世の中にはフレームワークという言葉があり、あなたも一度は聞いたことがあるかと思います。
このフレームワークは、何らかの「型」や「枠組み」を意味する言葉です。業務改善や問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組みを指し、思考を加速させる道具です。
つまり、物事を進めていく際に、「悩む」ことで、上手く進められない状態から、フレームワークに沿って「考える」ことで、目的・目標となるゴールを目指して、それを達成するための手段や方法論を導き出すことが容易にできるようになります。
このため、フレームワークは、思考整理の有効な道具となります。
そこで今回は、国内の99%の雇用を支える中小企業で本当につかえるマーケティングのフレームワークについて説明します。
マーケティングの3M
中小企業が使いこなしたいフレームワークの3つ目が、マーケティングの3Mです。
この3Mとは、以下の3つの英語の頭文字Mです。
- Market/誰に向けて
- Message/どのような内容を
- Media/どの媒体で伝えるか
フレームワークの1つ目:「中小企業のためのフレームワークーABC-」
フレームワークの2つ目:「中小企業のためのフレームワーク-FAB-」
この3Mは、「ミリオネア・メーカー(億万長者製造機)※」と呼ばれるダン・S・ケネディが提唱した概念で、マーケティングを実行するあたって必ず抑えておくべき考えです。
※ダン・S・ケネディに影響を受けた社長、起業家たちから、多くの億万長者が誕生しているため、このように呼ばれています。また、彼は中小企業にとって欠かすことができないダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)の権威者でもありました。なお、ダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)は別途説明したいと思います。
では、以下、順番に見ていきます。
Market/誰に向けて
「Market/誰に向けて」は、もちろん見込み客ですが、より具体的にはペルソナです。
改めて説明すると、ペルソナとは「商品・サービスの受け手となる代表的な顧客像を言語化したもの」です。もっと平易な表現とするならば、「困っている人で、自社の商品・サービスで助けることが出来る人」とも言えます。
2種類のペルソナ:ペルソナ
このペルソナを設定する際に考えるべきポイントがあり、一般的には、以下が挙げられます。
- 人口統計的変数(デモクラフィック):年齢・性別・家族構成などの、人に関する基本情報
- 地理的変数(ジオグラフィック):地理的要因に絡む情報
- 心理的変数(サイコグラフィック):価値観・性格など、個人の心理に基づく情報
- 行動的変数(ビヘイビアル):買い物の頻度・買い替えのタイミングなど、個人の行動に焦点を当てた情報
このようにペルソナは、様々な要素を検討して設定することになります。
そして、本来、このペルソナの要素は、既存顧客の情報や見込み客のアンケートから導き出すものと言われています。
しかし、これらの項目について情報を収集し、それから更に検討しなければいけないと考えると、初めの一歩がなかなか踏み出せない。という方が多いのではないかと思います。
また、既存顧客が少ない場合や、新規事業でそもそも既存顧客がいない場合、更には見込み客へのアンケートが難しい場合など、ペルソナを設定することのハードルが高い状況もあるかと思います。
2種類のペルソナ:簡易ペルソナ
そこで、考え出されたのが「簡易ペルソナ」と呼ばれる簡易版のペルソナの設定手法です。
本来の「ペルソナ」の設定は、既存顧客や見込み客から得られた直接的な情報を元にしていますが、この「簡易ペルソナ」は企業側の視点で代表的な顧客像を想像して設定する手法となります。
具体的には、まずは、自社の商品・サービスを買いたいというお客さまを決め、そのお客さまについて、上記で挙げた各変数について、自社の想像で決定していくことになります。
しかし、ここでも、まだまだペルソナを設定することが難しいと感じ、自社の商品・サービスを買いたいというお客をイメージすることができない。もっと単純にペルソナを設定することができないのか。というご要望があるかと思います。
そこで、より簡単なペルソナの設定方法を挙げさせて頂きます。
簡易ペルソナの設定方法
それは、もし既存顧客がいる場合は、「既存顧客の中で、今後もずっと自社の商品・サービスを購入し続けて欲しい顧客」を簡易ペルソナとして設定して下さい。
一方、もしお客さまがいない場合は、「今、お付き合いしている中で、自社の商品・サービスを是非買って欲しい知り合い」を簡易ペルソナとして設定して下さい。
より端的な言葉で言うと、「既存の優良顧客」まはた「実在する優良な見込み客」を簡易ペルソナとして設定するのです。
3MのMarketでは、市場調査も重要な項目ですが、まずはこの簡易ペルソナの設定を第一優先として考えて頂ければと思います。
Message/どのような内容を
「Message/どのような内容を」で、極めて大切な視点は次の点です。
すなわち、ペルソナの「潜在ニーズ・悩みを掘り下げる」ことです。ここで、潜在ニーズとは、ペルソナでも自覚していない欲求のことを言います。
具体的には、ペルソナとして設定した既存顧客や見込み客に「このようなことで悩んでいませんか?」と問いかけた時、「確かに言われてみれば、そうだ!」という反応を引き出す質問になります。
ペルソナが求めているものはベネフィット、すなわち「より良い未来」です。
つまり、現状に何かしら、解決したい課題や悩みを抱えているはずです。その課題や悩みを自社の商品・サービスを購入することで、解決してもらうことを考えてください。
そこで改めて考えて頂きたいフレームワークがFABです。FABとは、以下の英語の頭文字を取ったものです。
F:Feature/特徴
A:Advantage/利点
B:Benefit/より良い未来
そして、以下の定型文に当てはめて頂ければ、Messageの出来上がりです。
「私たちが扱う商品は、(F)の特徴があります。
そのため、(A)という効果があります。
したがって、あなたは(B)が得られます。」
Media/どの媒体で伝えるか
そして、最後の「Media/どの媒体で伝えるか」は、先で作成したメッセージをペルソナが使う媒体に載せることです。
つまり、Mediaを決定する場合には、ペルソナの行動を知る必要があります。ここでも、最も簡易的なペルソナとして設定した、既存顧客や実在する見込み客の行動を想像・調査してください。
- どこの駅を使っているのか?
- どのお店に通うのか?
- どのような雑誌を購読しているのか? などなど
もし、自社の魅力が十分に顧客に届いていない。と感じるのであれば、Messageだけでなく、Mediaについても、ペルソナの行動を元にして、考え直してみてください。
Mediaを変えるだけで、劇的な効果が得られるかもしれません。
まとめ
自社の商品・サービスを見込み客にPRしていくフレームワークとして、3Mについて説明しました。
この3MのMessageを作る時は、是非FABのフレームワークもお使い頂ければ、より作成しやすくなると思います。
是非、これらのフレームワークをご活用頂き、自社の商品・サービスのPR方法を見直して頂ければと思います。