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2020.02.01

組織を強くする「自信」

組織を強くする「自信」

経営者であれば、誰しもが、成果・結果を出すために、会社組織を強くしたいという願いを常に持っているかと思います。

実は、組織を強くするためには、あなたや社員の方々の「自信」が重要となってきます。今回は、そのような、組織を強くするための「自信」について話題提供します。

「自信」とは?

「自信」とは、自分の価値・能力を信ずること。自己を信じる心、信頼する心です。この自分の価値を信じることを「自己肯定感」と言います。そして、自分の能力を信じることを「自己効力感」と言います。

すなわち、「自信」とは、「自己肯定感」と「自己効力感」から構成さています。

以上から、「自信」を高めるためには、この「自己肯定感」と「自己効力感」を高める必要があります。

では、自分の価値を信じる「自己肯定感」とは、一体どのようなものでしょうか。
そして、自分の能力を信じる「自己効力感」とは、一体どのようなものでしょうか。

分かりやすく端的に表現すると、以下のようになります。

  • 自己肯定感:「自分大好き!」
  • 自己効力感:「自分はできる!」

そして、この「自己肯定感」と「自己効力感」で構成される「自信」はどのように醸成されていくのでしょうか。

幼少期などの自我が芽生え始めるタイミングでは、周囲から自信をつけてもらうことが多いと思います。このような小さな子供の自信をつけさせる魔法の言葉が次の2つです。

  • 「ありがとう!」
  • 「できたね、すごいね!」

これがまさしく、「自己肯定感」と「自己効力感」を醸成する言葉です。

皆さんは、自信に充ち溢れた子どもでしたか?それとも、自信がない子どもでしたか?

それは、ご両親を始め、あなたの周りの人間から、上記の2つの言葉をどれだけ掛けられたかによります。

そして、その声掛けは、大人の場合であっても、自信を高めるための言葉として、極めて重要であることは言うまでもありません。

すなわち、あなたが成長して欲しいと思っている人に対して、これらの2つの言葉を掛けることができているでしょうか。それは、社員や家族だけでなく、ご自身に対しても同様にです。

では、自信を高めるために、社員だけでなく、ご自身に対して、具体的にはどのように声をかけていけばよいのでしょうか。

以下では、特に「自己効力感」を高める方法について、アルバート・バンデューラが提唱した4つの方法について見ていきます。

自己効力感を高める方法

アルバート・バンデューラは、カナダ人の心理学者であり、1990年代に自己効力感を高める4要素を提唱しました。具体的には、以下の4つになります。

1.直接的な達成経験
2.代理経験
3.言語的説得
4.生理的情緒的喚起

1.直接的な達成経験

4つの要素の中で最も重要とされており、自分自身が何かを達成したり、成功した経験を指します。この達成経験を得るためには、単純に「できるまでやる」ことが重要です。

2.代理経験

自分以外の他人の達成や成功を観察することです。この代理経験を得るためには、「やってみせる」ことが重要です。

3.言語的説明

自分に能力があることを言語的に説明されることや、言語的な励ましを指します。ひと言で表現するなら「あなたならできる!」です。

4.生理的情緒的喚起

好きな音楽を聴いて気分を高揚させるなど、感情や生理的な変化を促すことです。ひと言で表現するなら「一緒に頑張ろう!」です。

自分自身の自己効力感を高める方法

個人として、あなたご自身の自己効力感を高める方法について、具体的にみていきます。

1.直接的な達成経験

実施済みのタスクを書き出して、やったこと、できたことを見える化していくことです。人は、できていないことに注目する傾向があります。できていることに目を向けるためには、できていることを見える化することは極めて大切です。

2.代理経験

コミュニティに属し、定期的に会う仲間を作り、その仲間の成功を共有することです。心理学的には「栄光浴(BIRGing)」と呼ばれます。

3.言語的説得

コーチ・コンサルタントを付けて、あなたの能力を引き出してもらうことです。特に、ストロークをもらことが効果的です。ストロークとは、心の栄養とも言われます。

特に、この人から声をかけてもらえたら、元気がでる・やる気がでる、というな方がいたら、是非その方に、定期的にご自身に対して、声をかけてもらえるようにお願いすることは効果的です。

4.生理的情緒的喚起

心身をリフレッシュするために、適度な運動を取り入れることが必要です。

関係者の自己効力感を高める方法

経営者として、社員の自信を高めるためにできることは何があるでしょうか?

