝えしたいと思います。
1 on 1とは、1 on 1ミーティングとも呼ばれます。この1 on 1で行うことは上司と部下との1対1の定期的な「対話」です。この「対話」の対極にあるのが「面談」です。
従来の「面談」は、上司が部下の人事評価などを行う際に、仕事の達成度合いや来期の目標設定について、上司が部下に確認したい話をする、いわば“上司のための時間”でした。
一方、この1 on 1の「対話」とは、“部下のための時間”です。この1 on 1は、週に1回~月に1回といった定期的なペースで30分程度の「対話」を行い、部下が仕事を通じて得た体験や課題、悩みを上司と共有する、部下個人を中心としたミーティングです。
このブログを読み終わった時に、「1 on 1は面白そうだ。是非、自社でも1 on 1を取り入れてみよう」と思ってもらえればと思います。
特に、会社の大きさが、経営者のあなたの目が全社員に行き届く規模であるならば、是非、経営者と社員との立場で、従来の「面談」とは異なる「対話」を重視した1 on 1を貴社で取り入れて頂きたいと思います。きっと、この1 on 1が会社の活性化につながるはずです。
1 on 1とは
この1 on 1は、最先端の企業が集まるシリコンバレーでは古くから行われています。その中でも、一番初めに1 on 1を組織開発の手法として取り入れたのはインテルでした。インテルが1 on 1を取り入れた背景には、人種や宗教、価値観が異なる国だからこそ、1対1の対話の重要性を重んじていることが挙げられます。
また近年は、グーグル社でも上司と部下が30分~1時間の1 on 1を行っています。グーグル社の元CEOエリック・シュミットは以下のように言います。
“事業は常に業務プロセスを上回るスピードで進化しなければならない。だからカオスこそが理想の状態だ。そのカオスの中で必要な業務を成し遂げる唯一の手段は、人間関係だ。社員と知り合い、関係を深めるのに時間をかけよう。”
シリコンバレーでは、優秀なエンジニア一人で会社の命運が変わることもあるため、優秀な人材を確保するために各社の経営陣は頭を悩ましています。今いる会社に得るものがなくなれば、優秀な人材はすぐに他社に流れていきます。そのため、シリコンバレーでは1 on 1の時間を「Quality Time(部下にとって高質で貴重な時間)」としている企業もあります。
日本においても、シリコンバレーの企業同様に、優秀な人材に自社で活躍してもらうために、より個別に人を見ていく必要が出てきたと言えます。そして、この1 on 1を日本でいち早く取り入れた企業にヤフーが挙げられます。ヤフーでは、早くから全社に取り入れ大きな改革を起こしたことからも注目が集まっており、日本でもここ数年で1 on 1を導入する企業が増えています。
この1 on 1を通じて、経営者のあなたは、時にカウンセラーのように社員の話を聞き、社員の状況や問題、関心事を把握します。1 on 1の結果として社員は、気持ちがすっきりしたり、納得感を得たり、次のチャレンジへ行動していこうとすることが最も重要なことです。
1 on 1が注目される背景
近年、技術革新により経営環境や市場動向はめまぐるしく変化するようになりました。そのため、年度初めに立てた目標が、期末になる頃には全く違ったものになっているという状況も珍しくありません。
つまり、変化の激しい現代では、期初に目標を立て1年後に振り返りをするというのでは、現代の経営の実態に合わなくなってきています。
そんな時代に合わせて、短い期間でより多く経営者と社員が対話する機会を持ち、PDCA を繰り返していくことが必要になっています。
また、社会的背景が急速に変わっているのに「経営者と社員のコミュニケーションの取り方が変わっていないこと」にも問題があります。
つまり、社員の価値観が多様化し、働き方も多様化している現代だからこそ、社会的背景に合わせたコミュニケーションに変化させていく必要があるはずです。
そして、従来の組織で行われているコミュニケーションとは、結果を出すだけの「情報交換」を指しているのではないでしょうか。
組織の課題とは、例えば、人が育たない、優秀な人が辞めてしまう。チームに活気がない、といった「人」に関することで、問題となっている事象は多岐に渡ります。しかし、これらの問題を突き詰めていくと、実は根本的な原因はたった一つ。それは「個人に焦点を当てた対話の不足」です。
結果を出すために必要なコミュニケーションは密に取っている、と経営者側が思っていても、それは業務に焦点をあてたいわゆる「仕事の話」をしているだけに留まっているのではないでしょうか。
個人に焦点を当てた「対話」が継続的な結果をもたらします。
個人に焦点を当てた対話の目的とは「社員との信頼関係づくり」や「社員の不安の解消」、さらには「社員の心身状態の確認」など、社員自身に関することです。これらの一連の働きかけが、「心理的安全性」に繋がるのです。
1 on 1の目的
1 on 1の大きな目的は以下の2つです。
社員の成長
1 on 1では、従来の目標管理や業務の進捗管理が目的ではありません。効果的な社員の成長を促すことを目的としています。
1 on 1により、社員は自分の失敗体験や成功体験を振り返る習慣がつきます。その過程で取組むべき課題を明確にすることが可能となります。その結果、経験学習のサイクルが身に付きます。自分に繰り返し起こるパターンを認識することで、精神的な面での課題も見つかる可能性もあります。
また、経験の振り返りから社員自身が自分の適性や可能性に気づくこともあり、こういった気づきが社員のキャリア支援のきっかけとなります。
目標の達成
社員の成長とセットとなる目的が目標の達成です。1 on 1の機会を設けることによって社員は困っていることへの解決方法やヒントや経営者や上司からの協力を得ることができます。
社員の行動について、経営者側から客観的に見て目標を得遠回りしていたり非効率的だったりした場合は、軌道修正を促せます。1 on 1により、高い頻度でフィードバックを得られれば目標達成への精度も上がります。
1 on 1のメリット
経営者のメリット「社員の情報を引き出すチャンス引き出せるチャンス」
経営者が1 on 1で、日々変化している現場の状況を直接聞き取れば、現場への理解を深めることができます。
また、1 on 1の場面で普段の業務中にはわからない社員の性格や健康状態、家庭の事情を知ることもあり、結果、社員の仕事のパフォーマンスに対する理解度を向上させることができます。
社員のメリット「タイムリーな相談」
1 on 1は週に1回から月に1回定期的に経営者の時間を得られます。このため、社員はその都度、自分がその時に困っていることについて相談したり、自分がうまくやれているのか評価を受けたりすることができます。
従来、会議は頻繁に行われているものの、1対1の面談は少ないと半年~1年に1回、多くても四半期に1回程度しか行われていない企業ばかりでした。
それが1 on 1として半強制的に面談の時間を設けることで、社員は自分の仕事について(場合によってそれ以外のプライベートな事なども)ある程度気軽に相談できるようになります。
両者のメリット「信頼関係の構築」
定期的に 1 on 1ミーティングを行うことで経営者と社員は自然と距離感が縮まるようになります。
定期的な1 on 1によって「心理的安全性」が確保されれば、通常では口に出さないような感謝の気持ちや仕事への賞賛などが自然と出るようになり、経営者・社員ともに働くことに喜びを感じる機会を得ることができます。
さいごに
1 on 1は、社員の「内省」の場でもあります。内省とは「自分の心と向き合い、自分の考えや言動について省みること」です。1 on 1において、社員は経営者のあなたの問いかけによって自分とも「対話」を行います。
一方で、経営者のあなたも自分自身を「内省」していく必要があります。それをセルフ1 on 1と呼んでみます。このセルフ1 on 1のやり方は人それぞれで良いと思いますが、大切なのは、自分自身をケアしなければ、他人はケアできないということです。
つまり、セルフ1 on 1で自分自身をケアして、通常の1 on 1では部下をケアしていく。そのような姿勢を大切にする心がけが必要です。
また、経営者は常に社員から、人格=あり方を見られています。自分が社員の立場で経営者を見る時、厳しい目でジャッジしている自分に気が付くのではないでしょうか?
