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2025.04.07

「ジョブ型雇用=正解」という流行に流されない!

「ジョブ型雇用=正解」という流行に流されない!

「ジョブ型雇用=正解」は本当か?

近年、人事制度の「流行」として注目されているのが「ジョブ型雇用」です。この制度は、欧米にルーツを持つ制度で、日本では以前「職務等級制度」と呼ばれていたものです。

一方、従来の日本企業に根付いてきたのは「メンバーシップ型雇用」です。こちらは「職能資格制度」に基づくものであり、職能の蓄積に応じて処遇が決まる仕組みです。

新聞やニュースで「大企業がジョブ型雇用を導入」と取り上げられると、「日本の制度は遅れている」「ジョブ型に変えるべきだ」という論調が目立ちます。

しかし、皮肉なことに、そのジョブ型雇用を長く導入している欧米では「ジョブ型は時代遅れだ」と言われ始めています。

つまり、日本では日本型が時代遅れとされ、欧米では欧米型が時代遅れとされている――この現象こそが、人事制度には絶対的な正解がないことを物語っています。

人事制度に「正解」はない

人事制度とは、「ヒト」に関わる経営の仕組みです。企業の経営資源、組織文化、成長フェーズ、外部環境などは一社一社異なり、全く同じ状況の企業は存在しません。

そのため、ある企業でうまくいった制度を、そのまま別の企業に導入しても、同じような効果が得られるとは限りません。

「これからはジョブ型だ」「あの企業も導入した」といった流行に流されて、自社に合わない制度を採用してしまうと、逆に組織が混乱するリスクがあります。

大切なのは、「何が正しいか」ではなく、「自社の経営に合っているか」という視点です。

制度は導入して終わりではなく、導入してからが始まり

経営者や人事担当者によっては、「人事制度を導入したから安心」と思っている方は多いかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。

繰り返しますが、人事制度とは「ヒト」に関わる経営の仕組みです。そして、仕組みとは「ルール」と「運用」です。

人事制度の導入とは、「ルール」ができた段階にすぎません。本当に重要なのは、その制度の「運用」を通じて、自社の経営に合わせて整えていく過程です。

特に、外部の専門家に制度設計を依頼する場合、その設計期間は半年〜1年ほどです。このような短期間で、外部の専門家がクライアント企業の経営実態を深く理解しきることは非常に困難です。

そして、企業の経営実態を理解しきれなかった結果として、「お金と時間をかけたのに、実態に合わず運用できない」といった声が後を絶ちません。

制度の細部は、実際に「運用」しながら、経営の現場でフィードバックを受けて調整していくものです。だからこそ、人事制度は「ルール」よりも「運用」が重要なのです。

人事制度の「ルール」と「運用」はセットで考える

経営環境が激しく変化する今、制度の「ルール」に完璧を求めるのではなく、経営の変化に対応することができる「運用」に重きを置くことが、より一層求められています。

流行に流されず、自社の経営実態と向き合い、自社に合った制度をつくり、試し、見直していく。その地道な取り組みこそが、これからの人事制度に求められていると言えます。

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