1.直接的な達成経験

社員自らで答えを見つけさせ、自主的な行動を促す。結果目標だけでなく、行動目標を設定する。ということが挙げられます。

そして、「あなたはどうしたいか?」と問うことが何より大切です。

人は、他人に指示されたり、言われたことよりも、自分自身で宣言したことの方が実行しやすい傾向にあります。これを心理学用語で「一貫性の原理」と呼びます。

是非、やることを社員ご自身の言葉で表現してもらうことを心掛けて下さい。

2.代理経験

社内で成功をシェアすることは当然として、失敗もシェアすることが有効です。そして、改善チャンスがある風土を作ることも忘れてはいけません。

この時「もし、もう一度やり直すことができるなら?」という魔法のフレーズを使って下さい。

社員の方が、失敗した時、目標を達成できなかった時、あなたは社員に対して「何故、できなかったのか?」と問い詰めていませんか?

この問いかけは、否定的な意図が表に出ているため、社員の方は自己防衛的に「できなかった言い訳」に焦点を当てた言動を取ります。

しかし、会社にとって重要なことは、できなかった理由ではなく「その失敗を活かして、今後どうすればできるか?」という改善思考です。

経営者として、「もし、もう一度やり直すことができるなら?」の魔法のフレーズを身につけて下さい。

3.言語的説得

社員が上手くできた事実を指摘する。単純に褒める。そして、「評価」+「感想」を伝えてみてください。

よくあるのが、上手くできた事実を単純に褒めるだけでなく、否定的な評価も含めた批評を行うことです。例えば、「よく目標を達成できたね。でも、ここは良くなかったよね。」というようなコメントです。

これは、自己効力感を高めるという点においては、マイナスの作用が発生するため、お勧めできません。自己効力感を高めるためには、是非、出来たことを単純に褒めるように心がけてください。

また、失敗を回避することを意識付けさせる「予測」と「準備」で理詰めで考える習慣をつけてもらいましょう。

「ハインリッヒの法則」という労働災害における有名な経験則の一つがあります。具体的には、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものです。

つまり、重大事故に繋がる前には、必ずその前兆である軽微な事故や異常状態が存在しています。このため、この軽微な事故や異常状態に対して、きちんと対処しておけば、重大事故は回避することができる、という考えです。

この法則からも、日々の状況から予測される望まない結果に対して、きちんと準備することで、それらの望まない結果を可能な限り回避することができます。

それを習慣化するために、「予測」と「準備」という考え方を取り入れてください。

4.生理的情緒的喚起

良いことに目を向けさせる。具体的な方法として「Good&New」が挙げられます。このGood&Newは、アメリカの教育学者ピーター・クラインにより考案された、組織やチームを活性化するための手法です。

やり方は簡単で、3~7人くらいでグループになり、それぞれが24時間以内にあった「よかったこと」や「新しい発見」を1分程度で発表するという活動です。

発表が終わったら、聞いていたメンバーは拍手をします。

『成果を出す組織~関係の質~』でも取り上げたチェックインと同様の信頼関係を築きやすくなることに加え、意識的にいいことを探すようになるため、チームに積極的な雰囲気を生み出すといわれている取り組みです。

日本的な組織を強くする考え方

最後に、この自己効力感を高める方法として、山本五十六の有名な言葉を挙げて「自信」を高める方法のまとめとします。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

この言葉は、まさしく、自己効力感の4要素を含んだ言葉ではないでしょうか。

是非、皆さんの組織にもこの要素を意識して、組織開発を推進してみてください。

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