「あり方=人格」と「やり方=スキル」はよく氷山に喩えられます。やり方は目に見えるものです。しかし、その下にはやり方を支えるあり方があります。これは海面に沈んでいるため直接は目に見えません。しかし、全ての行動がこのあり方=人格を作っていきます。それは社員のことをよく知ろうとする姿勢そのものも含まれます。
つまり、やり方は色々ありますが、そのやり方にこだわるのではなく、全てをあり方=人格を変えていく、自己成長につなげていくものであるという思いで、何事にもチャレンジして頂ければと思います。
是非、一度1 on 1を会社に取り入れることを検討してみて下さい。そして、どうやったら分からない。という方は、合わせて『1 on 1の基本的なやり方と考え方』 もお読みください。
1 on 1とは、1 on 1ミーティングとも呼ばれます。行うことは上司と部下の1対1の定期的な「対話」です。
ここで、上司と部下という表現を用いましたが、会社の大きさが、経営者のあなたの目が全社員に行き届く規模であるなら、是非、経営者と社員との立場で1 on 1を貴社で取り入れて頂きたいと思います。従来の「面談」とは異なる「対話」を重視することで、会社の活性化につながるはずです。
会社の成長には、社員の成長が必要不可欠です。どのような社員がいて、会社にどのようなことを望んでいるのかを知る必要があります。そのためにも、1 on 1を通じて、社員一人ひとりのことをよく知って頂ければと思います。
今回は、この1 on 1の基本的なやり方について説明しますが、やり方にこだわり過ぎずに、あくまでも、1 on 1は「社員のための時間」だということを忘れないでください。
1 on 1の基本的なやり方
1 on 1の基本ルール
1 on 1を実施するにあたって基本となるルールは以下の3つです。
少なくとも月に1回(可能なら、週1回から隔週1回の頻度で)
1回につき15分から30分
事前に話すことは考えておく
1. 少なくとも月に1回(可能なら、週1回から隔週1回の頻度)
多くの会社では社員との面談を年度ごとや半期ごとにしており、1年に1回から2回ほどしか行わないことがほとんどです。しかしそれでは社員への十分な聞き取りができているとは言えません。
本来、1 on 1は週1回から隔週1回程度の頻度で行うことが理想です。経営者のあなたが1 on 1を全社員に実施する場合、週1回での実施は社員数によっては困難だと思います。
しかし、この頻度は1 on 1で最も大切なポイントです。1回15分という短い時間でもいいので、できるだけ回数を増やしていくことを心掛けて下さい。
2. 1回につき15分から30分
定期的に行うことが重要であるため、続けやすいように1回の時間は短めとします。
ただし、社員が深刻な悩みを抱えている場合や、なかなか解決への道筋が見えない場合は、この限りではありません。社員の状況に応じて、臨機応変に時間を増やすなどの対応を行います。
3. 事前に話すことは考えておく
1 on 1導入期に起こり易いのが、いざ「何について話しますか?」と社員に聞いても、社員が「特にありません」となることです。
大きな原因の一つは、あなたと社員の間に信頼関係が構築できておらず、あなたに相談できないという場合があります。また、他の原因として、社員自身が自分の仕事について振り返りができていなかったり、客観的に見えていなかったりすることもあります。
1 on 1を実施するために、専用シートなどを使って、話したいことを2つ3つ考えておくことで、スムーズな運営が可能となります。
話をする内容の具体的な切り口としては、以下のような項目が考えられます。
よく出来たと思っていること
困っていること
気になっていること
目標の進捗
プライベートの悩み
最近新たに始めたこと、など
1 on 1を実施する際の注意点
1 on 1を実施する際はいくつかの注意点があります。その中でも特に気をつけたいのは以下の3つです。
まずは社員の話を聴く
仕事の業績向上につながる会話をする
キャンセルではなく必ずリスケジュールする
1. まずは社員の話を聴く
1 on 1は社員のための場であることを忘れてはなりません。「社員の話す時間が8割以上になる」ことを意識して下さい。
また内容が、他の社員に対する相談であったとしても「あなたならどう思うか・あなたの意見は?」というように、質問を返して、さらに深い情報を引き出すなど、社員に話をさせるようにします。
社員にあらかじめ今回の課題を提出してもらう方法もあります。たたき台として共有された文書があると社員も話がしやすくなり、あなたも落ち着いて話を聞けるというメリットがあります。
2. 仕事の業績向上につながる会話をする
慣れないうちは、対話が難しいかもしれません。沈黙が続くなどした場合は、話しやすい雰囲気を作るために、雑談は必要です。
しかし1 on 1の目的は業務時間を使って社員からアウトプットを促し、最終的には仕事の業績向上につなげることです。貴重な機会があることを忘れずに雑談だけで終わらないように注意します。
3. キャンセルではなく必ずリスケジュールする
忙しい仕事の合間を縫うため、時には予定通り1 on 1を実施できないこともあるかと思います。その際はキャンセルではなく必ずリスケジュール(再日程調整)します。
キャンセルではなくリスケジュールすることで、会社側が1 on 1を大切にしている、社員を大事にしている。という会社側の意思表示にもつながり、社員との信頼関係を構築にも寄与します。
1 on 1において話し合う目的は大きく2つ
目的を説明する前に1 on 1を始める際の気を付けるべき点は、以下の3点です。
雑談でもよいが、雑談ばかりはN.G.
業務の細かい進捗の話はN.G.(社員がどうしてもというなら別だが、毎回はN.G.)
