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2020.07.17

評価制度の大切な目的

評価制度の大切な目的

人事制度と一言で表しても、その人事制度を細かく見ると、等級制度、評価制度、報酬制度の3本柱で構成されています。

報酬制度(賃金制度)については、「賃金は何に対して支払われているのか」にて説明しました。今回は、評価制度について説明します。

評価制度とは

評価制度とは、人事制度を構成する一つの制度です。等級制度、報酬制度と関係付けられて、実際の運用が行われています。

評価制度の始まり

この3本柱の制度は、人事制度が構築される過程で順番に検討されてきました。具体的には、まずは、奉公という形で、報酬制度(後の賃金制度)が始まりました。その後、日給や月給などの給与を決めるために、出来高などで成果(実績・業績)を評価する評価制度が導入されました。そして、給与制度と評価制度とが関係付けられた社員を区分する等級制度が確立されるに至っています。

人事制度の考え方とやり方

つまり、人事制度は、報酬制度→評価制度→等級制度という順番で成立ちました。しかしながら、現代社会で、人事制度を構築する際には、等級制度→評価制度→報酬制度という順番で決められることが多いです。

この人事制度を構築する順番は、人事制度の作り方、つまり、やり方とも言えます。一方、人事制度の成立ちは、考え方と言えます。

全てにおいて、大切なのは、やり方よりも考え方です。つまり、人事制度の考え方を大切にするためにも、人事制度の成立ちも理解して頂きたいと思います。

評価の目的:なぜ評価するのか?

考え方を理解して頂くためには、目的を抑えておく必要があります。ここでは、評価制度の目的を、大きく2つに分けて考えてみます。

1つ目は、会社側の視点で見た場合です。2つ目は、社員側の視点で見た場合です。この2つの視点について、以下で説明します。

会社側の視点では、会社への貢献度を評価することが目的

会社側の視点で見た場合、評価制度は報酬制度との関係性で考えます。

民法623条では、雇用契約は、当事者の一方(労働者)が「労働に従事」し、相手方(使用者)が「これに対してその報酬を支払う」契約をいいます。つまり、人事制度では「報酬は労働の対価」であるという考えがあります。

つまり、報酬を決めるために、労働内容を評価する必要があります。このことから、評価制度は、報酬を決めるための制度と言えます。言い換えれば、評価制度の目的は、社員の会社への貢献度を評価するためと言えます。

社員側の視点では、社員自身の成長のために評価することが目的

社員側の視点で見た場合、評価制度を等級制度との関係で考えます。

等級制度とは、能力や職務や役割などの観点から社員を区分(等級でランク付け)する制度です。この社員の等級を決めるために評価制度が運用されています。

しかし、評価制度は、単に社員を等級でランク付けすることが目的と考えてはいけません。評価制度の本来の目的は、その評価を通じて、社員の成長を促すことであると言えます。

具体的には、人事評価を通じて、社員を活かすために社内でのキャリアパスを考えたり、より高い能力、職務、役割を発揮してもらうための人材育成の参考として活用するために、評価制度が存在するのです。

特に、日本では新卒採用が基本ですが、これは社内で求められる職務能力をゼロから育成していくことを前提としています。つまり、日本では、人事制度(報酬制度・評価制度・等級制度)を通じて、人材育成していくことが求められているのです。

評価の項目:何を評価するのか?

評価制度には、以下のような評価項目があります。なお、評価制度にどのような評価項目を導入するかは、報酬制度や等級制度によって変わってきます。

成果・実績・業績

業務の遂行度や目標の達成などを評価します。業務の遂行度は、仕事の量や質、スピードなども判断します。

営業職など、成果を数値で測定しやすい職種は、定量的な評価が可能です。しかし、事務職など、仕事の成果を数値で測定することが困難な職種では、定性的な評価が中心になります。

情意

情意評価は、業務への取組み姿勢を評価します。単に「業務への意欲」を持っているかだけではなく、勤怠状況以外にも、規律を守っているか、他の社員と協調して業務遂行しているか、などが判断項目になります。

職務

職務とは、担当の任務や業務を指します。各職務の内容や性質を分析し、必要とされる知識、技能、精神的・肉体的負荷、作業条件などの要素に基づいて、相対的な価値を評価します。定常業務などの職務内容がマニュアル化し易く、相対的に評価しやすい業種に適しています。

この職務を軸に社員区分を決定した制度を職務等級制度と呼びます。

能力

能力とは、業務の難易度に応じた業務遂行に必要な知識、技術、技能のほか、獲得した資格なども含みます。

この能力を軸に社員区分を決定した制度を職能資格制度と呼びます。職能資格制度では、与えられた業務で発揮した能力の高さを評価します。

役割

役割とは、職務としての業務内容だけではなく、業務遂行の責任も含めたものを指します。

この役割を軸に社員区分を決定した制度を役割等級制度と呼びます。職務等級制度と職能資格制度との特徴を併せもった比較的新しい制度です。

評価の方法:どのように評価するのか?

