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2020.07.22

社員の行動を促すためにWhyから始める

社員の行動を促すためにWhyから始める

あなたは「ゴールデンサークル」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?この「ゴールデンサークル」とは、サイモン・シネックが提唱した人を行動に促す時の考え方を表したものです。

「ゴールデンサークル」は、社員に行動を促したい時の考え方を示してくれます。今回は、サイモン・シネックが提唱した「ゴールデンサークル」について説明します。

「Whyから始めよ」:ゴールデンサークルとは?

サイモン・シネックは、イギリス生まれのアメリカ人作家であり、「人々をインスパイアする方法」を伝授してきたコンサルタントです。2009年のTED(Technology Entertainment Design)動画や書籍「Whyからはじめよ」によって、日本でも広く知られるようになりました。

サイモン・シネックの考え方の前提には、人が行動する時に最終的に重要になるのが「感情や直感的感覚である」というものがあります。そして、人に行動に促したい時は、この感情や直感的感覚に訴えかける必要があり、そのためには、What(何を)ではなく、Why(なぜ)がポイントになるという訳です。

ゴールデンサークル

具体的には、サイモン・シネックは、優れたリーダーや組織には共通する「考え方」があり、一般の人の「やり方」とは真逆だと言います。それを表したのが、ゴールデンサークルです。

人に何かしらの情報を伝え、人に行動を促したい時、「Why・How・What」という構成要素が存在し、中心の「Why」から始めることが重要であると説いています。しかし、多くの人や会社は、ゴールデンサークルの外側から伝えて、中心の「Why」を伝えることができいないと説きます。

そして、サイモン・シネックは、このWhy・How・Whatは、以下の脳の構造と対応していると説明しています。

  • 動物脳(大脳辺縁系):Why
  • 人間脳(大脳新皮質):How・What

よく、マーケティングでは「人は感情で買い(行動し)、論理で正当化する」という言葉がありますが、まさしくこの感情を動かす問いが「Whyの力」です。

人の行動を促す「Whyの力」

この「Whyの力」を心理学的にアプローチしたものが、カチッサー効果になります。このカチッサー効果は、外部からの働きかけによって、深く考えることなしに行動を起こしてしまう心理現象です。

カチッサーの語源は、テープレコーダーの再生ボタンのカチッという音と砂嵐のサーという音であり、カチッ・サー効果とも表記されます。

カチッサー効果の実験

ハーバード大学の心理学教授であるエレン・ランガー(Ellen J. Langer)が、以下の実験を行いました。

実験方法

被験者がコピー機の順番待ちの列の先頭へ行き、2通りのコピー枚数(5枚、20枚)と3通りの頼み方で「先にコピーをとらせてもらえませんか?」と頼む。

3通りの頼み方

  • 要求のみを伝える
  • 本物の理由を付け足す
  • もっともらしい理由を付け足す

その結果、コピー枚数とそれぞれの頼み方で承諾率が異なることが分かった。

コピー枚数が5枚の時、理由の内容に関わらず、理由を付け足すことで、承諾率は改善した。一方、コピー枚数が20枚の時、もっともらしい理由では効果が認められなかったが、本当の理由を付け足すことで効果が認められた。

この結果から、人に何かを頼む時に単に「○○してもらえますか?」と言うよりも「○○なので、○○してもらえますか?」と理由をつけると承諾されやすいことがわかった。

特に、ささいな頼みごとの場合は、頼みごとの内容とあまり関係のない理由でも承諾してもらいやすい。一方、頼みごとが大きくなると、その理由が重要となってくる。

人を動かす「共感」

このカチッサー効果は、人に促す時の行動障壁の高さに応じて、「Whyの力」が変わることを示しています。

行動障壁が高い場合、「Why」の理由に対して「そうか!」と感じてもらえる場合と、「それで?」と感じられた場合とでは、その後の人に行動を促すことができるか否かが異なります。

障壁が高い行動を促すためには、単に「Whyを問う」だけではなく、サイモン・シネックが説くように感情に訴えかけ、その人の感情を動かす必要があります。この感情を動かす作用が「共感」と言えます。

つまり、人の行動を促すためには、「共感を引き出すために、Whyを伝える」必要があるのです。

組織を動かすWhy・How・What

サイモン・シネックのゴールデンサークルを会社組織に当てはめた時、一番外側の「What」は組織の一員として社員が「やること」を意味します。「How」は、そのWhatの手順などの「やり方」を示しています。そして「Why」は、組織や社員の「考え方」を示していると言えます。

つまり、社員に行動を促すためには、まずは、組織として「何故(Why)、それをやるのか?」を明確にする必要があります。そして、社員の「共感が得られるWhyである必要がある」ということです。

まとめ

あなたは、忙しくなると、ついつい「これ、やっといて」の一言で社員に仕事をお願いしていませんか?

人の行動を促すためには、「What」だけではなく、「Why」伝える必要性を挙げました。今後は、是非、ひと言「Why」を付け加えて頂きたいと思います。

この「Why」は、カチッサー効果が示すように、行動障壁が低い時は、理由にならない「Why」でも問題はありません。しかし、行動障壁が高い時は、きちんとした「Why」を伝える必要があります。

ご自身が忙しいからという理由で「Why」を伝えることをさぼってはいけません。この「Why」を伝えることこそが、経営者や組織の上に立つ者の大きな責務だと言えます。

そして、会社の究極の「Why」が、経営理念です。

経営理念をつくられていない会社は、是非、これを機会に経営理念を立案することをお勧めします。そして、既に経営理念をつくられている会社は、この経営理念が社員の共感を得られているか?という観点で経営理念を見直してください。

 

経営理念については、こちら「経営理念を作る際に、考えておきたい要素とは」に詳しく説明しています。合わせてお読みいただければ幸いです。

また、ABC Officeでは、経営理念を立案する勉強会を定期的に開催しています。是非、組織を活かす経営理念を立案したいとお考えの場合は、お問合せフォームからご連絡下さい。後日、勉強会の案内を送付させて頂きます。

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