話すテーマのゴールを決める必要はない。しかし、客観的な視点で今全体のどこ(Where)の何(What)を話しているのか?という意識は必要(ゴールへ誘導するコンパスは必要ないが地図は必要)
雑談ばかりのゆるい雰囲気ではなく、少し雑談を含む柔らかい雰囲気で社員との対話を行います。その際、具体的になり過ぎる話に終始すると、短期的な視野で問い詰めるような雰囲気にもなりかねません。
普段あまり話さない抽象度の高い話を中心に、主な視点は中長期に向けます。そして、あなたが話を誘導するのではなく、その場の雰囲気や社員の状態に共感しながら、社員の立場に寄り添って話すことを心掛けます。
目的別にさらに2つに分けることができます。
信頼関係づくり
社員の成長支援
あなたと社員の関係の根本にあるのは、人間関係です。その関係を築く基礎となるのは信頼関係です。この土台なくして強固な関係性は築けず、伝えたいことも伝わりません。まずは信頼関係づくりが不可欠です。よって、この信頼関係づくりは、1 on 1の時に毎回心がける必要があります。
そして、信頼関係をつくりながら、あなたが行うべきは社員の成長を支援することです。この社員の成長が会社に高いパフォーマンスをもたらし、会社の成果を最大化させます。この2つは完全に分けられるものではなく、相互に影響し合っています。
信頼関係づくり
プライベート相互理解
社員にプライベートなことを話してもらうためには、雰囲気が重要です。人は環境によって気分が左右されるものです。そこで特に意識してほしいのが、社員の話に、あなたの「納得」を求めてはいけない、ということです。あなたが「納得」するための時間は、あなたのための時間です。つまり、「納得」ではなく「共感」のスタンスで臨むことが必要です。
また、「共感」は相手に味方と認識させますが、「説得」は敵と認識させてしまいます。更に、「共感」は安心と勇気を与えてくれます。
心身の健康チェック
心身の健康チェックとは、心身の状態や業務量、業務時間などを確認することです。今、社員が「どのような状態で」仕事に取り組んでいるのかを知っておくことも、経営者としての役割です。なぜなら、心身の健康は仕事の結果に関わってくるからです。
「最近寝つきがよくない」「早めに起きてしまう」「疲れやすい、ダルイ」これらは、メンタル不調の最初のサインです。このような回答があった場合には、少し深堀りして原因を聞いて下さい。
「残業が多い」「変えるのが早い」残業や業務量の過多など、社員の立場ではどうしようもない状況についても確認して、場合によっては、タスクの洗い出しや効率化の方法、更には優先順位をつけることを社員と一緒に行います。
存在承認
あなたが行うのは、社員の話を「聴ききること」です。「話を聴いてもらっている」ということが何よりも、「自分は大切にされている」と存在承認を実感してもらうことが大切です。
また、仕事での成果についても触れて下さい。「自分の仕事を見てくれている」ということも存在承認に繋がります。
この存在承認は、最終的に会社の成果に繋がりますので、是非、大切な要素であることを意識して下さい。
社員の成長支援
目標設定/評価
目標設定も評価も、その本質は社員の育成にあります。また評価で最も大切なことは「正しい評価」ではなく「評価される側の納得感」です。いくら「ルールに則った」評価をしても社員が納得しなければ意味がありません。
つまり、会社として「社員の納得のいく評価」を行って、社員の育成につなげていくことにあります。そのために、日頃から短い期間での1 on 1により、物理的な接触頻度を増やして、目標へのフィードバックや承認を行う必要があります。
社員が心の中で思っていることを聴いて、社員特有の状況や想いを理解しない限り、社員は「自分をきちんと見てもらっている」という感覚は持てません。ルール通りの「正しい評価」を行っても、社員にとって納得できない評価となってしまう恐れがあります。
また、目標設定も同様に、1 on 1を通じて、正しい目標設定から納得感のある目標設定に変えていく必要があります。
能力開発/キャリア支援
業務を通して、社員の気づきを促すことで、社員個人の能力開発とキャリア支援を行うことができます。
能力開発とはすでにある能力を自覚させることです。社員は、業務を何らかの行動をとることで終わらせますが、そのときに社員は自分のどのような能力が発揮されたかについてあまり気にしていません。
しかし、ある行動がとれるのは社員が持つ能力が発揮された結果です。そして、社員本人はこの発揮した「能力」には無自覚です。その場合、たまたま発された能力として、次の機会に発揮できないかもしれません。
そこで、質問によって社員自身に気づかせるのです。そして自分の中からその能力が発掘することができれば、その能力をまた異なる場面でも活用することができます。社員自身が自覚的になることで、自分の能力を扱えるようになります。
社員が「将来やりたいこと」を考えるキャリア支援にも、目標から逆算する考え方の「トップダウン型」と現状の積み重ねによりキャリアを切り開いていく「ボトムアップ型」があります。どちらのやり方にも共通しているのは、現在を「迷わず、充実して過ごせる」ことにあります。これを踏まえた上で、将来像について社員に問うポイントは以下となります。
会社内での将来像
ビジネスパーソンとしての将来像
その他(人間として、家庭の中で、地域の中で)の将来像
業務の改善
一般的には、緊急度が高く、かつ重要度の高い業務の場合は、社員から報告や相談することができます。一方で、期限が決まっていない、重要だけど緊急ではない業務については、なかなか社員から声が上がらない傾向にあります。
しかし、本当に重要なのは、この重要だけど緊急ではない業務です。よって、1 on 1では数字や具体的案件の進捗確認などの目先の成果に関することは扱わないことを前提として、業務改善と組織改善について対話します。
これら、将来起こりうるリスクを先回りして考えたり、業務をもっと効率的なものにしていくアイデアを出したりすることです。そして社員の視野を広げていくことは、中長期的に結果を出していくために極めて重要なことです。
戦略・方針の伝達
経営者としてのあなたの大きな役割は、社員全員を一つの目標に向かって一致団結して行動を促すことです。
そのためには、経営者のあなたから「社員への報連相」が大切です。あなたは、社員が知ることのない重要な情報を得ているかと思います。「社員に開示する必要はない」とご自身の中で留めておくのではなく、社員が知りえない情報を精査して、社員に公開していきます。つまり、「社員への報連相」ができる経営者は社員を育成することが上手です。特に、社員に早い成長を期待するならば情報を頻繁に出していくべきです。
さいごに
今回、時代に合った組織開発方法の1 on 1のやり方について説明してきました。経営者のあなたが、全社員と「対話」の時間を取ることは、初めは大変だと思います。足元の業務が回らなくなる可能性が出てきて、1 on 1どころではないかもしれません。
しかし、会社には、経営者にしかできない仕事がいくつかあります。その一つが、「人事・組織」です。分業化が進んでいる大企業とは異なり、少数精鋭の中小企業では、あらゆる業務をこなすために、社員の能力を最大限に引き出す必要があります。その能力を引き出すことができるのは、経営者しかいません。
アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)を焼く20年率いて、「20世紀最高の経営者」と称されたジャック・ウェルチは「会長として仕事の75%近くは人事だった」とコメントを残しています。