実際の評価では、各項目が記載された評価シートを用いて実施されますが、そのやり方には様々な方法があります。代表的な評価方法を以下に説明します。

目標管理制度(MBO, Management by Objectives)

目標管理制度は、社員個人やチームで目標を設定し、その達成度を評価するという手法です。

目標管理制度には「目標に対する到達度で評価するため、客観的評価が可能であるできる」、「達成すべき目標の内容や期限などを明確に示すことで評価がしやすい」、「従業員一人ひとりの目標を経営目標や部門目標と連動させることで業績アップを目指せる」といったメリットが挙げられます。

一方で、「目標達成するために、目標を低く設定する」「個人の目標達成に集中するあまり目標から外れる業務はやらなくなる」など、最初の目標設定が極めて難しいのがデメリットとして挙げられます。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、「コンピテンシー(業務の遂行能力)」が高い従業員に共通する行動特性に基づいて設定された評価項目に従って評価する手法です。

コンピテンシー評価では、「優れた社員の行動特性に基づいた評価項目を示すことで業績の向上につながる」、「社員が評価に納得しやすい」といったメリットが挙げられます。

一方で、「コンピテンシー(業務の遂行能力)」の基準は、優秀な社員の行動特性について観察やヒアリングを行い、目指すべき優秀な社員像を設定する必要があります。社員数が少ない中小企業などは、評価基準が曖昧となる可能性があるなど、コンピテンシーの設定が困難であるデメリットが挙げられます。

360度評価

360度評価とは、上司や部下、同僚といった複数の立場から、社員を多面的に評価する手法です。勤務態度や意欲といった周囲への影響を判断する情意評価を行うのに適しています。

360度評価をすることで、本人の認識と周囲の評価のギャップを明確にし、具体的かつ客観的なフィードバックが可能になるなどのメリットが挙げられます。

一方で、部下からの評価を気にするあまり上司が適切なマネジメントをしづらくなる、人間関係が悪化する、評価することに慣れていないと評価がバラツキやすいといった問題が発生する可能性があるなど、デメリットが挙げられます。

中小企業における評価制度の位置づけ

評価制度の目的として、他にも適材適所の人員配置や、企業文化を作るため、など様々な目的がありますが、基本的な目的は上記の2点であると言えます。

この評価制度を社員自身の成長のための制度と位置付けることは、日本的な考えになります。つまり、日本な雇用の基本的な考えは、人件費は投資と考えることができます。これは、新卒採用により、社内教育を通じて人材育成するという考え方に通じています。

一方、欧米の雇用の捉え方は、基本的に人件費はコストと考えています。特に米国では、会社の業績が悪化すると、レイオフと呼ばれる一時解雇が経営手段として用いられていることからも、理解して頂けるかと思います。

中小企業では、企業規模が小さくなるほど、評価制度を含めて人事制度を導入していない企業が多く、社員が100人未満の企業規模となると、半数以上が導入されていません。

しかしながら、社員数が少なく、社員一人ひとりの活動が業績に大きく影響してくる中小企業こそ、社員の成長を促すための仕組みとして、人事制度(評価制度)が必要だと言えるのではないでしょうか。

まとめ

今回、人事制度の3本柱の一つである評価制度について説明しました。

評価制度にも様々な「やり方」が存在します。しかし、その「やり方」が上手く機能するためには、「考え方」が重要となってきます。評価制度の「考え方」として、2つの目的について説明しました。

企業規模が小さいと人事制度の必要性について実感することがないかと思います。しかし、もしあなたが、業績を伸ばすために、社員の成長が必要だと考えておられるようであれば、今回の説明で、少しは人事制度の必要性について理解して頂けたのではないでしょうか。

また、現時点で人事制度は導入しているが、本来の意味・目的を理解できていなかったという場合は、今回の内容を踏まえて、今一度、自社の人事制度について見直して頂きたいと思います。

もし、人事制度について、もっと具体的な話が聞きたいと仰っていただけるようであれば、是非、フォームからお問合せ下さい。

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