ピーター・ドラッカーも、「エグゼクティブは、人材マネジメントと人事関連の意思決定に最も多くの時間を費やしており、それがあるべき姿である。これほど影響が長引く判断、あるいは元の状態に戻すのが難しい判断は他にない」と記している。
それほど、会社にとっての人材育成・組織開発は、経営の重要課題だと言えます。是非、あなたの会社でも、1 on 1を取入れて、会社発展のきっかけにして頂ければと思います。
経営者の大きな悩みの一つとして、社員の育成(人材育成)があるかと思います。
その人材育成のプロとして、人材育成コンサルタントが存在します。しかし、その人材育成のプロであっても、自分の子どもの育成(子育て)は、思い通りにいかないと言われています。それほど、自分の子どもの子育ては難しいものです。
しかし、この子育てと人材育成には、共通点が多く、どちらも参考になることがあります。今回は、子育てと人材育成の共通点を見ながら、どのように人(子ども・社員)を育成してくべきかについて考えて行きたいと思います。
子育てと人材育成に共通する3年という期間
三つ子の魂百まで
あなたは、子育ての重要性を語ることわざとして、「三つ子の魂百まで」は聞いたことがあるかと思います。このことわざの意味は、「幼い頃に体得した性格や性質は、一生変わることがない」という例えです。
なお、全世界88か国でも同じような言葉が存在していると言われ、3歳までの幼児期の子育ての重要性は世界共通と言えます。
欧米では、「ゆりかごで学んだことは、墓場まで持っていくことになる」という意味の「What is learned in the cradle is carried to the grave」が有名ですが、「Zero to three」という短い言葉が使われることもあります。
3歳までの子育ての重要性は、脳科学的にも解明されています。脳の重量は、3歳で成人の約80%、6歳で約90~95%に達します。成人の脳にある約140億個の神経細胞は、妊娠7週から20週までの間にほぼ全部作られ、出生後は増えません。脳の重量増加は、脳の神経細胞であるニューロン同士を繋ぐシナプスが増えることや、ニューロンの突起が複雑に伸びたりすることが要因とされています。
つまり、出生後に脳の神経細胞の数は増えないが、神経細胞(ニューロン)間の連絡網(シナプス)の形成により初めて脳全体が機能するようになり、その脳の成熟が3歳ごろであるということです。このこのため、3歳ごろまでの外部からの刺激が大変重要であるという訳です。
生まれてから3歳ごろまでが子育てには重要であるということについては、会社においても同じことが言えます。
新入社員3年目までの教育研修
会社では、入社したばかりの社員が社会人として必要な知識やスキルを身に付けたり、会社への理解を深めることを目的に、新入社員研修を行います。人材育成は、会社の運営と発展に欠かせない要素であり、新入社員研修はその人材育成のスタートに当たると言えます。
そして、この社会人がスタートした時の人材育成の重要性を認識しているからこそ、多くの企業はこの3年目までの研修教育に力を入れています。
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所が毎年行っている「教育研修費用の実態調査」の教育研修について、2019年度(第43回)の調査結果(対象企業:3,000社)では、階層別教育は、「新入社員教育」の実施率が95.7%と報告されています。また、「新入社員フォロー教育」が77.7%、「中堅社員教育」が70.7%という実施率でした。
最も大切な育成の要素は「存在承認」
以前の「結果を出す核は存在承認」 でお伝えしたように、結果の核は「存在承認」にあります。この「存在承認」の重要性は、子育てと人材育成にも同様のことが言えます。
子育ての「存在承認」
近年、「キレる子ども」により、教育現場では学級崩壊するなど、「キレる子ども」が社会問題となっています。
この「キレる子ども」は、感情を理性で抑制できないことが原因です。この理性を司る脳が、人間脳と呼ばれる大脳新皮質であり、「キレる子ども」はこの大脳新皮質(具体的には、前頭連合野の一部である眼窩前頭皮質)の発達が不十分であることが分かっています。
そして、この大脳新皮質の発達を促すために、育児現場で提唱されていることが2つあります。1つ目は、子どもに十分な愛情を与えること。2つ目は、習慣を身に付けさせること。この2つです。
この1つ目の十分な愛情とは、子どもの存在そのものを愛するということ。つまり、「存在承認」してあげることと言えます。
では、子育てにおける「存在承認」とはどのような行為を言うのでしょうか。
赤ちゃんの出生直後は、誰しもが「生まれてきてくれてありがとう」と我が子を抱きかかえ、赤ちゃんの「存在承認」を行います。この時点では、赤ちゃんにとっては、受動的に「存在承認」されていると言えます。
そして、赤ちゃん本人の意思で、能動的に「存在承認」を欲求するのはいつでしょうか。
それは、泣いた時 です。
つまり、赤ちゃんが泣く理由は、その時々ですが、赤ちゃんにとって、自分が泣くことで親がそれに反応することこそが、正に自分の「存在承認」を満たしてもらうことに他なりません。
赤ちゃんが泣いた時に、抱っこしてあげるという行為は、子育てにおいて極めて重要な「存在承認」の行為と言えます。
人材育成の「存在承認」
社員の人材育成の「存在承認」の意味について、以下の2つの研究例・調査例から考えてみます。
最初の上司との相性が会社員人生を決める
経営学では、VDL(Vertical Dyad Linkage)モデルと呼ばれる、「縦の二人関係における繋がり具合」という概念が唱えられています。
これは、最初の配属でどのような上司について、その上司とどのような関係にあったかが、入社後の会社への適応や、更にはその後の社内キャリア(昇進・昇格など)に大きな影響を与えることが示されました。
つまり、従来の考えでは、社員の成長は、個人能力に大きく依存していると考えられていましたが、このモデルにより、最初の配属先の上司との相性が人材育成に大きく左右することがわかったのです。
モチベーションは上司の資質に左右される
学校法人三幸学園が運営する東京未来大学が、2019年1月に転職経験の無い社会人3年目の男女300名を対象に実施した「仕事のモチベーション」に関する調査の結果を発表しています。
本調査では、「あなたは仕事におけるモチベーションは上司の資質に左右されると考えますか?(n = 300)」という質問に対して、「非常にそう思う」、「そう思う」への回答が、8割を超える結果となったことを報告しています。
そして、この質問の結果を受け、「上司のどのような行動によって、仕事に対するモチベーションが向上するのか?」について、男女別で比較した結果、男女ともに最も多い回答が「仕事ぶりを評価する」でした。男性で59.1%、女性では60.2%と高い数値でした。
また、上司からの声掛けに対してモチベーションが上がる傾向があり、「労(ねぎら)いの言葉をかける」や「意見に耳を傾ける」も上位に並んでいます。逆に、男女ともに最も低い回答となったのが、「責任のある仕事を任せる」ことでした。
この「責任のある仕事を任せる」よりも、「労いの言葉をかける」ことが、新入社員のモチベーションに繋がるという結果は、VDLモデルの査証であり、正に「存在承認」の重要性を示しているものと言えます。
戦後の子育ての大きな誤解
先ほど、上記で「泣いた時に抱っこすること」が、子育ての極めて重要な「存在承認」の行為とお話ししましたが、この提案に違和感を覚えることがある人も多いのではないでしょうか。
つまり、あなたは「抱っこ癖が付くので、泣いても直ぐに抱っこしてはいけない。」という子育ての方針を耳にしたことがありませんか?もし、先ほどの提案に違和感を持たれたとしたら、この子育て方針を耳にしたことがあるからだと思います。
この違和感を正してもらうためにも、歴史的な流れを説明しておきたいと思います。
第二次世界大戦後、アメリカの小児科医であるベンジャミン・スポック博士の著書で『スポック博士の育児書』という本が全世界を風靡しました。日本でも「子どもの自立心を育む」育児法として、広く認知されるようになります。その内容の一部に以下のような内容があります。
赤ちゃんが泣いても、いちいち抱き上げない。
抱き癖がつくと、必要もないのに甘え泣きをするようになる。
添い寝は自立心を妨げるので、夜は個室に入れ、一人で寝かせる。
これらの考え方は、母子手帳にまで反映され、1980年代まで長らく記載されることになります。しかし、スポック博士は、時代に合わせて8版の改定を重ねており、細部は大幅に変わっていきます。日本で広がったのは、初期の育児法だったのです。
当時、真面目なお母さんほど、忠実にこれらを守って、厳しい子育てに勤しみました。当然、我が子のことを思い、良かれと思っていたはずです。しかし、この子育て法の弊害が生じます。それが、圧倒的な愛情不足です。さらに言うならば、「存在承認」の不足です。
そして、この「スポック博士の育児書」全盛期時代に、親から突き放されて育てられた人たちが、子育て世代を迎えた時に起きた弊害が、赤ちゃんや子どもを「どう可愛がっていいかわからない」「どうしても可愛いと思えない」と悩むことです。可愛がられた記憶が希薄であるため、戸惑うのです。
先ほど、説明したように、赤ちゃんが泣くという行為は、「存在承認」を欲求しているというシグナルです。それにも関わらず、いつまでも抱っこしてもらえず、「存在承認」を満たしてもらえないとどうなるでしょうか。
また、夜中に目を覚ました時に、真っ暗な中、親が近くにいないことに対する不安は計り知れないものがあると思います。大きな不安やストレスは、大きなトラウマとなり、脳の成熟に悪影響を及ぼします。
本来の子育てとは、赤ちゃんが泣いて「存在承認」を求めたら、迷うことなく、抱っこして「存在承認」してあげることです。一緒に添い寝して、夜中に目が覚めても、親がすぐそばにいるという安心感の元で寝させてあげることです。
もし、あなたに小さなお子さんがいて、もし、「抱き癖が付くから、泣いても抱っこしない。」または、「夜中は一人で寝かせている。」という子育てをしているようであれば、是非、改めて頂きたいと思います。
まとめ
子育てと人材育成を「教育」という言葉に置き換えてみます。「教育」とは「教え育てること。人を教えて知識や技術を教えること」と説明されます。しかし、「教育」の本来の意義は、「子どもに備わった素質を引き出し、伸ばすこと」ではないでしょうか。
その「教育」には「自信」が大きく影響します。子育てでは、肌と肌の触れ合いと、目を見て交わす笑顔が、子どもに“愛されている”という全能感と信頼感を与え、「自尊感情」という自己肯定感を育みます。十分に甘えた子ほど、自身をもって巣立ち、自立していくことができるのです。
全ては、「存在承認」から始まります。それは家庭の子育てでも会社の人材育成でも同様です。そして、「存在承認」は、本人が自ら構築していくものではなく、“周りとの関わり”によって満たされていくのです。
日本では、OJT(On-the-Job Training)という教育方針が浸透しています。これは、「新入社員が上司について、“仕事を覚える”」という意味で使われているように思います。しかし、OJTの本来の意味は、「上司が新人社員について、“その社員の素質を引き出す”」ことではないでしょうか?
もし、あなたの会社で、若手社員があなたの思うような結果を出すことができていないと感じるのであれば、若手社員本人の問題に焦点を当てるのは止めましょう。まずは会社として、その若手社員の素質を引き出し、伸ばすためには、その若手社員とどのように“関わり”を持てばよいのか。そのような視点で社内を見渡してみて下さい。きっと今まで違う世界が見えてくると思います。
今回のブログが「子育て」と「人材育成」の新たな視点になれば幸いです。もし、色々な気付きを得て、変わったことがあれば、是非、嬉しいお声を聞かせて頂ければと思います。あなたの嬉しいお声をお待ちしています。
子育てでも社員育成でも「ほめて伸ばす」という言葉を聞くことがあります。また、「自分はほめられて伸びるタイプだ」という方もいます。一見、正しいように聞こえるこれらの言葉は、本当に正しいのでしょうか?
結論から申し上げると、育成のための“手段”として「ほめる」こと自体は問題ではありません。しかし、「ほめる」ことが“目的”となってしまっては問題が生じます。
ここで、“手段”と“目的”という言葉を使いましたが、手段とは「やり方」であり、目的とは「考え方」です。
今回は、“手段”として「ほめる」を使うこと、“目的”として「ほめる」を使うこと、この2つの違いについて説明し、本当の意味での育成とは「認める」ことであることを説明していきます。
「ほめる」と「認める」の違い
「ほめる」の使い方の違いを説明する前に、まずは「ほめる」とよく比較される「認める」との違いについて説明します。
「認める」とは、事実・存在をそのまま相手に伝えることであり、肯定・否定に関わらず評価を含みません。言い換えると、「認める」とは、相手のありのままの存在や、起きた事実を、ただそのまま受け止めることです。相手を他の誰かと比較することや、起きた事実に対する評価や批判を含みません。
「ほめる」とは、事実に対して良い点や成果を取り上げ、相手を肯定的に評価することです。言い換えれば、「ほめる」とは「事実を認め、良いことを肯定的に評価する」ことです。
一方、「ほめる」の反意語の一つとして「とがめる」という言葉があります。この「とがめる」とは、事実に対して悪い点や失敗を取り上げ、相手を否定的に評価することです。つまり、「とがめる」とは「事実を認め、悪いことを否定的に評価する」ことです。
以上から、「ほめる」とは、認めた上で肯定的に評価することであり、「とがめる」とは、認めた上で否定的な評価を下すことです。このことから、「ほめる」と「とがめる」の前段階に「認める」があります。
何故、「ほめる」が“目的”になってはいけないのか?
“手段”としての「ほめる」と、“目的”としての「ほめる」
“手段”としての「ほめる」とは、つまり、コミュニケーションのひとつの方法として相手を「ほめる」ことです。つまり、“手段”としての「ほめる」は、相手をほめる時もあれば、ほめない時もあります。
一方、“目的”としての「ほめる」は、基本的に「ほめる」を使うことで相手とコミュニケーションを取ることを言います。つまり、どんな時でも相手を「ほめる」ことが基本となります。
言い換えれば、“手段”としての「ほめる」は、時と場合によって「ほめる」を使う。“目的”としての「ほめる」は、常に「ほめる」を使うこと。と整理することができます。
“目的”としての「ほめる」による弊害
「ほめる」ことは「良いことを肯定的に評価する」ことであると述べました。つまり、“目的”として「ほめる」ことは、「常に良いことを肯定的に評価する」ということです。
その結果、“目的”として「ほめる」を使っている会社では、「悪いことは評価せずに、良いことだけを評価する」ことを実践されている場合が多く見受けられます。
つまり、そのような会社は、社員に対して「悪いこと(失敗)が起きても、その失敗をとがめるのではなく、良かったこと(できたこと)を取り上げて、そのできたことをほめましょう」 と教えられています。この教えを社員が素直に守ると、どうなるか?
上司は、ほめ疲れてしまう
上司は、「良いことを肯定的に評価して、常にほめなければいけない」と考えますが、会社業務では良いことばかり起きるわけではありません。その結果、真面目な上司では、以下のような症状が出てきます。
部下の新しく「ほめる」点が見当たらなくなり、「ほめる」点を見つけるのに苦労する。
新しく「ほめる」点がないと、同じ点を「ほめる」ようになる。
最終的に、心から「ほめる」ことができず、「ほめる」ことに苦悩する。
先ほど、「ほめる」ということは「良いところを肯定的に評価する」ことと定義しました。もう少し踏み込んだ表現を用いるなら、「ほめる」ということは、「達成したことや成長した部分を認めて、評価すること」です。つまり、会社で常に「ほめる」ためには、社員に成長し続けてもらう必要があります。
しかし、常に成長を続けることはできません。確かに、入社間もない時期は、著しい成長が認められ、「ほめる」ことも容易だと思います。ところが、社員の成長が停滞した時にも「ほめる」となると良い所を探すことが難しくなってきます。
そして、新たに「ほめる」点を見つけることができなければ、同じ所を「ほめる」ことになります。ここで、真面目な上司ほど、同じ言葉で「ほめる」ことを避けようとして、違う言葉で「ほめる」ことを試みようとします。
しかし、「ほめる」言葉としては、「すごい」「さすが」「上手」「えらい」など元々数が少ないため、上司は「ほめる」言葉を絞り出すことになります。この絞り出すことで、嘘っぽく「ほめる」ことになります。
その結果、心からほめなければいけないと真面目に「ほめる」上司ほど、「ほめる」ことに対して苦悩し始めます。最終的に、「ほめる」こと自体が重荷になってしまいます。いわゆる、ほめ疲れ です。
部下は、ほめ慣れてしまう
部下の立場で、常にほめられると、失敗がとがめられないため、「失敗しても良い・問題ない」という考えに至っても不思議ではありません。
特に、「ほめる」言葉として、「よくやった」「頑張った」も「ほめる」言葉に含まれますが、この「よくやった」「頑張った」という言葉を掛けられると、部下は「今やっていることで、いいのだ」「現状で評価してもらっている」と勘違いしてしまいます。その結果、「ほめる」ことが「おだてる」になる可能性があります。
そして、それが常態化してしまうと、「悪いこと(失敗したこと)」は棚に上げて、「ここまでやったのだから、私はほめられて当然だ」とか「ここまでやったのに、ほめてくれなかった」という風に、ほめられること自体を求めてしまい、それが叶わないことによって反対に不満が高まる危険性があります。
社員育成の本来の考え方
会社経営している中では、必ず良いことも悪いこともあります。良いことは、更に改良していく必要があります。また、悪いことは改善していく必要があります。つまり、会社では、良いことも悪いことも、会社の成長に変えていく必要があるはずです。
しかし、“目的”として「ほめる」を使ってしまうと、最悪な場合「悪いことは無視して、良いことは肯定的に評価する」という状態に陥ってしまいます。
社員が一番成長する時は、失敗を乗り越えた時です 。つまり、本来の育成は、「失敗しても良い・問題ない」だけど、「その失敗を次にどう生かすか?」を同時に問うことです。
元々、社員の成長を促すために「ほめる」を使っていたはずです。それが、「ほめる」ことが“目的”となるような使い方になってしまうと、社員の成長を妨げる結果になることは、十分に理解する必要があります。
「ほめる」ことを“目的”するのではなく、良いことも悪いことも「認める」。その上で、良いことに対しては「ほめる」を“手段”として使う。という意識が極めて大事です。
「認める」ことの意味
「認める」ことは評価ではありません。「ほめる」ことよりも、じわじわと本人の内面から気持ちが湧き上がるような、持続力のある意欲を喚起します。なぜなら、「認める」ことが「自信」に繋がるからです。
「自信」とは、「自己肯定感」と「自己効力感」で構成されています。「自己肯定感」とは「自分大好き!」という存在承認であり、「自己効力感」は「自分はできる!」という意欲承認・行動承認・成果承認です。詳しくは、こちら「組織を強くする「自信」」 をご確認下さい。
つまり、これらの「認める(承認)」により、人は安心感を持ち、自分自身をより信頼する気持ちが生まれます。安心感を得ると、次の目標へ向けて前向きな行動を起こすことができるようになります。また、自己信頼が増すことで、失敗にも立ち向かえるにようになります。
具体的な「認める」行為
「認める」は、「ほめる」よりも簡単です。「ほめる」とは、良いところを評価して、相手が嬉しくなる言葉を伝える必要がありますが、「認める」とは、事実・存在をそのまま相手に伝えることです。
具体的な行為について、「自己肯定感」の存在承認と、「自己効力感」の意欲承認・行動承認・成果承認に分けて説明します。
存在承認という「認める」行為
普段の何気ない動作でも相手を「認める」ことに繋がります。特に近年では、目を見て話をする人は少ないと言われています。社員が声を掛けてきたときに、パソコン画面や資料を見ながら話をしているという方は、相手を見ることを意識してください。他の具体的な行為も合わせて、以下に記します。
目を見て話をする
挨拶をする、挨拶を返す
仕事を任せる
意見を聞く
人に紹介する際に良い点をアピールする
意欲承認・行動承認・結果承認という「認める」行為
相手の行為自体をリフレーミング(オウム返し)することも「認める」行為です。このため、「ほめる」のように表現が枯渇することはなく、言葉を探す必要はありません。
具体的には、まずは事実を受け止めて「認める」だけです。例えば、お願いしていた資料を社員が持ってきたらシーンでは、以下のようになります。
社員 :「資料ができました」
あなた:「資料ができたね」(事実のリフレーミング)
そして、可能なら、自分の気持ちを添えて、相手が嬉しい言葉を伝えることができれば、更に良いです。具体的には、以下のステップで社員を認めることができます。
あなた:「資料ができたね、助かるよ!」(事実+自分の気持ち)
あなた:「資料ができたね、助かるよ、さすがだね!」(事実+自分の気持ち+相手が嬉しい褒め言葉)
まとめ
「ほめる」は、コンサルタントや研修講師の方がよく使われる言葉です。様々なところで「社員を育成するために、ほめましょう」というアドバイスは聞いたことがあるかと思います。しかし、この言葉をそのまま鵜呑みしてはいけません。
何故なら、コンサルタントや研修講師は「ほめる」ことを育成の“手段”として提案しています。しかし、短時間での研修内での説明や、聴き手の受け取り方によっては、「ほめる」ことを積極的に使う必要があると勘違いしてしまいます。その結果、最終的に「ほめる」ことを“目的”にしてしまう可能性があります。
あくまでも、「ほめる」は“手段”であることを十分に理解する必要があります。繰り返しますが、本来の社員の成長には「認める」ことが重要です。何故なら、「認める」こと自体が、社員の「自信」に繋がり、その「自信」が社員の自己成長を促すからです。
また、コンサルタントが「ほめる」を積極的に使えるのは、社外の人間だからです。コンサルタントは毎日社員と接することがありません。そのため、社員の良いところを見つけやすい立場と言えます。
特に、従来の育成方法で成長が止まっている社員に対して、コンサルティングの初期に「ほめる」ことは非常に効果的であるため、「ほめる」ことが正しい育成方法だと間違った認識を引き起こします。
そして、何より、コンサルタントは一時的な関係です。コンサルタントがいなくなった途端に、「ほめる」ことができなくなった会社は多いです。何故なら、上述のように「ほめる」ことを継続することは難しいからです。
一方、あなたを含め、社内の人間は、毎日社員と接するため、良い所も悪い所も見えています。また毎日接しているため、社員の変化に気付きにくい立場でもあります。
これは、あなたのご両親があなたのお子さん(ご両親にとって孫)と久しぶりに会って、交わす以下のようなシーンに似ています。
シーン1
ご両親:「ちょっと会わない間に、大きくなったね~ 」
あなた:「そうかな?毎日見ているから、実感が湧かないわ 」
シーン2
ご両親:「久しぶりに会ったし、何でも欲しいものを買ってあげるよ 」
あなた:「買ってくれるのは嬉しいけど、あまり、甘やかさないでね 」
つまり、たまに会うからこそ、成長に気付くことができたり、会う前から「何か喜ぶことをしてあげよう」という心づもりでいるからこそ、実際に会った時に、直ぐに相手が喜ぶ言葉がかけられるのです。
しかし、家族でも、社員でも毎日顔を合わせている関係では、よほど注意していなければ変化を見つけることは難しいのです。また、悪い所も見え、その悪い所を直して欲しいと思うからこそ、なかなか素直に良い所をほめられないのだと思います。
「ほめる」を使う時は、使う側が、この一連の内容を十分に理解して頂く必要があります。しかしながら、「ほめる」という“手段”が独り歩きしてしまい、多くの方が間違った「ほめる」の使い方をしています。
あなたは、「認める」と「ほめる」の違いを十分に理解されて、「ほめる」を使われていますか?
社員の自立した成長を促したいのであれば、「自信」を醸成する必要があります。この「自信」を醸成するためには、「認める(承認)」が必要です。是非、社員育成に必要な「正しい考え方」を身に付けて頂ければと思います。
会社経営をしていると、ビジネスで結果を出す必要があります。そして、その得たい結果を目的とするならば、会社では、この目的を達成するために目標を掲げると思います。
しかし、目標を掲げるだけでは、目的を達成することができません。このことは容易に想像することが出来るかと思います。
今回は、ビジネスで最終的な結果を得るための考え方について説明します。目的を最終的な次元とするならば、その次元に至るまでに考慮すべき次元とその構成要素について整理します。
そして最後は、目的を達成する上で、最も重要なことは何なのか?それに迫ります。
ビジネスで結果を出すまでの次元を整理する
最終的には、結果
冒頭にも述べましたが、ビジネスでは、結果(利益)が重要です。結果に至る過程(プロセス)も大切ですが、存続するという観点では、結果(利益)が最も重要な指標です。
結果に対する目標
会社として結果を出すために、組織や社員に目標を課すことは一般的です。この目標には2種類あります。一つ目は、最終的な目的である結果に対する結果目標です。
そして、もう一つの目標が、行動目標です。
行動目標とは、結果目標を達成するために必要な行動内容を示したものです。つまり、得たい結果を得るために必要な行動に落とし込むことで、行動目標を達成することができれば、結果目標も達成できるというわけです。
しかしながら、実際には、社会情勢などの外部環境の変化や、行動への落とし込みが不十分等の理由により、行動目標を達成しても、結果目標が達成できないことは多々あります。
そのため、会社では、職責に応じて、結果目標と行動目標の占める割合が異なってきます。これが、次の評価に関係してきます。
目標に対する評価
会社では、人事制度による社員の評価を行います。評価には、結果目標に対する結果評価と、行動目標に対する行動評価があります。いずれも、目標に対する達成度で評価されます。
しかし、結果目標や行動目標は、様々な理由により、予め定めた目標を達成できないことは多くみられます。このため、評価には、これら結果評価と行動評価以外にも、意欲評価というものがあります。
この意欲評価は情意評価とも称され、仕事に対して前向きに取り組んだかの姿勢を評価するものです。
職責が上がるに従い、結果責任が問われ、結果評価の割合が大きくなります。一方、新卒社員など、若手層は、結果評価の割合は小さくなり、行動評価や意欲評価の割合が大きくなります。
ちなみに、この評価は、会社側の視点では、会社への貢献度を測るためであり、社員側の視点では、成長を促すためです(詳細は「評価制度の大切な目的」 をご一読下さい)。
評価に対する承認
評価とは、評価対象の良し悪しを判断することです。一方、承認とは、「認める」ことであり、評価対象の良し悪しを判断せずに、あるがままを受け入れることです。
評価に対する承認には、結果評価に対する結果承認、行動評価に対する行動承認、意識評価に対する意識承認があります。つまり、評価する前段階として、結果そのものや行動そのもの、そして意識そのものを「認める」ことになります。
そして、もう一つ最も大切な承認があります。それが「存在承認」です。存在承認とは、その人自身の存在を認め、あるがままに受け入れる、ということです。
目に見えないものこそが大切
ビジネス基準とヒト基準の2つの観点から
ビジネス基準
ビジネスの目的は、結果を得ることです。つまり、ビジネスでは結果目的が大前提です。これは上述で説明したように、会社が存続するためには結果が必須だからです。
この目的に対する目標として、当然のことながら結果目的に対する結果目標があります。そして、結果目的を達成するために、行動という新たな指標が加わり、行動目標というものが登場します。
次に、目標の達成度を測る評価として、結果評価や行動評価が存在します。加えて、これら目標を達成するための指標として、意欲という新たな指標が加わり、意欲評価というものが登場します。
さらに、評価の前提となる承認として、結果承認や行動承認、そして意欲承認が存在します。そして、結果評価、行動評価、意欲評価を行う前提には、存在という新たな指標が加わり、存在承認が存在します。
ビジネスの観点であるビジネス基準からは、目的から目標、評価、さらに承認に次元が変わるに従い、指標が一つずつ加えられているように見られます。
ヒト基準
一方で、人の基本的な欲求として、承認欲求が挙げられます。これは「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認められたい」という欲求です。この、他者に欲求している承認として、結果承認、行動承認、意欲承認、存在承認が挙げられます。
つまり、人の基本的な欲求の観点であるヒト基準からは、承認、評価、目標、さらに目的に次元が変わるに従い、指標が一つずつ簡略化されているように見ることができます。
ビジネスもヒトが基本
「企業は人なり」と言われるように、最終的に結果が目的のビジネスでも、その起点は人であることは容易に理解できると思います。
つまり、先ほどの目的、目標、評価、承認の次元の関係は、人の基本的欲求の観点であるヒト基準から理解していく必要があります。
この関係を概念図で示したものが、以下となります。
すなわち、次元は円錐状に形成されており、表面的には「結果」しか見えませんが、次元を切口とした断面とすることで、新たな要素が見えてくる。というわけです。
一番の核となる「存在承認」は、最下層の「承認」レベルの切口とした断面でしか、表に出てこないため、焦点が当たりにくいというわけです。
全ての始まりは「存在承認」から
しかし、逆の視点で考えると、全ての始まりは一番の核となる「存在承認」からである。ということです。
例えば、人は赤ちゃんとして生まれてきた時、「生まれてきてくれて、ありがとう」という言葉を掛けられ、初めてその存在が承認されます。この一言から、ヒトが形成されていくのです。
人と組織を強くする「自信」
この一番の核となる存在承認に加えて、意欲承認、行動承認、結果承認は、人を強くするための「自信」を醸成するために極めて重要な要素です。
「自己肯定感」と「自己効力感」で「自信」が育つ
「自信」とは、自分の価値・能力を信ずること。自己を信じる心、信頼する心です。
この自分の価値を信じることを「自己肯定感」と言います。そして、自分の能力を信じることを「自己効力感」と言います。すなわち、「自信」とは、自己肯定感と自己効力感から構成されています。
「自信」と「承認」の関係
そして、まさしく、この自己肯定感は「存在承認」であり、自己効力感は、「意欲承認」「行動承認」「結果承認」に相当します。つまり、自信を高めるためには、自己効力感と自己肯定感の構成要素である「承認」が重要となってくるのです。それは人も組織も同様にです。
以下に、自分の自信を高める言葉、人の自信を高める言葉の例を挙げました。是非、自分にも組織のメンバーにもこれらの言葉をかけて頂き、自信を高めて頂ければと思います。
なお、こちらに「組織を強くする「自信」」 について記載していますので、合わせてお読み頂ければ幸いです。
まとめ
今回、目的・目標・評価・承認という次元と、結果・行動・意欲・存在という要素の2軸で、ビジネスの最終目的である結果について説明しました。結論として、結果目的を果たすためには、「存在承認」から始める必要があるということです。
人としての存在承認の始まりは、「生まれてきてくれて、ありがとう」という言葉です。では、会社での存在承認の始まりは、どのような言葉でしょうか?
それは、「入社してくれて、ありがとう」 という言葉です。
世の中に数ある会社の中で、あなたの会社を選んで入社してくれたこと。まずは、このことに感謝を述べることです。
社員の中には、なかなか期待通りの結果を残せない方もいるかもしれません。会社では、結果を求めるがあまり、目に見える目的や目標に対して焦点が当たる傾向にあります。
しかし、本当に目的を達成したいならば、一見すると目には見えにくい、次元の異なる評価や承認に目を向ける必要があります。そして、何より一番に「存在承認」を大切にしなければいけません。
「自分の存在をきちんと認めてもらえている」この安心感が、社員の枯れない行動力の源になるのではないでしょうか。
時間が経つと、会社で働いてくれていることが、当たり前と勘違いしてしまいがちですが、是非、入社してくれた時の喜びを言葉に出して、社員の方に伝えて下さい。
もし、その言葉により、社員の方が仕事への取組み方が変わったならば、是非、ご報告を下さい。あなたの嬉しいお声をお待ちしています!
あなたは「ゴールデンサークル」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?この「ゴールデンサークル」とは、サイモン・シネックが提唱した人を行動に促す時の考え方を表したものです。
「ゴールデンサークル」は、社員に行動を促したい時の考え方を示してくれます。今回は、サイモン・シネックが提唱した「ゴールデンサークル」について説明します。
「Whyから始めよ」:ゴールデンサークルとは?
サイモン・シネックは、イギリス生まれのアメリカ人作家であり、「人々をインスパイアする方法」を伝授してきたコンサルタントです。2009年のTED(Technology Entertainment Design)動画や書籍「Whyからはじめよ」によって、日本でも広く知られるようになりました。
サイモン・シネックの考え方の前提には、人が行動する時に最終的に重要になるのが「感情や直感的感覚である」というものがあります。そして、人に行動に促したい時は、この感情や直感的感覚に訴えかける必要があり、そのためには、What(何を)ではなく、Why(なぜ)がポイントになるという訳です。
ゴールデンサークル
具体的には、サイモン・シネックは、優れたリーダーや組織には共通する「考え方」があり、一般の人の「やり方」とは真逆だと言います。それを表したのが、ゴールデンサークルです。
人に何かしらの情報を伝え、人に行動を促したい時、「Why・How・What」という構成要素が存在し、中心の「Why」から始めることが重要であると説いています。しかし、多くの人や会社は、ゴールデンサークルの外側から伝えて、中心の「Why」を伝えることができいないと説きます。
そして、サイモン・シネックは、このWhy・How・Whatは、以下の脳の構造と対応していると説明しています。
動物脳(大脳辺縁系):Why
人間脳(大脳新皮質):How・What
よく、マーケティングでは「人は感情で買い(行動し)、論理で正当化する」という言葉がありますが、まさしくこの感情を動かす問いが「Whyの力」です。
人の行動を促す「Whyの力」
この「Whyの力」を心理学的にアプローチしたものが、カチッサー効果になります。このカチッサー効果は、外部からの働きかけによって、深く考えることなしに行動を起こしてしまう心理現象です。
カチッサーの語源は、テープレコーダーの再生ボタンのカチッという音と砂嵐のサーという音であり、カチッ・サー効果とも表記されます。
カチッサー効果の実験
ハーバード大学の心理学教授であるエレン・ランガー(Ellen J. Langer)が、以下の実験を行いました。
実験方法
被験者がコピー機の順番待ちの列の先頭へ行き、2通りのコピー枚数(5枚、20枚)と3通りの頼み方で「先にコピーをとらせてもらえませんか?」と頼む。
3通りの頼み方
要求のみを伝える
本物の理由を付け足す
もっともらしい理由を付け足す
その結果、コピー枚数とそれぞれの頼み方で承諾率が異なることが分かった。
コピー枚数が5枚の時、理由の内容に関わらず、理由を付け足すことで、承諾率は改善した。一方、コピー枚数が20枚の時、もっともらしい理由では効果が認められなかったが、本当の理由を付け足すことで効果が認められた。
この結果から、人に何かを頼む時に単に「○○してもらえますか?」と言うよりも「○○なので、○○してもらえますか?」と理由をつけると承諾されやすいことがわかった。
特に、ささいな頼みごとの場合は、頼みごとの内容とあまり関係のない理由でも承諾してもらいやすい。一方、頼みごとが大きくなると、その理由が重要となってくる。
人を動かす「共感」
このカチッサー効果は、人に促す時の行動障壁の高さに応じて、「Whyの力」が変わることを示しています。
行動障壁が高い場合、「Why」の理由に対して「そうか!」と感じてもらえる場合と、「それで?」と感じられた場合とでは、その後の人に行動を促すことができるか否かが異なります。
障壁が高い行動を促すためには、単に「Whyを問う」だけではなく、サイモン・シネックが説くように感情に訴えかけ、その人の感情を動かす必要があります。この感情を動かす作用が「共感」と言えます。
つまり、人の行動を促すためには、「共感を引き出すために、Whyを伝える」必要があるのです。
組織を動かすWhy・How・What
サイモン・シネックのゴールデンサークルを会社組織に当てはめた時、一番外側の「What」は組織の一員として社員が「やること」を意味します。「How」は、そのWhatの手順などの「やり方」を示しています。そして「Why」は、組織や社員の「考え方」を示していると言えます。
つまり、社員に行動を促すためには、まずは、組織として「何故(Why)、それをやるのか?」を明確にする必要があります。そして、社員の「共感が得られるWhyである必要がある」ということです。
まとめ
あなたは、忙しくなると、ついつい「これ、やっといて」の一言で社員に仕事をお願いしていませんか?
人の行動を促すためには、「What」だけではなく、「Why」伝える必要性を挙げました。今後は、是非、ひと言「Why」を付け加えて頂きたいと思います。
この「Why」は、カチッサー効果が示すように、行動障壁が低い時は、理由にならない「Why」でも問題はありません。しかし、行動障壁が高い時は、きちんとした「Why」を伝える必要があります。
ご自身が忙しいからという理由で「Why」を伝えることをさぼってはいけません。この「Why」を伝えることこそが、経営者や組織の上に立つ者の大きな責務だと言えます。
そして、会社の究極の「Why」が、経営理念です。
経営理念をつくられていない会社は、是非、これを機会に経営理念を立案することをお勧めします。そして、既に経営理念をつくられている会社は、この経営理念が社員の共感を得られているか?という観点で経営理念を見直してください。
経営理念については、こちら「経営理念を作る際に、考えておきたい要素とは」 に詳しく説明しています。合わせてお読みいただければ幸いです。
また、ABC Officeでは、経営理念を立案する勉強会を定期的に開催しています。是非、組織を活かす経営理念を立案したいとお考えの場合は、お問合せフォームからご連絡下さい。後日、勉強会の案内を送付させて頂きます。
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